7話 「三人」
2人とも体調は回復し、いつものようにダラダラと長いだけの時間が過ぎて行った。
最近ではやることも尽きてしまった。
2人でできる遊びなんてトランプとかあやとりとか・・・
毎日やってては飽きてしまうものばかり。
すると病室の扉が前のようにガラガラと音をたてて開いた。
入ってきたのは荷物を抱えた女の子。
さっさとあいていたベッドへと足を運んだ。
ひよりのベッドと向かい合わせ。女の子は一言もなく黙々とものを直し始めた。
「こんにちはっ、私は稚奈って言います・・・?」
最初は明るい口調で話していたが、窓の外しか見ていないひよりを見て音がさがっていく。
稚奈という名の女の子は目線を下へと落とした。
「こんにちはー、僕は理樹だよ。よろしくね。」
なんとか理樹がそれをカバーしたかのように・・・稚奈は上を向き、にっこりと笑いかけた。優しげな頬笑み、短い髪ながらも丁寧にくくっていた。
そしてカーテンをガラガラとしめるとごそごそと着替えだした。
「御着替えします。話はその後ですよ。」
ひよりはずっと窓の外を見つめている。
窓からは病院の入り口が見える。その姿を理樹が見つめる。
何も言わないひよりの態度が気にかかったのだ。
「終わりです。おしゃべりしませんかぁ・・・?」
喋り方がゆっくり、そしてふわふわとした動き、きっとこの少女は癒し系だろう。
ピンクの寝巻を身にまとい、のそのそと理樹の寝台へと寄ってきた。
「理樹君だっけ・・・?何歳なのー?」
「えへへっ、僕は12だよ。」
2人の会話が耳に響く。さっき無視したせいで少し話すのが気まずい。
何も言いだせなくなってしまった。でもひよりはずっと窓の外を見つめている。
まるで誰かを待っているようだ。
「じゃあ私よりお兄さんですね!私は11ですよ。今年で12・・・★」
「そうだねぇ。1歳年下でもこんなに可愛いものなんだね。」
ひよりはベッドへ顔を伏せた。何故だか胸が苦しいのだ。
でも息はできるし、ちゃんと動ける。なぜか胸だけが・・・
助けを求めるほどでもないこの痛みはどこからやってきたものなのだろう。
「理樹君ってA型でしょう?雰囲気でわかるもーん。」
「稚奈ちゃんは・・・B型かな?」
「いいえー、私はこう見えてもO型。」
ひよりの胸はだんだんあつくなってくる・・・。
不思議な気持ちだった。なんだろうか。かなり新鮮。
すると稚奈がひそひそと理樹に話しかけた。
「・・・あの、とても言い出しにくいのですが、あちらの彼女は・・・」
「あぁ、なんだろうね。人見知りなんだよきっと」
「・・・そうですか、私も自分から話しかけるのは・・・。ちょっと」
「僕には普通に話してたじゃない。」
後は夜食までゆっくりするだけ。
ずっとぼんやりとする頭の中、ひよりは考えていた。
このはち切れそうな不思議な気持ちは何なのだろう。
でも、そんなことより外の方がかなり気になる。
「それは、理樹くんが話しかけてくれたからですよぉ。」
「そっかそっか。」
理樹はまるで妹のように稚奈の頭をそっとなでてみた。
小柄で猫みたいでなんとなくじゃれてみたくなった。
結構ノリもよさそうだし・・・面白そうかな。
「稚奈は猫みたいだね。」
「よく言われます。でも、猫より犬の方が好きなんですけどね。」
ひよりは少し向こうが気になった。
いつもは正直煩い位喋ってくれた理樹が今日はあの子になついている・・・。
私はこのまま、暇なまま過ごさなきゃいけないのかな。
1人でそう考えると、ひよりは哀しくなってきた。
「ねぇ、あの子と仲良くなりたい?」
理樹は小さな声で稚奈に聞いた。
そっと顔をうずめて、こう言った。
「できれば・・・向こうが嫌なら、それでいいんです。」
理樹はにっこりと笑うと優しく呼んだ。
「ひよりちゃん、紹介するよ。」




