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6話 「花瓶」
「寝てたら。熱あるんでしょ。」
ひよりはそっけない冷たい態度を取った。
そんなのお構いなし。だっているここの子はこうなのだからね。
「はいっ。お誕生日おめでとう。」
すこしフラフラとした足取りで、昨日雨に打たれながらつんできた花をひよりに渡した。
ひよりは少しびっくりした顔をしたが、それをさっと受け取った。
「ありがとう。でも、寝てなよ。」
ひよりの頬は少しピンク色に染まった。
車いすに乗り、花瓶を抱えて病室から出て行った。
理樹はまたフラフラと自分のベッドに戻り、目をつぶった。
「よかったんだよね。これで。」
するとすぐにひよりが返ってきた。
水が入った花瓶の中にさっき理樹からもらった花をいけてやった。
そしてベットへ自力で這い上がると、いつもとは違う方を向いて話しかけた。
「ピンク、覚えててくれたんだ。」
「・・・もちろんだよ。」
目を閉じたまま理樹は答えた。
ふふっとひよりは鼻で笑った。今日が晴れていてよかった。
またあとで庭へ行こう。そしてひよりはいつものように目を窓の外へ向けた。
「・・・おやすみなさい」
理樹に優しく囁いた。




