3話 「明日」
6月の中旬に入り、すっかり梅雨モード。
空が笑う日なんて珍しい。
2人の会話も曇ったままだった。
ひよりはまた窓の外を見ている。ひよりは息をしていない人形のようだ。
長い髪に、すらりとしたからだ。
くっきりとし、大人びた顔つき。本当の作り物のよう。
理樹は退屈していた。2人の間の会話もとぎれとぎれ。
どうやらひよりの体調はそれほどいい訳ではないようだから。
食べたものはすぐもどすし、体を起こすのも苦しそう。
手をさしのでても、その手を握ろうとはしなかったから。
病室を1人で抜け出す。
目の前には長い長い廊下が伸びる・・・。
誰も歩いている感じはない。そりゃそうだろう。
どこかの漫画やアニメは結構通行人がいるが、病院の廊下にそうそう歩いている人はいないだろう。
「あ、あなたは理樹くんだったよね・・・?」
看護師さんがこちらへやってくる。
理樹の肩に手をかけた。
「最近ひよりちゃん体調悪いんでしょう?心配にならない・・・?」
理樹は最初は会わせていた目線を自らそらした。
「いえ、それなりには・・・」
「うんうん。そうよね。 そういえば明日はひよりちゃんの13歳の誕生日なのよね。 元気に誕生日を迎えられるといいけど・・・。」
理樹は少しひきつった顔で言った。
「そうですね・・・。」
だってひよりの話を自分にされたってどう答えたらいいか・・・。
でも明日が誕生日ならば何か用意せねば・・・。
「そうだ・・・。」




