最終話 「雪」
ひんやりと周りの空気が冷えた。
さっきまではあんなに暑かったくせに・・・
上空から白いものが舞ってきた。
白くて冷たくて・・・ちょっと早い。早すぎる。
おとぼけさんなのだね。
「天使の羽だ・・・!」
「なっ・・・どうして・・・?」
ひよりは天使の羽だと喜び、稚奈は何故こんな季節に雪が降るのかわからなかった。
後ろから何かの影が近寄ってくる・・・ゆっくりと。
そして、ソレは2人の手を握りしめた。
「理樹・・・。」
「・・・思い出した、そうか・・・」
稚奈は理恵の顔を見つめた。じっくりと。
やっぱりそうだ。さっきまで自分の忘れていたものだった。
自分はずっと隣で見ていたのだ。ずっとひよりと理恵の事を。
「っ・・・」
「ひよりちゃん・・・!」
ひよりはその場に崩れた。さっきの建物の様に音も無く・・・。
稚奈には解っていた。前からずっと・・・この2人の間には何があるのかちゃんと。
ひよりは一方的に理樹を好きでいたが、理樹はそんな気持ちでは無かった・・・だって――――。
「大丈夫・・・?ひよりちゃん・・・。」
理樹が抱き抱え、体をゆすってみた。けれど、ひよりは目を閉じたまま動かなかった。
理樹の目からは細い一筋の涙が垂れ落ちた。
「冷え切ってます・・・ひよりさん・・・。」
稚奈がひよりの頬に手を当ててみる。やはり冷たい。
雪が降るのに薄着をしていたからだ。
そして理樹の表情は曇っているのか晴れているのか曖昧だった。
「さようなら、お母さん・・・みんな・・・。
僕はもう行かなきゃ。・・・ひよりちゃんの事は頼んだよ・・・稚奈ちゃんも、さようなら。」
理恵はすくりと立ち上がった。
たくさんの雪が理恵を包みだした。
「僕がちゃんと一緒に居ればこんなことも無かったんだ。
ごめん、稚奈ちゃん。彼女の怒りは・・・色々とボロボロにしちゃったね。。。」
「あの・・・やっぱり理樹君はひよりさんの・・・」
云い終わらないうちに風が吹き、ぐるぐると宙を舞う雪たち。
綺麗だけれど、切ない感じ。でもずっと眺めていたかった。
雪が散っていくと思うと・・・周りには誰もいない。たった1人になっていた。
この白い虚無の中で、稚奈は1人、独りでうずくまった。
眠っているひよりの体を抱きよせて・・・。
こんな面白くない小説を最後まで読んでくださってありがとうございました。
こんなに長いのを描いたのは初めてで・・・。
色々解らないところが出てきたと思います。
わざと解りにくく描くところは描きました。
解釈は自由です。
本当にありがとうございました。
よかったらアドバイスや感想をお願いします。




