17話 「心」
「そんなこと・・・。」
稚奈とひよりは駆けつけた・・・誰もいない・・・大丈夫そうだ。
でも、振り返ると無音で後ろの病院がボロボロになっていた。
「・・・・なんで?」
ひよりは目を丸くした。
こんな時、こんな時・・・理樹もいてくれたら助かるのに。
稚奈なら何かを知っているかもしれない。
「ねぇ、理樹は何処なの・・・?」
「理樹・・・?誰ですか?それ。」
ひよりはその場に座り込んだ。その目は・・・これまでにないくらい鋭かった。
そして急に立ち上がると稚奈の腕をグッとつかんだ。
「嘘つけ!私があんたのせいでどれだけ・・・どれだけ・・・うっ・・・うぅ」
言いかけて泣き崩れた。
だって、こんなに稚奈を攻めたって自分のもとへ理樹が帰るわけない。
理樹が許してくれる事は無いのだから。
稚奈はきょとんとして混乱しているようだ。
「あの・・・私・・・なにか・・・?」
理樹の存在を知る者はこの世で今はひよりだけなのかもしれない。
そこらへんを歩く人も、隣の部屋の病人も、理樹をしかった看護婦さんもみんな理恵の事を知らないと云う。
どうしてなのか。
「どうして・・・?戻ってきてよ・・・!」
周りの建物がその叫び声とともにごろごろ、ぼろぼろと雪崩れて行った。
何故だろう。まるでこの町はひよりの心を映しているようだ。
切なくて、寂しくて、ぐしゃぐしゃして・・・




