15話 「病棟」
自分の体が倒れて気がついた。
「あれ・・・?」
ここは病室。目の前にいたのは稚奈だった。
「どうしたんですか、ひよりさん。廊下で1人で寝ちゃうだなんて・・・。」
「夢だったんだ・・・やっぱり・・・」
ひよりは窓の外を見ながらいう。
稚奈はくすりと笑いかけた。
「どうしたんです?いつもあんな感じのひよりさんが・・・」
「変な夢を見た。意味のわからない奴を。」
稚奈はさっとひよりの手を握るとやさしく体を起してくれた。
「そういう時は、お外の空気を吸うんですよぉ。そしたら気持ちが晴れてすっきりするんですー。」
稚奈はひよりを優しく車いすに乗せると、前誰かがやってくれたように押してくれた。
あの人よりゆっくり、ちょっと気持ちが早まってしまうけれど・・・。
「御庭へ行きたかったんでしょう・・・?それにしてもとても静かな廊下ですよねぇー。」
「あっ・・・」
ひよりは悟った。闇の中なのか・・・ここは・・・。
ちょっとさびしくてひんやりしてて・・・なんというのだろう。
さっきまで・・・そうだった、そうなのだ。
「だめ、ここはだめ・・・早くここから出なきゃ・・・!」
「へ・・・?」
「早く!早くぅ!!出なきゃだめなの!お願いだから!」
稚奈のような幼い女の子が、中学生を乗せた車いすを押しながら走るのは少しきついもの・・・でも静かに崩れたのだ。なんの前触れもなく・・・この病院は・・・!
「っ・・・!」
「あっ!待ってくださぁいー!」
ひよりは稚奈の腕を握るとフラフラと走り出した。
全然早くはないが、今はこれが精一杯なのだから。




