11話 「階段」
次の日、もっと熱が上がり、もう喋るのもしんどい。
偶にくるこういう風邪、誰もが経験したことあると思う。
「無理しなくていいですからね。」
今日も稚奈が様子をうかがってくれている。なんて心強いだろう・・・
自分が何もできないときに、少しでも気を使ってくれるというのはうれしい事である。でも、今日は昨日と少し様子は違った。
「頑張ってくださいね。」
そう言うと、すたすたと病室から出て行ってしまった。
ひよりには解っていた。前から悟っていた事だったけど、あの2人は自分のいないところで仲良くしている。
あの2人の中にははいっちゃいけないような気がしてならない。
この気持ち発熱によるだるさ、気持ち悪さを倍にする。
「どうしてだろう・・・どうして1人なんだろう。」
ひよりは無理やり体を起こした。
今日は雨だ。ちょうどいい。
車いすに乗り、廊下の端へ行った。
そして思いっきり勢いをつけて直行。とても気持ちがいい。
そうだ。ふとひよりは思いついた。
ここを勢いよく曲がればもっと楽しい事になる。
さて、それでは再び廊下の端から端へ・・・
ちょうど雨なので廊下も湿り、いつもより滑りやすくなっている。
誰もいないのを確認してから出発・・・
右手も左手も、痛くなるほど速く回した。
勢いよく曲がった。でも、その先は・・・
―――ガシャン!
その先は、階段だった。
階段をころころと転がり落ちた。
その後、なんだか急に眠たくなった。
まっくら・・・もう夜なのかもしれない。
「おやすみなさい・・・」




