1話 「始まり」
なんて憂鬱な午後だろうか・・・
今日は天気も悪く、寝台の上で寝たきりなのも飽きた。
晴れていたら、外を散歩したのに・・・。
そんなことを考えていたひよりは、いつものように窓の外を眺めている。
誰もいない1人の病室。退屈すぎる。
ガラガラガラ・・・
病室のドアが開いた。検温の時間にしては、ちょっと早かったかな。
「・・・5分早いです・・・よ?」
ひよりは窓の外を見ていた目を看護師の方へ向けた。
でも、そこにいたのは看護師だけではなかった。
同い年くらいの男の子。看護師さんに背中を押されて病室へはいってきた。
「はい、ここに寝てね・・・何かあったらこれで呼ぶのよ・・・」
あぁ、やっぱり・・・雨の激しさは増している。
空が光る。音がとどろく。やっぱり今日は外に出られそうにない。
「ひよりちゃん。あの子ね、新しくここへ来たのね。
仲良くしてあげてね~。 あっ、検温の時間ね。」
今日も特に熱はなく・・・さっきのあの子はとなりのベットで寝ている・・・。
こちらをちらちらと伺っているのがよくわかる。
ひよりはずっと窓の外を眺めているのだけど。
「君は知ってる・・・?もうすぐ雪が降るよ。」
今はまだ5月。雪が降るのは冬である。
すでに雨は降っているのだけど。
「ひよりちゃん。僕は君に言ってるんだよ。」
ひよりの名を呼ぶ男の子は自慢げにつぶやいた。
思わずひよりは後ろを振り返った。
「やっとこっちを向いてくれたね・・・ずっと前から知っていたよ。」
男の子はそういうとベッドから立ち上がる。
こちらへとゆっくり向かってくる。
ひよりの手を握り締めて・・・
「あの・・・貴方は誰ですか・・・?」
「僕は貴女を見張りに来ました。」
ひよりは目を丸くした。見張り・・・?
監視・・・?男の子はこくりと頷いてもう一度強くひよりの手を握った。
「僕の名前は理樹って言うんだ。とりあえず・・・よろしくね!」
「あ・・・私はひよりです。宜しくお願いします。」
2人はすぐに仲良くなり、毎日よく話すようになった。




