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僕は今、物語の文章を書いている。それは、少女と男の物語だ。なかなか、上手く、書くこと、ができない。自分だけの物語を創りたいのに、借り物の物語にみえる。僕はまだ、完全な世界を創れていない。自分を騙せていない。頭の中で常識が僕の文章を嗤う。書き直すと好奇心が退屈する。
「どうしてあなたは文章を書くの?本当は、書きたくないんでしょ?」
他にできることがないんだよ。
「嘘つきね。他のことができないんじゃなくて、他のことから逃げてきたんでしょ?」
そうかもしれない。
「また、嘘をつくのね。あなたはいつも嘘をつく。嘘に騙されている嘘をつく」
・・・・・・・・。
「あなたが言いたいことはわかるわ。でもそれは―――――――」