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ぼやきと戯れ言

素人愛好家が調査した!ホームズと著作権

作者: 黒森 冬炎

2023/3/31 脱字修正しました



春推理の全読み連載用に書いた余談です。

全読み連載は投稿作品が5作品以下の日にはまとめて後で更新しています。

長くなりましたし、連載のほうには載せないかも。未定。


春推理、二次創作OKなんですよね。

今のところ投稿0

ランキングは除外ですが、検索は除外ではありません

初日、せっかくだから二次創作投稿しようと思ったんですよ

元ネタどうしようかなー?

と思って調べたのがこちら。


サセックスの吸血鬼

THE ADVENTURE OF THE SUSSEX VAMPIRE

サー・アーサー・コナン・ドイル 

Sir Arthur Conan Doyle

初出ストランドマガジン1924

first published in the UK in The Strand Magazine in January 1924


初出のみならず、これを収録した短編集もパブリックドメインになっておりました。二次創作タグ不要なんですけど。残念ー。

というわけで、代わりにホームズシリーズ本文が、今著作権的にはどうなっているのか調べて発表することにしました。




そもそも著作権とは何でしょうか。


文化庁のホームページにある『令和4年度著作権テキスト』PDFが、誰でも自由に閲覧出来ますので、詳しくはそちらをご参照くださいませ

以下の用語解説は、すべて上記テキストより引用

お急ぎの方は、用語解説を飛ばして後半の本論のみご覧いただけます


なお、法律条文そのものには著作権は存在致しません。配置の仕方には著作権があります。



▼用語

「知的財産権」

知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される、 他人に無断で利用されない権利(中略)

「知的所有権」や「無体財産権」という用語が使われることもあります。


「著作権」

著作物が創られた時点で 「自動的」に付与するのが、国際的なルールとされています(権利取得のための「登録制度」などは禁止)。これを「無方式主義」といいます。


「著作者の権利」

「著作権」

著作物を保護(原則として創作の時から著作者の死後70年)

「著作隣接権」

実演等を保護(実演等を行った時から70年)


「著作権法」

適切な権利保護によって「創作の促進」を図り、権利の制限 によって「公正な利用」を確保し、もって「文化の発展に寄与」することを目的としています。


「著作物」

著作権法第2条(定義)

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。


我が国の著作権法によって保護を受ける著作物(無断で利用してはいけない著作物) は、次のいずれかに該当するものです(第 6 条)。


【国 籍 条 件】日本国民が創作した著作物

【発行地条件】最初に日本国内で発行(相当数のコピーが頒布)された著作物(外国で最初に発行されたが発行後 30 日以内に国内で発行されたものを含む)

【条約の条件】条約により我が国が保護の義務を負う著作物


また、次の著作物については、著作権の目的とはならないとされています(第 13 条)

(イ)憲法その他の法令(地方公共団体の条例、規則を含む。) (ロ)国、地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人の告示、訓令、通達など

(ハ)裁判所の判決、決定、命令など

(ニ)(イ)から(ハ)の翻訳物や編集物(国、地方公共団体又は独立行政法人・地 方独立行政法人が作成するもの)


「二次的著作物」

ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように、原作に新たな創作性を加えて創られたものは、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます。こ のような著作物は、「二次的著作物」と呼ばれています。小説を「映画化」したも の、既存の楽曲を「編曲」したものなども二次的著作物に該当します(第 2 条第 1 項 第 1 1 号 、 第 1 1 条 )。

なお、二次的著作物の創作に当たっては、原作の著作者の了解が必要です。また、 第三者が二次的著作物を利用する場合、「二次的著作物の著作者」の了解のほか、「原作の著作者」の了解も得ることが必要です。


「編集著作物」と「データベースの著作物」

「共同著作物」

(本稿と関連性が薄いため割愛)


「著作者」

第2条(定義)

二 著作者 著作物を創作する者をいう


「著作者人格権」

公表権

氏名表示権

同一性保持権

著作者の精神的利益を守るため の権利

著作者に専属する権利であるため、 譲渡はできない(第 59 条)


「著作権 (財産権)」

著作者の財産的利益を守るため の権利

土地の所有権などと同様、譲渡や相 続することが可能(第 61 条)


「保護期間」

(本稿はホームズについてなので、関連項目のみ引用)


【外国人の著作物の保護期間の特例】

(a) 保護期間の相互主義

我が国より保護期間が短い国の著作物は、その相手国の保護期間だけ保護され ます(これを「保護期間の相互主義」といいます)。(中略)(第 58 条)。


「著作物」「実演」「レコード」「放送」「有線放送」のそれぞれについて、「保護期間」 が定められていますので、保護期間が満了しているものについては、権利者の了解を 得る必要がありません。ただし、さまざまな例外がありますので、よく注意すること が必要です。


▲引用ここまで



▼PDとは

著作権の保護期間が終了したものは、パブドメ、パブリックドメイン、公有などと言われる状態になる

概ね自由に利用できる状態の著作物です

ただし、一旦PDとなったものが、文化財保護の観点等から本国で非公開になる場合もある


日本国の著作権法の条文には、2023/3/30現在この言葉は記載されず

地方自治法第238条第3項に言及のある公有財産とは別の概念ですので注意

日本国に於いて著作物がPDになっていても、別段日本国が財産権を持っているわけではない


紛らわしいので、通常はPDとかパブドメとか呼んでいると思います



▼まとめ

どんな人のどんな作品であっても、著作権は通常著作者にある。

勝手に翻訳とか超訳とか転載とかしちゃダメ

公表する権利は著作者にある

利益あるなしは無関係

応援なのにとか言ってもダメ

オカンアート乙とか晒してもダメ

未発表の物にもある

思いついたら日時証明出来る状態でアウトプットしておけば、後に発表した時盗作疑惑対策にはなる

もっとも、メモ書き程度ならよほど突飛な発想以外には、疑惑回避の決め手とはならない


著作権は知的財産権であり、財産に関する権利の為、譲渡や相続ができる。

死後70年で消滅するのは、財産権。

財産権に関わる諸権利が消滅した著作物は公有(PD)。

財産権が譲渡されても、著作者人格権は著作者にある。

著作者が死亡しても著作者人格権は存続する。

よって、パブドメだからって好き勝手できるわけではない。


外国人著者の著作物は、本国での保護期間が我が国より短ければそちらを適用




▼ホームズと著作権


ざっくりと用語が分かったところで、コナン・ドイル著の古典的探偵小説である、シャーロック・ホームズのシリーズに関して、小説本文の著作権がどうなっているのか見ていきましょう。

なお、挿絵、翻訳、装丁、校註、巻末解説、巻頭エッセイ等の諸権利は本文とは別に存在しますが、今回の調査では対象外とします。



ホームズ物で最後の出版物『シャーロックホームズの事件簿』(1927)は、今のところ1番長そうな米国でも、出版後95年で著作権が切れました。この年の出版物は、アメリカに於いては95年より更に伸ばすことが検討されたそうですが、ホームズは2023/1/1で総てPD(パブリックドメイン=公有)となっております。


ただし、その後組み直した改版、後年の出版社からして違うもの、また校訂版や各国独自の翻案版や完訳版は、それぞれに著作権、出版権、翻訳権等の各国並びに国際的に定められた権利に関わる取り決めがございますので、注意。(いくつかの条約、協定あり)


因みに、コナン・ドイルは1930年没。


海外作品の著作権は原則的に利用される国の著作権が適応されますが、あくまでも原則なので注意

本国の英国に置いては著作者没後70年に消滅

米国に於いてホームズシリーズは出版後95年が適用され、120年は検討されたもののとりあえず見送りになったとのこと


日本では著作権者の没後70年に消滅

ホームズは本国でもドイル没後70年で消滅しているため、特例は関係ない


ただし、著作者人格権の侵害は、著作者の死後であっても禁止

また、文化財保護の観点からも保護対象となる

PDであっても、作品の尊厳は法的に守られる(著作権以外の法も含むと言うこと)

この頃、総務省、文部科学省、児童文学協会などの解説や関連論文PDFを参照


著作権以外の法も色々と絡んできますし、倫理や慣例もありますから、手を出す場合には注意が必要

保護期間中だが権利者がいなくなっている、いわゆる孤児(orphan)案件とか

PDだけど明確な所有者がいるものとか

我々素人には複雑過ぎて、正直触りたく無いですね


参照元

イギリス

https://www.gov.uk/copyright/how-long-copyright-lasts


アメリカ

https://www.copyright.gov/help/faq/faq-duration.html


日本

https://www.cric.or.jp/


その他、

大英図書館、米国図書館協会、カレントアウェアネスジャパン、e-govなどのサイトより関連項目、リンク先を閲覧



英語サイトでは、PDとなったストランドマガジン版の本文と挿絵が総て読めるサイト、日本では無料閲覧可能な合法的日本語訳を集めたファンサイトが、それぞれ無料で公開されております。

良い時代だー。


と、言うわけで、冒頭に挙げた「サセックスの吸血鬼」を二次的著作物に利用したい場合には、


ア)ストランドマガジン版の本文を独自翻訳して取り入れる

イ)翻訳版の権利関係を確認し許諾範囲で利用


という利用方法が考えられます。


また、内容としては


ア)トリックの借用

イ)キャラクターの借用

ウ)事件の借用

エ)舞台の借用


などが考えられます。


キャラクターについては、名称だけなら単なる名前ですので著作権はありません。メタデータが追加されて特定可能性があがりますと、こちらは著作物となります。

もちろんこれは理論値なので、「場合による」が正解ではありますが。


要するに、推理ものの主役に「シャーロック・ホームズ」という名前の全く新しいキャラクターを創造しても、原則的には他人様の権利を侵害する心配はないのです。


一方で、ホームズ世界をそのまま流用して、オリジナル事件をオリジナルキャラ無双で解決した場合は、概ね「メアリースー」などと揶揄されること間違いなし。

メアリースー診断なるものもありますよね。

何種類か見かけました。考えることは皆同じ。二次創作とは限らない痛い小説判定もありました。

あれ、なろう人の作品は99%メアリースー小説判定されるんじゃなかろうか。



4000字超えたので、お開き。


なんぞ間違ってたら教えていただきたく存じます

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― 新着の感想 ―
[一言] メアリー・スーの何たるかを存じ上げませんでした。 ありがとうございます。 スタートレック。
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