66. 決着(リーポウ)
俺はプライベートジェット機の中で、よく冷えたスパークリングワインを飲んでいる。相変わらず最高に居心地が良く、俺は最高の気分だ。
だが、もっと最高な気分らしい二人が俺の視界に入っていた。
ナディアとアラブのアッバス王子だ。二人の間には、ゆったりとした贅沢な座席をフルに使ってヴィオラが寝ていた。
ナディアは黙ってウィスキーのロックを飲みながら、上品な仕草でナッツを食っている。アッバス王子は気品ある風情でゆっくりと新聞を読んでいる。
この前運んだカルロスをはじめとする四人組は、どこかに消え去った。ナディアが殺してないのは確信がある。ナディアは決して自分の手で人を殺そうとはしない。もっと執念深いたちだ。
いや、そもそも、ヴィオラって死んだはずじゃなかったか?
俺はそう何度も言いそうになったが、スパークリングワインを飲み込むことで、言葉も喉の奥に流し込んだ。
聞くだけ野暮だぜ・・・・
あのナディアだ。戦闘機をかっ飛ばすような作家だ。妙な異能も身につけちまった作家だ。密かに大胆に世界を股に活躍するスパイだ。
俺は黙って指示に従うだけだ。
「で?」俺は言ってみた。
「何が?」アッバス王子とナディアが同時に俺に聞いてきた。
ちぇっーーー
どうせ二人ともダマだろう・・・・
これからヴィオラの母親の元にヴィオラを連れて行くらしい。俺はそのお供だ。黙って俺の仕事を完璧にこなすだけだ。
母親と一緒にヴィオラをどこか遠くに連れて行くらしい。まー、それがいいな。
ナディアが世界を救い続けるスパイであるかぎり、またいつかヴィオラを狙う奴が現れても致し方ない。
旦那のカウボーイは、なんだかどうも心配なさそうだ。ナディアと同じ匂いがぷんぷんするので、密かに異能を身につけちまっているというオチな気がしてならない。
まー、俺のボスはナディアだ。俺はボスの指示に従うだけだ。
今日も、微力ながら世界の平和に貢献するだけだぜ・・・
おっと、俺からこんなくっさいセリフが出るとは。
高度が高い所でワインに酔ったか?
「リーポウ、よくやってくれたわ。何にも説明できないけどね。」ナディアがナッツを上品につまみながら俺にそう言い、ウィスキーロックのグラスを俺に向かって乾杯のように持ち上げた。
お、おう・・・




