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65. クフ王とともに(颯介)

 クフ王は実に楽しい人物で、面白かった。

 俺たちは、最大限にもてなした。若き伯爵は朝から晩まで美味しい食事を作ってくれた。俺も手伝い、子供たちも手伝った。中世ヨーロッパでは、薪割り、洗濯、畑仕事、本当に忙しかったが、子供たちと一緒にやるのは俺はひたすら楽しかった。


 ダッカー王子は、なんと村の外れに別荘を立てると言い出し、伯爵家に占い師と共に泊まっていた。お付きの者が王都から到着し、なんだか伯爵家は賑やかだった。


 若き伯爵が五番目の扉から紀元前エジプトにワープさせられている間に到着したらしく、若き伯爵がクフ王とアッバス王子と一緒に戻ってきたときは、実は、ダッカー王子は占い師と共に村の土地を見回っていたらしかった。


 ナディア姉さんがアッバス王子と一緒に三番目の扉を使ってニューヨークに行ってからは、俺たちはすぐに戻ってくるというナディア姉さんの言葉を信じて、クフ王をもてなしていた。



「いでよ~、ドブネズミ!」

若き伯爵と、クフ王は何十回も練習を重ねていた。

「違う!ちょっとずれた!」その度に、ジョージアや、レオがジャッジをしていた。

「え?ずれた?」クフ王も、伯爵もそんなことを言いながら、真剣に取り組んでいた。


 二人同時にまるで一人の声で話しているように同時に唱えるためには、練習を重ねるしかない。スープを飲んだ後に、二人で言う。コーヒーと、俺が作った魚の天ぷらを食べた後に二人で言う、もう、食料を目の前にした時に、無言で合図をして、二人同時に言うと言うのを、幾度となく練習していた。

 完璧な相棒に気持ち共にならないと、無理なことだ。互いのリズムを狂うことなく一致させることを繰り返した。



 まー、無事にお互いにゲームから同時に解放されるには、これをピッタリ言えることにかかっているのだから、命をかけた練習とも家えた。



 ナディア姉さんは、約束通りに、割とすぐに戻ってきた。だが、四人の敵もひっとらえてやってきてしまった。クフ王だけは、事前に知らされていたらしく、驚かなかった。俺たちは、叫んだけどね。

 

「誰?」

「ってか、ミラン?なんで一緒?」

「じいちゃん!」


そういう混乱した状況だった。


そして、ナディア姉さんは、占い師がいると知るや、抱きつかんばかりの勢いで占い師に飛びついた。

「金塊3本よ。」ナディア姉さんがささやいている声を、俺はしっかり聞いた。


「なになに?」


すごい買収金額だ・・・

一体何を企んでいるんだ?ナディア姉さん・・・



「颯介も来て。」ナディア姉さんにそう言われて、大人は全員、伯爵家の2階の1室に集合した。そこにミランもいたけどね。


「召喚の呪文を教えてちょうだい。金塊3本あるわ。」ナディア姉さんはそう占い師に言った。

「ゲームに失敗した時、知らない時代の知らない土地に投げ出されるわよね。元いた場所に戻るには、もう一度ゲームをスタートするしかないわ。でも、伯爵家のこの扉しか、今、スタートする方法がないわ。」


「というわけで51回目のトライでパリに投げ出されたミランが、私が偶然現れるまで3ヶ月もパリで放浪する羽目になっていたのよ。」


ナディア姉さんはそう言った。


 オーっと、、、待てよ?

 51回目のトライ?

 ミランはトラビコンの魚をゲットしようとして死んだ俺を救おうとして、51回失敗して、52回目でやっと成功したと言った。

 つまり、今は、ミラン的時間軸だと、この瞬間、まだ俺は51回トライしても救えない状態の俺ってことか・・・

 ややこしいが、ゲームが縦横無尽に時間を行ったり来たりしているのはよーく分かった。


 ここで、ミランが召喚の呪文をゲットしないと、俺はトラビコンの魚をゲットしようとして死んだままになるということになる。


 金塊3本の値打ちあるぜ、ナディア姉さん!


「ガストロノムスバックストッカー以外は出て行きな。」占い師の婆さんが言った。


 おっと、そうきたか・・・やっぱり、ミランとピーター、ジョージア、レオの家系に何かあるんだな。


「分かったわ。」ナディア姉さんはごくりと唾を飲んで行った。


 え?今の態度なに?


 俺たちは、部屋を出た。しかし、ナディア姉さんは残った。うーん、分からん。しばらくして、ピーター、ジョージア、レオが部屋に呼ばれた。


 まー、子供たち3人はガストロノムスバックストッカーだからねー。


 俺には分からないが、夜遅くになり、全員が部屋から出てきた。どうやら、召喚の呪文をマスターしたらしい。


 その夜、4人の悪者は伯爵家に泊まった。ま、逃げられないと観念したのか、この中世ヨーロッパにダイブしていると言う事実に驚愕したのか、4人はだいぶおとなしかった。

 何が起きるのか分かってなかったと思う。


 そして、翌朝、クフ王と俺たちはハグをして別れを惜しんだ。

 三番目の扉で何が起きるか、クフ王は説明を受けているので知っていた。だが、カルロス含め4人には一切知らされていなかった。

 

 ナディア姉さんとアッバス王子の怒りは相当なものだということだ。

 俺、ナディア姉さん、アッバス王子、若き伯爵、クフ王、4人の悪者が三番目の扉を開けて飛び込んだ。


 俺たちが龍者の実を一かけずつ食べる様子を、突然のサバンナに驚愕しているカルロスたちは、「なんなんだよ?」と言う目で見ていた。

 

 「生存の儀式さ。」アッバス王子がどっかで聞いたセリフで言っていた。


 俺たちはバッファローの大群を避けるために全力疾走し、プテラが来たら、プテラにそれぞれ四人を引き上げた。

 クフ王だけ一人でのり、嬉々として叫んでいた。

「最高だよ!これ!」


バッファローがまだ走っている最中に、ナディア姉さんは、空飛ぶ鳥を弓矢で落とし、プテラノドンに乗ったまま、落ちてきた鳥を回収した。


 バッファローの大群が去ると、きりもみ式でナディア姉さんが素早く火を起こし、鳥を焼いた。

 カルロスたちは、その間、ガタガタ震えながら様子を見守っていた。何がなんだか分からない状況のようだった。

 罪のない人を殺すからだ。

 隣国を滅ぼすためにミサイルを打ち込む戦争を仕組むからだ。ありとあらゆる悪事で、平和な人の生活を脅かすからだ。


 俺たちは、手を繋いだ。

 クフ王は後ろでを縛られた4人の悪者を繋いだロープを持った。まるで俺たちがクフ王の前にひっとらえられた時のように・・・


 遥か地平線に赤く夕日が落ちようとしていて、サバンナにはまもなく夜が訪れることが明らかだった。さやわかな草原の風が吹き、俺たちは目を細めてお互いを見た。一つの決着がつくのだ。


 若き伯爵とクフ王が合図をした。何十回も練習をした成果を出す時だ。

 

「時々、様子を見にいくわ。」ナディア姉さんがクフ王に言った。

「僕も時々、バカンスに君の時代や、伯爵の時代にお邪魔させてもらうよ。」クフ王がにっこり笑って言った。


 そうだ、ギザのピラミッドがすごい技術で作られたのは、そういうことなのか?未来の知識を持っていた可能性もあるなと俺は、ぼんやり思った。


 「いでよ、ドブネズミ!」若き伯爵とクフ王の友情の練習成果は完璧だった。

 俺たちは、伯爵家のキッチンにワープしていた。


 そこに、クフ王と悪者4人の姿はなかった。

 

 ナディア姉さんとアッバス王子なりの成敗が、成功したのだ。





あと少しで終わりです。

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