55. 田中さんに会いたい(颯介)
「新城さーん」
俺は振り返った。太陽が眩しい。空が抜けるように青くて、天気がとてもいい。
俺は、ニューヨークの街で田中さんに駆け寄られた。田中さんのスカートがふわっと風に揺れた。
「何だか、急に服が汚れているし、疲れているように見えるけど、どうしたの?」田中さんは不思議そうに俺に聞いた。
あ、髭がのびたようだ。伯爵家で色々あって、龍者の国にも行ったし・・・
あ?俺なんか臭いかも?
「うん?何か魚臭ーい。」田中さんが顔をしかめた。
そう、俺たちは「いでよ、ドブネズミ」の解放の呪文を全員で言った。全員が元の世界に戻った。
UFOで21世紀の地球に帰還した後、ニューヨークの街で、サファイアの母親から食料をもらい、サファイアの家のキッチンで、全員で解放の呪文を言ってみたのだ。
時間は、俺がナディア姉さんにチャットで呼び出された時に戻り、俺は、ナディア姉さんとの待ち合わせ場所に向かう途中の道に戻った。そして、田中さんに発見されたというわけだ。
「臭い?ごめーん。」俺はデレデレしてしまって、田中さんにそう言って照れた。
嬉しかったー!田中さんに会いたかったから!
せっかくデートだったのに、途中でデートを中断したので、すっごい心残りだったのだー。
ナディア姉さんはゴージャスなホテルにジャックと戻るだろし、アッバス王子はナディア姉さんに呼びされた場所に向かう途中にやっぱり戻っただろう。ダッカー王子も占い師も王の都だろうし、若き伯爵や3人の子供たちもきっと中世ヨーロッパで無事だ。
「もう一度、中華街に戻る?」俺は田中さんに聞いた。
「うん、そうしよっかー。」田中さんはにっこり笑って言った。素敵だ。本当に可愛いい。俺は、とても幸せだ。
俺のリュックの中は、奇妙な木の実と妙な魚の干物でいっぱいだけど、俺の心はあなたのことでいっぱいだ。
あー、夏休みにニューヨークに行こうと思い立って本当に良かった。
うーん、餃子パーティはやっぱりホテルじゃできないし、田中さんと中華街をデートして、たらふく美味しいものを食べよう。
なんて、最高な日なんだ。
ナディア姉さん、抜け駆けして、一番目の扉を開けてまた友達を救いに行かないよね・・・?
俺の心の中で、ことっと音がしたように、不安がもたげたのは確かだった。
大丈夫か・・・な?
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