表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/96

52. とらい(ナディア)

私の目は涙で曇る。(五番目の扉を開けた一回目の挑戦だ。)


目の前で、ヘリコプーターからロープが降りてきて、当時の私がヘリコプターからロープをつたって病院の屋上に降りてきたのを目撃している所だ。風がとても強くて、ロープが大きく揺れていた。あの時のように、ヘリのプロペラの轟音が私の中で耳鳴りのように大きくなる。


息ができない・・・私は戻る時間を間違えた。この時間には、既にヴィオラは死んでいるはずだ。私の体がわななく。体が震えて、動けなくなった。


この時間じゃだめだ。救えない。


その時、そっと誰かに肩をつかまれた。私はハッとして思わず身構えて、空手の攻撃型をとり、振り向いた。


颯介だった。私について来たのだった。後ろにアッバスの姿も見えた。


「帰ろう。ナディア姉さん。」颯介が静かに言った。


アッバスも頷いた。

「僕にとっても、ヴィオラは古い友人だったんだ。放っておけないよ。君の後をついてきた。」アッバスはボソボソと言った。


そうだ。私は戻る時間を間違えた。これではダメだ。二人の言う通りだ。戻ろう。


こうして、一回目の挑戦は終わった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


本当に失敗した。

私は銃弾を受けた。

腕を負傷してしまった。血が大量に流れている。

思うように動けない(今は、五番目の扉を開けた二回目の挑戦だ。)


皆が寝静まった夜明けを狙ったので、今度は誰もついて来てないだろう。


私は次の銃弾を避けるために建物の影に身を隠した。

今度は、敵がヴィオラを襲撃してきた瞬間に戻ってしまったのだ。


これでは、私も敵にやられてしまう。

私は負傷していない方の手で、銃を素早く構える。この銃1つでは、おそらく私はヤラれてしまう。

慰めに、フッと息を人差し指に吹きかけてみる。何も起こらなかった。龍者の実効果はとっくに消え去っているから当たり前だ。


さーて、もはやここまでか?


私がそう思った時だ。

敵と私の間に、真っ赤に燃える炎が一気に壁のように立ちはだかった。

そして、颯介が風のように私が隠れている物陰に飛び込んできた。


え?


「ナディア姉さん、龍者の実の種を噛み砕いたんだ。歯が欠けちゃった。」


そう言って、颯介がニタっと笑った。


颯介はポケットから出したハンカチに、口から砕けた種を吐き出した。


「あーあ、多分、これ、歯だね・・・」とか呑気に言っている。砕けた種の中に、欠けた歯が混ざっているらしい。


「さあ、戻ろう!」

私は、颯介に力強く担がれた。そして、すごいダッシュで颯介に運ばれた。


あっと言う間に伯爵家のキッチンまで戻ってきた。

そこでは、ジャックとアッバスが仁王立ちして、怒り狂っていた。子供たちも恐れおののいた、心配そうな顔で集まっていた。


「ナディア、だめだ!」

「一人で勝手に行くのもダメだ。そんなことをしたら、もう離婚だ!」ジャックは烈火のごとく怒った。

「龍者の実とやらをゲットするまで、行ってはダメだよ。」アッバスも静かに諭すように言った。


私は大量の血が流れているのを、さいたシーツでジョージアに止血してもらいながら、仕方なくうなずいた。


「そうね、先に龍者の実をゲットしに行きましょうか。」私はそうつぶやいた。


ヴィオラ、もうちょっと待っていて・・・

私は必ずあなたを救い出す準備をするわ。



お読みいただきまして、ありがとうございました!

もし、少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、もしくは「いいね」を押して頂けると大変ありがたいです。

今後の励みになります。


最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ