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50. ゲームチェンジャー(ナディア)

ミラン・ガストロノムスバックストッカーがそこにいた。

 

溺れかけた瀕死の颯介と、荒く息をしているミラン・ガストロノムスバックストッカーがピッタリくっついて、伯爵家の広大なキッチンの床に横たわっていた。

周りに、沢山の黄金の魚がぴちぴちと水を求めて跳ね回っていた。幻のトラビコンの魚だ。



私たちは全員、ずぶ濡れだった。

酸素を求めて荒い息を吐きながら、私は全員が無事であることを素早く確認していた。そして、なぜか息をしていないように見える真っ青の颯介と、そのすぐ横に、過去に戻ったはずのミラン・ガストロノムスバックストッカーがいることに私は気づいたのだ。

 

「颯介!」私は颯介に駆け寄り、頬を叩いた。

「目を覚まして!」呼びかけたが、颯介が動かない。

私は、髪を振り乱して、夢中で人工呼吸を始めた。ジャックも、伯爵も、ピーターもジョージアもレオもサファイアも、駆け寄ってきた。


「颯介、戻って来い!」私以外の皆が、泣きながら呼びかけた。私は無我夢中で人工呼吸を続けていた。


「また、ダメだった?」私の横でミランがそう小さく呟いた声が耳に入ったが、私にはなんのことか意味が全く分からなかった。


数分、神に祈るような時間が流れた。


「ゲホっ」ついに、颯介が水を吐いた。そして、大きく咳き込んだ。


私たちは、歓声をあげて半泣きで喜んだ。ミランも躍り上がって喜んだ。


「あ?生きてる?」颯介が急にしゃべった。そして、ミランがその場にいることに気づいた。


「あれ?なんでミラン、君がここにいるの?」颯介がミランに気づいて、不思議そうな、でもギョッとしたような顔で言った。

全員が、ミランの顔をじっと見た。


間違いなく、競馬場でマシンガンを持った沢山の敵に襲われた時に、私たちはミランに大量の食料を渡した。解放の呪文で、ミランはピーター、ジョージア、レオの孫の時代より、少し過去に戻ったはずだ。

私たちが伯爵家に戻って来たとき、ミランはそこにいなかった。だから、てっきり、ミランの冒険は成功し、無事にミランの時代に戻ったのだと私たちはずっとそう信じていた。


「52回目でやっと成功した。」ミランは泣き笑いしてそう言った。


「どういう意味?じいちゃん。」レオがミランに言った。ミランとジョージアやピーターの年齢はほぼ年が変わらないように見えるのに、じいちゃんというのは変だが、事実、ミランがレオの祖父なのだから、仕方がない。


「あの時は無事に戻ったんだよ。おかげで食料を村中のみんなに配れた。ありがとう。」ミランは言った。

「でも、あのあと、颯介が一番目の扉の冒険で命を落としたことを知ったんだ。だから、五番目の扉を使った。」


颯介が死んだ?私たちはその言葉の衝撃で固まった。



「今、52回目で僕は成功したんだ。51回は失敗して、やっぱり颯介を救えなかったんだ。」


ミランは一気にこれだけしゃべった。

私たちは穴が開くほどミランの顔を見つめた。


アッバスが横から言った。

「五番目の扉?」

おっと、アッバス王子の存在を忘れていた。そうか、こいつもまだこの時代の伯爵家にいたんだった。


さーて、私はじっくりミランの顔を見た。超重要人物がゲームプレイヤーの中に現れた。

「ミラン・ガストロノムスバックストッカー、あなたは、ゲームチェンジャーね。」


私は立ち上がって腕組みをして、ミランの顔をのぞき込んだ。


「五番目の扉は、目的の時間時刻に行ける。そうね?」

「ただし、あなたが51回は失敗したということは、五番目の扉を使ったとしても、並大抵では目的の日付と時間に辿りつけないということになる。そういうことね?」私はミランに尋ねた。


「そう。あっているよ。ナディア姉さん。」ミランは答えた。


「ゲームチェンジャーという言葉の意味はわからないけどね。」ミランは、ピーターそっくりの笑顔でにっこり笑った。


ヴィオラ、あなたを救える方法が本当に見つかったわ・・・



お読みいただきまして、ありがとうございました!


少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、もしくは「いいね」を押して頂けると大変ありがたいです。

作者の今後の励みになります。


最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!


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