49. けいさんミス?(颯介)
その夜事件は起きた。
その日の昼間、ナディア姉さんは昼間、魚以外の肉が食べたいと言って、浜辺をひたすら馬に乗って走り、「やぶさめ」のように海辺を飛ぶ鳥を弓矢で狙っていた。正直、格好良すぎた。俺たちは、その夜、久しぶりに焼いた鶏肉を食べることができた。
そうした満腹で幸せな夜に、とんでもないことが起きたのだ。
まず、馬のいななく音でジャックとサファイアが目を覚まして、二人が大声で叫んだ。
「みんな起きて!キャンピングカーが沈んでいる!」
俺が目を覚ました時は、既に、キャンピングカーの天井から二十センチのところまでしか空気がなかった。全員、キャンピングカーの天井から二十センチの空気を必死に吸って、息をしようとしていた。
俺は一番上のベッドに寝ていたので、ギリギリそれでも水に濡れていなかったのだ。
俺は事態を把握して、思わず叫んだ。
ナディア姉さん、満潮の計算間違えてるーーー!!!!!!!
キャンピングカーの中の水位がどんどん上がって来た。
まずい!ここから脱出せねば!
その時、溺れかけた声でジャックが水を半分飲みながら叫んだ。サファイアも、半狂乱でキャンピングカーの窓の外を指差している。キャンピングカーの外は海だ。窓から魚が泳ぐのが見えた。
え?光っている?
黄金の魚?
溺れかけた声でジャックが言った。
「トラビコン(ゴホゴホゴホ、、水を飲んでしまっている)の魚!」そして、必死で頭につけたカメラアプリでパシャッとその魚を撮った。
「トラビコンの魚を認識いたしました。」
ジャックのカメラがかろうじて水から浮いた瞬間に、爽やかな声で俺たちにそう告げた。
そこからはもうみんな必死だった。半分、溺れかけた状態で、水中に潜り、キャンピングカーの窓から、海の中を泳ぐその黄金の魚を次から次にカメラアプリに認識させた。
カメラアプリは防水だった!
全員がカメラアプリで認識し終わってミッションクリアした時には、既に、天井から数センチのところまで水が来ていた。
「食べ(ゴホゴホ、、水を飲んでしまっている)もの、誰か!」若き伯爵が言った。
ピーターが水に浸かってしまったキャンピングカーの中を泳いで食べ物を探した。サファイアも潜った。ナディア姉さんが弓で射って、焚き火で焼いた肉を葉っぱで包んで、細い草で包んだものをサファイアが運よく見つけた。サファイアはそれをピーターに渡した。
皆、おぼれかけながら、全員で手をつなぎあった。
俺は、その瞬間にキャンピングカーの小さな窓を渾身の力で開けた。そこから黄金の魚の群れが入ってくるのを、意識が遠のく中で見た。そして、さっきまで自分が寝ていたベッドのシーツでふわりと囲った。息ができない・・・酸素が足りない・・・
俺はゆっくり意識が遠のくを感じた。右手にはシーツを持ち、左手にはリュックを持ち、必死で左手をさらに伸ばしてレオと手を繋ごうとした。が、呼吸が苦しすぎて、意識が遠のいて行く・・・
ピーターが溺れかけながら、ゴニョゴニョ言うのが、遠くで聞こえた。
「いでよ(ゴホゴホゴホ)、ドブネズミ(ゴホゴホゴホ)
誰かが、俺の腕を掴んだような気がした。
俺が次に気づいた時は、伯爵家のキッチンで、床に黄金の魚がピシピシと跳ね回っていて、俺はずぶ濡れの状態で床にひっくり返っていた。
あ?助かってる????
生きている?
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