48. カメラアプリミッション(ナディア)
空には雲ひとつなく、快晴だ。
さて、私は肩をぐるぐる回し、首も回し、手足をくるくる順番に回した。軽い準備運動だ。
無人島に来て6日目。
キャンピングカーは、砂浜の岩場の影に置かれていた。そこを基地として、私たちはトラビコンの魚とやらを探し回っていた。お馴染みのカメラアプリミッションだ。
飲水は3日で尽きた。
無人島サバイバル2日目で海水を真水に戻す方法を試した。それから、島の湧き水を探して回った。この調査により、島に住む原始人の村も正確に突き止めることができた。今は、湧き水の水を煮沸殺菌をして水を確保している。
龍者の実はついに種だけになった。
原始人たちに連れ去られたサファイアを救い出すために、颯介が最後の一口をかじったのだ。残っていた力だけでは、プテラノドンは素早く飛べず、彼らの攻撃をかわせるのか疑わしかったのだ。
迷わずに颯介は最後の一口を食べ、プテラノドンと共にさらわれたサファイアを奪還してきた。リュックに残った種も大事に持っている。
そして、私たちは、この5日で満潮と干潮をきっちり計算して割り出した。この島は、モン・サンミッシェルのように潮の干満が激しい島だった。私たちが着いた時は満潮に達していなかった。キャンピングカーの場所をどんどん陸に移動させた。
「おーい、ナディア!」ジャックが呼んでいんる。
若き伯爵が、ピーターととってきた魚を焚きで焼いていたのだ。どうやら、朝ごはんができたらしい。
私はカメラアプリを頭につけたまま、キャンピングカーから浜辺に降りた。
食べ物は、主に貝と魚だ。とった魚は全てカメラアプリで認識させたが、いまだにトラビコンの魚とやらは、幻の魚だった。誰もミッションに成功していなかった。
皆で、焚き火を囲んで朝ごはんを食べた。
「今日はあっちの岩の方に行ってみようと思う。」若き伯爵が、ノートの地図の1点を指差して言った。
颯介がリュックに持っていたノートに浜辺の地図を書き、そこにジャックと一緒に捜索エリアを細かく振り分け、皆で探し回っていたのだ。
「僕は、最後だから、プテラを呼ぶ力がなくなる前に、海の上ギリギリをプテラと旋回して、海中をのぞき込み続けてみるよ。」颯介が言った。
「私も乗るわ。」ジョージアが言った。
「僕も一緒に行く。」ピーターも言った。
「分かったわ。頼むわね。」私はにっこり笑っって言った。
私とジャックの龍者の実の力はとっくに消えていた。
力が消える前に、少しだけ、私とジャックは無人島の上空をプテラノドンで仲良く飛んだ。それは最高の飛行だった。
その時にこの島に潮の干満があることに気づいたのだ。
皆、自分たちで泉の水で洗濯して、何とか着替えを工夫していた。ミッションクリアにこれほど時間がかかると思っていなかったので、着替えを持ってきていなかったのは、痛恨のミスだ。
キャンピングカーの中は最高だった。近代的なベッドとトイレがあった。それだけで私たちのテンションは爆あがりだった。
だが、ある夜、キャンピングカーの周りを原始人に取り囲まれて以来、颯介は、夜、時々、プテラに口から火を吹かせながら、見回りで飛行して回っていた。原始人への警告のためのパフォーマンスだ。
それも昨晩でおしまいだ。颯介の龍者の実効果はまもなく消えるだろう。
食べ物も水もろくにない、下手すると原始人に襲われる無人島で数日過ごしたことで、私の心は、少しずつ、友人を死なせてしまったことへの動揺がおさまりつつあった。そして、強い強い揺るぎない覚悟に、動揺が変わるのを感じていた。
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