40. なんだって?
サバンナの風は気持ちよく、遥かかなたの地平線まで続く平原は穏やな時間を迎えていた。
俺は、どこまでも続く雄大な平原を真下に眺めながら、プテラノドンで悠然と飛ぶことをのんびり楽しんでいた。
ジャックとナディア姉さんが、アッバス王子にきついお仕置きを据えているのを横目で見ながら、久しぶりのプテラノドン飛行に大満足していたところだった。
「おおーい」どこからか、俺を呼んでいるような声がした。俺は辺りを見渡した。ジャックとナディア姉さんではない。
「おおーい」今度は、女の子の声がした。
ええ?
ピーターとジョージアとレオがサバンナに姿を現していた。
俺は驚いてプテラノドンで舞い降りた。
「どうしたの?」
「これ、パンと肉とコーヒーの差し入れだよ。伯爵から。」ピーターが袋を差し出した。
中には、カゴに入ったパンと焼いた美味しそうな肉と、ダッカー王子が若き伯爵にあげたスタバのステンレスボトルが3本入っていた。
最高だー!サバンナでピクニックだー!
俺は、テンション上がって、遠くにいるジャックとナディア姉さんに合図した。ジャックとナディア姉さんはちょうど落ちてきたアッバス王子を2匹のプテラノドンに助けてもらいながらキャッチした後に、やってきた。
(アッバス王子は少し泣いていた。)
「伯爵からの差し入れだって。」俺は二人に言った。
「やるわね!」ナディア姉さんも笑顔で嬉しそうに言った。
その時だ。みんなの笑顔が引きつるような事が起きた。
「待って!見ろ!バッファローの群れだ!」
ジャックが遠くを指さして鋭く言った。
確かに、バッファローの大群がこちらに猛烈なスピードでやってくるのが見えた。
「きっと、あなた達がサバンナに登場したからね。」ナディア姉さんがそう子供たちに言った。
慌てて俺は、ジャックとレオを自分のプテラノドンに引き上げた。ナディア姉さんはジョージアを乗せた。既にジャックはアッバス王子を乗せていた。
みんなで例の高い木の上までサバンナ上空を飛んで行った。
そして、バッファローが通り過ぎてしまうまで木の枝に座ってコーヒーを飲んだり、パンを食べたり、肉をつまんだりして過ごした。
アッバス王子は、泣きながらも嬉しそうにありがとう、ありがとうと言いながら食べていた。
ジャックもナディアも、辺りをプテラノドンで旋回しながら、のんびりパンを食べたりして、とても幸せそうだった。
「ね、どういう知り合いなの?」ジョージアがナディア姉さんにアッバス王子のことを聞いた。
「私の競走馬の前の持ち主よ。」ナディア姉さんは一応事実を伝えた。
「競走馬って?」レオが聞いている。
「足の速い馬よ。馬同士で競争するのよ。」ナディア姉さんはそう答えながら、はっとしたように顔を輝かせた。
「みんな、競馬場に行ってみる?」
ええ?
「みんな、私の馬を見てよ。本当に最高なんだから!」ナディア姉さんは子供たちに言った。
「見たーい。」ジョージアとレオが歓声を上げた。ピーターもニコニコしていた。
「ニューヨークステージに進んで、競馬場に行って戻ってきましょう。」ナディア姉さんの一言で、次の行き先が即決した。
俺たちは、もう何度目かわからないけど、王の文字のある岩まで飛び、全員で手をつないで、王手をかけた。
そして想定通りに、あのニューヨークの通りにワープして、皆の頭上に巨大な「ゲーム スタート」の文字が出現したのを見た。
しかし、予想外の事が起きた。
そこにはサファイアはいなかった。いや、いたのだが、既にピーターそっくりな男の子と一緒にスタバに入ろうと歩いて行くところだった。ダッカー王子が呪いを解かれたので、ダッカー王子がその場にいないのはみんな予測していた。でも、サファイアが誰かゲーム参加者の男の子と歩いていることと、その男の子の後ろ姿は問題だった。
「サファイア!その子は誰?」ジョージアが声をかけた。サファイアとその子がこちらを振り返った。
その瞬間、みんな、息を飲んだ。そして、自分たちの隣にいるピーターと、サファイアの隣にいる子を見比べて、訳がわからないといった表情で顔を見合わせた。サファイアの隣にいる子もこっちを見て驚いた顔をしていた。その子はあまりにピーターに似過ぎていた。
「あなたは一体誰?」ジョージアが聞いた。
「ミラン・ガストロノムスバックストッカーだ。」そのピーターと同じくらいの年齢の子が言った。
「じいちゃん?」3人の子供たちは一瞬顔を見合わせて、そう叫んだ。
なんだって??
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