38. 空に吹っ飛ぶー
私は本気だ。
サバンナに飛び込むと、バッカス王子のまつ毛は細かく震え、唇の橋は歪み、体もガタガタ細かく揺れ始めた。
本当にいい気分。
私は彼に言い放った。
「ここは、バッファローの通り道よ。早く逃げないと、あなた、バッファローの群れに何千回も踏み潰されて死ぬわよ。」
颯介がさりげなく、龍者の実を差し出した。私はさりげなく少しだけ一口かじった。ジャックに回す。ジャックもさりげなく一口かじり、また龍者の実を颯介に手渡した。颯介もほんの少しだけかじった。
一体、何の儀式だ?と言うような目で、ガタガタ細かく震えるバッカス王子は私たちを見ていた。
生存するための儀式なのよ。
「さあ、行くわよ!」
私はジャックと颯介に言い、猛然とダッシュを始めた。すごい速さだ。もともと龍者の実の効果はぎりぎり残っていたはずだが、今足された効果で十分だ。3人とも信じられないスピードで走った。
私たちは、今、インクレディブルのファミリーのようなスピードに見えるだろう。もしくは、ヴァンパイアかもしれない。
ピーターとジョージアとレオが話していた、最初に生き延びた高い木はすぐに目に入った。
「ぎゃあ!」
バッファローの大群は想定通り、規則正しく時間通りにやってきていた。アッバス王子が悲鳴をあげて死に物狂いでこちらの方に走ってきた。なんて滑稽なの・・・
思い知るがいい。とことん苦しむがいい。
ついに、私たちの頭上にプテラノドンが3匹登場した。私たちは慣れた仕草で、さっとそれぞれのプテラノドンにまたがった。
私はジャックに合図をした。
私とジャックのプテラノドンはそこで急展開して、アッバス王子が先頭バッファローに追い付かれる寸前の瞬間を救助した。そして、それぞれアッバス王子の腕を持ってギリギリバッファローの頭に当たらないレベルまで引き上げた。
「ありがと!」バッカス王子は救われて思わず叫んだ。
アッバス王子の左手を、プテラノドンに乗ったジャックが持ち、右手をプテラノドンに乗った私が持った。
お母さんとお父さんがよく小さな子の両手をそれぞれ持って、ブラーンと振ってあげて小さな子が喜ぶあれにそっくりな構図だ。
「ご、ご、ごめんなさーいいいい!バッファローに足が当たる!」
アッバス王子がまた泣きそうな顔で言った。
彼は、自力でなんとか必死で足を持ち上げていた。
これから、私を殺そうとした罰がどんなものか思い知らせてやる。
アッバス王子の真下をバッファローの群れが剛速で走り去っていた。
バッファローの群れとほぼ同じスピードで私たちのプテラノドンは走っているから、永久にバッファローの群れの真上を危なっかしく腕で吊られて、アッバス王子はぶざまな格好で飛んでいる構図だ。
「なに?聞こえないわ!」私はアッバスにとぼけて叫んだ。
「ごめんなさーい。二度としなーいいいいい!」
アッバス王子はついにズボンを数匹のバッファローに持ち去られて、パンツ1枚になった。ピンクのパンツだった。見たくはなかった。
「行くわよ!ジャック!」私は合図をして、ジャックと一緒に両側のプテラノドンから腕を振り、思いっきり空高く、アッバス王子を空中に放り投げた。アッバス王子はクルクル回転しながら空高く飛んだ。
「あんなことは二度としませーん。」かなり遠くの空から、アッバス王子の声が戻ってきた。
さーて、次はどうするかな・・・
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