17. 空港で(ナディア)
ラグジュアリーなVIP専用の空港ラウンジは、一般的な金持ちで賑わっていた。本物の富豪はプライベートジェット機を使う。
しかし、今日はジャックと一緒に世界的な有名作家としての顔で、一般利用客と一緒に航空機を利用するのだ。もちろん、ファーストクラスだ。
ジャックの荷物の中は、ほぼ無印良品でたまにラルフローレンが放り込んである。私の荷物の中はほぼGUで、やはりラルフローレンが気休めに放り込んである。
弓矢と小型の高性能銃と、金塊3本を、ニューヨークの秘密のアジトに送ってあった。怪しいものを今日は持ってはいない。
基本的に私たちはGU女と無印男だ。少しだけ二人ともユニクロを持っている。まあ、当たり前だ。持っていない人がこの世にいるなんて思えない。
もちろん、私の隣でご機嫌にナッツをつまみながらコーヒーを飲んでいるジャックは、私のアジトのことは一切知らない。どこでも肌身離さず持ち歩いているジャックのカウボーイハットは、ラウンジのテーブルの上に無造作に置かれていた。
今日は、朝から行く先々で私にサインを求める人々に、私が笑顔で気さくに対応する様子をにこやかに見ていた。
二人ともサングラスをかけて空港内を歩けば、例えGU女と無印男であろうと、有名人が歩いている雰囲気がダダ漏れしてしまい、ネットニュースにすぐになって世界を駆け巡った。
私は私に関する一般人が撮ったSNS上の写真が話題になっているのを、ニュースでチェックしているフリをしながら、こっそり犯人の踵に埋め込んだ機器がどこから信号を送ってきているか、衛星写真からの信号で詳しくチェックした。
大丈夫だ。奴らはまだ、私が何の情報を盗んで何を仕掛けようとしているか気づいていない。
いい気分だ。ニューヨークにジャックと一緒に一っ飛びして、それからこっそりアジトから、弓矢と高性能銃二丁と、金塊三本を持ち出してこよう。
今回は、初の未確認飛行物体だ。金塊が役に立つかもしれない。役に立たないとは言い切れないわ・・・
私はにこやかにジャックを見つめて、にっこりする。
「ジャック、そろそろいきましょうか。」




