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13. 田中さん?(颯介)

 俺は、まっすぐ宿泊しているホテルに向かって歩いた。時刻はもうとっくに昼を過ぎていたし、スタバでゆっくりとコーヒーを飲んでいてから数時間は立っていた。自分がお腹が空いたことに気づいた。


 なんて状況だ。正直、今さっきまで自分の身に起きていたことが信じられない気持ちでいっぱいだった。翼竜に乗って空を飛びながら、タスクを消化していたら忍者に襲われた。誰も信じないだろう。頭がおかしくなったと思われるのがオチだ。この街で話せる相手がいないのは事実だし、こんな話は一生誰にも言えない。


 目の前に田中さんが歩いていることに気づいたのはその時だ。見慣れた地味な姿が、ニューヨークの街並みの中でもくっきり目に飛び込んできた。


 え!!!偶然だ!


 俺は心臓がバクバクしてきて、耳鳴りがするかと思うほどの興奮を覚えた。偶然、本当に出会った!


 声をかけなければ!


「田中さん?」


 俺は大きな声で前を歩く田中さんに声をかけた。田中さんはくるっと後ろを振り向いて、心底驚いた顔をした。


「え?あれ?」

「あー、俺は同じフロアで働いている新城です。」


 田中さんは、俺の名前を知っていないかもと不安になり、思わず名乗った。そうか、まだ名前を覚えられていないかもしれない。俺は焦った。顔も覚えられていないかも?


「ああ、新城さん!すごい偶然!」

 田中さんは眼鏡の奥の目をまん丸にして、驚いた顔をしてから笑顔になった。


 ああ、最高だ!本当にニューヨークの街で偶然に出会って、話せた!


 体がとろけそうになる。どこかで鐘の音がする。ああ、そうか。これが結婚相手に出会った瞬間に鳴るという噂の神の鐘の音か。そうか、そうか、結婚相手かー?その瞬間、ぐらっと世界が揺れて、俺は体が引っ張られるのを感じた。


 え?なんだ?

 

 次の瞬間、俺は、あのぼろぼろの格好した3人の子供たちの目の前に立っていた。




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