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10. ジャック目線

僕はジャック・ストーン。二十三歳のカウボーイだ。親の牧場で働いている。一年の大半は荒野を疾走している。妻のナディアとは新婚ほやほやだ。ナディアは売れっ子作家だ。僕は彼女の本は一冊も読んだことがない。


あるとき、プライベートジェットに乗って数日ナディアは出かけていた。僕も牧場の仕事があったので、家を不在にしていた。


その日、先に帰宅したのは僕だった。

夜遅くにナディアが帰宅し、それから一人でずっとリビングのソファに座り込んで何かの写真を数枚を眺めていた。

そういう時は、僕は話しかけないことに決めている。新作のストーリーを練っているのかもしれないし、何かの考えに夢中の時のナディアは、下手に話しかけない方が良いからだ。


「ねえ」ついに、ナディアが僕に話かけた。僕はその時、リビングの隅に置かれたグランドビアノでのんびりとピアノを弾いていた。ピアノは得意分野だ。


「なんだい?」僕はピアノを弾きながら、ナディアの方を向いた。

「この写真を見てくれる?」ナディアが差し出した写真を見るために、僕はピアノを弾くのをやめた。一番上の写真をしげしげと見た。


「何これ?UFO?」僕は自分が見ている写真を、ぽかんと見ながら、つぶやいた。

「そうなの。」ナディアは答えた。

「合成写真?本物?」僕はめんくらって言った。


「本物よ。とあるニューヨークのある通りを映した衛星写真よ。」


僕はしげしげと写真を眺めた。どう見ても、本物に見える。

「今度の休みにニューヨークのこの辺りに二人で行ってみようよ。」僕はナディアに提案した。


ナディアは作家だ。世界中をプライベートジェット機で飛び回っているが、時間は割と自由に使っているはずだ。特に講演会などはしていない。ナディアの予定を決めるのはナディアだ。


一方、カウボーイの自分は親の牧場で働いているので、甘えた状況かもしれないが、親に1週間ぐらい休みたいと言えば、繁忙期でもない限り休暇は取れる。そうと決まれば、ニューヨークに1週間ぐらい行くのは悪くない話だ。


「ニューヨークに?行くわ!一緒に行きましょう!」ナディアは一気に元気を取り戻した。

「気になって仕方がないんだから、会えるとは限らないけど、見に行ってみよう。」ジャックは言った。


「そうね。楽しみだわ。」ナディアはワクワクした様子でうなずいた。これで、僕らがニューヨークに、衛星写真に映った未確認飛行物体を探しに行くことが確定した。




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