表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/96

7. キングの罰ゲーム(颯介)

「あなたは、なぜ幽霊なの?」


 ボロボロの服を着た美人の女の子が、輝かしいほどの美貌の男の子に聞いている。


 うん?セリフの練習か?


 俺は、隣の席でぼんやり聞いていた。ハリウッド映画ってのは、こんな男の子に幽霊の役をやらせるのか。そうか、そうか。設定ってのはそういうものなんだな。俺は黙って聞いていた。盗み聞きは良くないかもしれないが、よく聞き取れた。っていうか、俺ってそんなに英語できたっけ?


 俺はよく分からないが、隣の席の子供たちが話す言葉だけはよく理解できた。サファイアという女の子の母親は、ドーナツを買いに長いレジの列に並んでいて、子供たちのそばにはいなかった。


 男の子はにっこり笑って言った。

「キングの罰ゲームだよ。僕は君たちの国の王の子供だよ。僕も理由があって、このゲームに参加させられているんだ。今日は君たちがやってきた時に呼ばれた感じだ。」男の子は女の子に説明した。


「ちょっとした呪いのような罰ゲームだ。サファイアはその時に知り合ったんだよ。」


 うーん、変な設定の映画だな・・


 俺はコーヒーを一口すすって、考えた。中世ヨーロッパのボロボロの平民の子供三人と、その国の王の子供、つまり王子がゲームに参加する話なんだな。舞台は中世ヨーロッパか。にしては、男の子の服は現代っぽいぞ。あー、まだこの子は私服か。おしゃれな私服だなー、俺と違って。


 俺は感心して男の子を見て、自分の普通の服を少し恥じた。ユニクロだ。いや、ユニクロが悪いんじゃなくて、きている俺がダサいのだ。それは知っている。


 「王子は、もう生きていないの?」

 話を聞いていた一番小さな平民の男の子が単刀直入に聞いた。


 男の子は少し悲しそうに笑って言った。

「うん、呪いだからね。僕は僕たちの国に帰っても、もう生きてない。僕が見えるのは、ゲームに参加している君たちとサファイアだけみたいなんだ。」


 セリフにしてはうまいな・・

 さっすがハリウッド!

 

 ちなみに、俺には君がバッチリ見えてまーす。俺はそんなことを横で思いながら、黙ってコーヒーをすすっていた。偶然バッタリ田中さんに会おうという野望は忘れよう。だって、こんなにレアなシチュエーションってなかなかないぞ。スタバに入ったら、隣にハリウッド映画の子役がいて、衣装もきている状態でセリフの練習をしているなんて、素晴らしいじゃないか。



お読みいただきまして、ありがとうございました!


もし、少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、もしくはイイネ、☆をつけて頂けると大変ありがたいです。

今後の励みになります。


最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ