オイラーの自然数和について真面目に説明してみた
個人的備忘録。
間違っていたらゴメンなさい。
自然数の総和をSに置き換えて考えますと、
S=1+2+3+・・・n で、nが無限大の時ですから
S=Lim[n→∞]n(n+1)/2 = ∞ という数式が成り立ちます。
S=1+2+3+・・・nは 底辺1x高さの長方形の和(高さが1+2+3+・・・n)の面積と同じ数値になるのは理解できると思います。長方形で底辺が1なら高さの数値がそのまま面積の大きさになりますから。
この面積の答えを求めるには底辺n、高さnの直角二等辺三角形の面積と
長方形の先端の部分にあたる底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足したものになりますので、それを考えればよいわけです。
底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積は1x1x1/2となり、1/2です。
上記からS=1+2+3+・・・n は
底辺n、高さnの直角二等辺三角形の面積である n²/2 と
底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足した n/2
を足したもの、n²/2 + n/2 となり、これをまとめることで
S=n(n+1)/2
という数式が成り立つことが証明できたと思います。
一方でS=1+2+3+・・・n で、nが無限大の時
S=-1/12
という数式が知られています。
これを唱えたのは数学者のオイラーですが、この数値がどこから出てきたのか、それを説明したいと思います。
* * *
S=1+2+3+・・・n ですが、ここから少し式をいじります。
まずSを4倍して、4S=4+8+12+・・・4nを作り、Sから引きます。
S=1+2+3+4+5+6・・・n
-4S= -4 -8 -12・・・4n
すると
-3s=1-2+3-4+5-6・・・-3n
……とはなりませんよね。
-4Sの部分を2つおきにずらしているので、面積で考えるなら底辺を二倍にしているので実際に引いているのは直角三角形の底辺の半分だけのはずです。
さきほどと同じく面積で考えるなら、底辺が二倍ならば高さを半分にすれば同じ面積になります。
先端の直角二等辺三角形も半分だけが使われているので、実際に引いている部分をS1とすると
底辺がn、高さが1/4の直角三角形の面積と
底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足した n/2の 半分
S1=n²/8 + n/4
となり、引かなかった部分をS2とすると
S2=3n²/8 + n/4
となります。
S1 と S2 の和は
S1+S2=n²/8+3n²/8+n/4+n/4 = n(n+1)/2
ですから、S=n(n+1)/2と矛盾していません。つまり、
S=1+2+3+4+5+6・・・n
-4S= -4 -8 -12・・・4n
――――――――――――――――
-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)
こうなるはずです。
ここからさらに同じ式を足すと
-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)
-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)
――――――――――――――――
-6S=1-1+1-1+1-1・・・ - 8(3n²/8 + n/4)
これを計算して
-6S=1-1+1-1+1-1・・・ - 3n² - 2n
S=-(1-1+1-1+1-1・・・)/6 + n²/2 + n/3
となりました。
ここでもう一度上の式を見返してみます。
-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)
-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)
お判りいただけたでしょうか? 下の式は一つずらしていますよね?
ですからnが奇数の場合は+n、偶数の場合は -nを加える必要があります。
また、nが奇数の場合はnの一つ手前(n-1)が偶数になるので
奇数の場合:S=-(1-1+1-1+1-1・・・+n)/6 + n²/2 + n/3 = -(1+n)/6 + n²/2 + n/3
偶数の場合:S=-(1-1+1-1+1-1・・・-n)/6 + n²/2 + n/3 = -(0-n)/6 + n²/2 + n/3
先に偶数を見ましょう。-(0-n)/6=n/6 ですから
S=n/6 + n²/2 + n/3 = n²/2 + n/6 + 2n/6 = n²/2 + n/2 = n(n+1)/2
これって最初の式である S=n(n+1)/2 と同じになりましたよね?
ではなぜ奇数の場合と数値が違ってしまったのでしょうか?
これってじつは最初に4倍して引いた時に問題が発生していたのです。
S=1+2+3+4+5+6・・・n
-4S= -4 -8 -12・・・4n
偶数の場合だとこのように問題ありませんが、
S=1+2+3+4+5・・・n
-4S= -4 -8・・・・4n
nが奇数だった場合、実際は最後の数であるnが引かれていないという問題が起こってしまっていたのです。そしてその分の調整が n=奇数の場合には必要になるわけです。
S = -(1+n)/6 + n²/2 + n/3 = -1/6 - n/6 + n²/2 + n/3 = n(n+1)/2 - n/3 - 1/6 + (2n+1)/6 ←
要するに、最後に付け足した(2n+1)/6が引かれなかった部分というわけです。
オイラーの自然数和 S=-1/12 という数字は
-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)
-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)
の式で、ズラした分の奇数の場合は+n、偶数の場合は -nという数字を省略し、
さらに奇数と偶数では数値が異なる意味合いを無視して
1-1+1-1+1-1・・・ = 1/2
として計算しています。
-6S=1-1+1-1+1-1・・・ = 1/2
S=-1/12
がいかに乱暴な代入で出てきた数値か、というのがこれでご理解いただけたかと思います。
さらに
S=1+2+3+4+5+6・・・n
-4S= -4 -8 -12・・・4n
で引かれなかった右半分の数値を無視した上で無理矢理だした数値だとしか言いようがありません。
まとめると、
奇数の場合:1-1+1-1+1-1・・・+n ← からnを省略
偶数の場合:1-1+1-1+1-1・・・-n ← からnを省略
さらに奇数の場合の -1、偶数の場合の 0 になる意味合いをまったく考慮せず、足して2で割っただけですから
S=-1/12
という数式は、証明で出た誤差を埋める数値の一部を、ただ意味もなく半分で割っただけのもの、という結論になります。
証明終わり。
補足: S から 4S を引くとき 4S の比率を勝手に 1/4 に変えちゃってるよね。
というのがこの説明の肝です。
図に直してみると一発で理解できると思います。
まさに百聞は一見に如かずという見本のような証明になるでしょう。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。