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わたし、意外とモテるらしいです

 世の中そんなに甘くなかったよ!


 アリスがこの伝統ある王立学院アースハイム校に入学して早一週間、できた友達の数二人だけ。


 つまり、最初に(強引に)友達になったリルムとドロシー以外友達はできていない。


「なんで?」


 思わず涙を流し、天を仰ぎ見てしまう。


「その奇行のせいじゃない?」


 とはドロシーちゃんの言葉。


「え? わたしって変かな?」


「とびきり変わってますわ」


 との返答。


「そ、そうか、わたしは変なのか……」


 田舎暮らしが長く、周りに同世代の友人が少なかったせいもあるかも知れないけど、どうやらアリスは変な子に見えるらしい。


「や、やばい……」


 思わずそう漏らしてしまうが、いったい、どこが変なのだろうか。


 是非、改善点を教えて貰いたいところだ。


 アリスはリルムの方向を向く。


 両手を合わせてお願い、と泣きを入れる。


 リルムは、「アリスちゃんは変な子じゃないと思うけどね」とさりげなくフォローしてくれた後で、こう付け加えた。


「たぶん、みんなアリスちゃんに嫉妬してるんじゃないかな?」


「嫉妬?」


 全く身に覚えがないんですが。


 そういう顔をしていると、ドロシーが注意する。


「それですわ。その無自覚がいけませんの」


「……え、そんなこと言われても」


「エリート揃いのはずの魔術科にSランクで配属。しかも、嫌みたらしいところが一切ない。さらにいえば可愛い。たぶん、みんなそこにむかついてますの」


 ドロシーはそう断言をすると、「無論、Sランクの座はわたくしが奪い返しますが」と付け加えた。


「ちょっと待って? Sランクなのは認めるけど、可愛いってのは?」


 その言葉にひときわ深く反応したのは、リルムだった。彼女は「やっぱり気がついていなかったか」とため息を漏らすと、こう付け加えた。


「アリスちゃん、入学したときから男子に見つめられていることに気がついてる?」


 ぷるん、ぷるん、と首を横に振るアリス。


「それじゃ、男の子たちがさりげなくモーションを掛けてくれてることにも気がついていないみたいだね」


 と、吐息を漏らすリルム。ドロシーもそれにならう。


「モーションというと?」


「男子たちがさりげなく椅子を引いてくれたことない?」


「さっきされたけど?」


「花を貰ったことない?」


「さっき、麗しの君に、って一輪のバラを貰ったけど?」


「勉強を教えてとせがまれたことは?」


「あるよ。でも、わたし、魔術は苦手なんだよね」


 にはは、と頭をかく。


「やっぱり自覚ゼロだよ。自分がモテモテだって気がついていないよ!」


 と、リルムは突っ込みを入れてくる。


「いいアリスちゃん、それはみんなアリスちゃんへの好意の印なんだよ? お付き合いしてください、って意味なんだよ?」


「まさかー、だって、わたし、貧乏貴族の娘だよ。しかも末の」


 そんな娘をお嫁さんにしたい、というお貴族様がいるのならば、一度、お会いしてみたい。


 アリスの姉は、結構いい歳をしているが、いまだ見合いの話ひとつない。


 理由は単純明快。貧乏で持参金が期待できないからだ。


 さらにいえば持参金どころか借金を肩代わりさせられること必定であった。


 クローネ家の懐事情は非常に悪い。


「それにこの魔術科にはわたしよりも身分が高い子が一杯いるしなあ」


「いや、身分とか関係ないと思うよ。それに逆じゃないかな。侯爵様とか伯爵様のお嬢様は皆、気位が高いから、男の子も辟易してると思う」


「なるほど、一理あるかも」


 確かに大貴族様、大商人様と呼ばれるクラスメイトの子たちと(無理矢理)話してみたが、皆、高飛車というか、鼻持ちならない子たちだった。


 つまり、するというとあれか、アリスのような純朴な田舎娘の方が一緒にいて心休まる、ということか。



(そういえばとある本にも書いてあったな。高貴な人ほど身分の低い女性を好み、身分の低い人ほど高貴な女性を好む、という話を……)



 たぶんだけど、身分の低い成り上がりの人は、出自が悪い、というコンプレックスから、身分の高い女性でそれを補おうとする。


 逆に生まれつき高貴な人は幼い頃から気位の高い令嬢に接しているから、気取りのない平民的な女の子を側に置きたくなる。


 そんな話を聞いたことがある。


 実際、現国王であるルドルフ4世陛下も、皇太子を生んだ王妃ではなく、平民出身のお妾さんを寵愛されていると聞いたことがある。


 なんでもそれが原因でかなり宮廷がギスギスしていて、ルドルフ陛下はそれでさらに宮廷が嫌いになり、平民出身の愛妾の館に閉じこもっているとか――。


 という話を姉上から聞いた。(姉上は王都のゴシップに通じまくっているのだ)


 そんなふうに思っていると、リルムはさらに追い打ちを掛けてくる。


「学業優秀、魔力万能、性格よし、可愛い。うん、男の子が放っておかないよ」


「そうですわね。アリスは分からないでしょうけど、貴族社会の娘たちは嫉妬が激しいから気をつけなさい」


「と、いいますと?」


 アリスがおそるおそるお伺いを立てると、二人はこれからアリスの身に降りかかる数々の不幸を予言してくれた。



「まず、椅子の上に画鋲が置かれているのはデフォね」

「あと、机の中に『死』と100個くらい書かれた手紙が入っているのもデフォかも……」

「それと、お約束の校舎裏への呼び出しは覚悟しておきなさい」



 有り難くない予言をいくつもくれる友人たち。


 彼女たちの予言は当たるのだろうか。


 アリスはおそるおそる未来日記を取り出す。


 最新のページには可愛らしい文字でこう書かれていた。



『ビンゴ♪』



 可愛らしい丸文字に音符まで添えられている。


 それを見てアリス・クローネは思う。


この未来日記の信憑性、存在自体はもう否定する気にはならないが、この文章を書いた『わたし』はいったい、いくつなのだろうか?


 とても分別ある大人の文章とは思えなかった。

「面白かった」

「続きが気になる」

「更新がんばれ!」


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