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はじめてのお友達

 魔法の試験から数日後、それぞれの適性を考慮した学科分けが行われた。


 アリスは当然の如く、エリート・コースの魔術科。


 一応、あれから思いっきり剣術の試験の手を抜き、儚い抵抗をしてみたが、結局史学科に入ることはかなわなかった。


「ううー、筆記試験は満点だったはずなのに」


『それが魔術科配属にプラスに働いたのかもね。クスクス(笑)』


 とは未来の自分の煽りだけど、確かにその可能性はあった。


 剣術の試験でS判定を貰えれば魔剣士科に配属されていた可能性も十分あった。


「どっちにしろ駄目じゃん!」


 アリスが史学科に入るには、魔術の科目D、剣術の科目D、筆記試験Sでよかったんだよ。



 どうしてこうなった!



 思わずそう叫びたかったが、取りあえずその気持ちは飲み込む。


 なぜならばここは王立学院魔術科の教室、教室で奇声を上げれば目立つこと必定。


 堅実謙虚、目立たず騒がずがモットーなアリスがそのような愚挙をするわけにはいかない。


 ここは沈黙は金なり、を地で行くように、寡黙に席に着いているべきなのだろうけど、それをクラスメイトたちが許さない。


 早速取り囲まれる。


 まず話しかけてきたのは、先日、試験会場で見かけたリルムちゃん。


 貴方は神聖科に配属されたのでは?


 と、思っていたのだけど、どうやら彼女は魔法の適性が高いため、魔術科に配属されたようだ。


「アリスちゃんすごかったです。まさかあんなに強大な魔法を操れるなんて」


「い、いえ、そんなことないですよ、た、たまたまじゃないかなあ」


「たまたまで的ごと吹き飛ばすなんてできないと思うけど……」


「いや、ほんとたまたまだよ。ほら、たまたまあの的だけ他の的より軽かったんだよ。うん……」


 と自分とリルムを納得させるようにいうと、逆に彼女に質問をした。


「そういえばリルムちゃん、リルムちゃんは神聖科を狙ってたんじゃ……」


 言葉が尻切れになったのは悪いことを聞いてしまったかな、と思ったからだ。


 もしも神聖科には入れなければ、郷里に連れ返され、金持ちのデブと結婚させられるといっていた。そんなBADエンドルートが確定した子に酷な質問かな、と思ったが彼女は笑顔で返す。


「魔術科を卒業すれば、自動的に神職の資格も貰えるんだよー」


 桜の花が開花したような笑顔だった。


 正直、羨ましい。


 魔術科も司書の資格をくれればよいのに。


 そう思っていると、もう一人の子が話しかけてきた。


 その子も試験会場で見かけた子だ。


 ドリルのような髪型をしたお嬢様。


 通称ドリルちゃんだけど、その本名はドロシー・ドロッセルマイヤーというらしい(必死で魔術科の子すべてを暗記した)


 彼女はリルムとは反対にこの世の終わりのような顔をしていた。


「我がドロッセルマイヤー家の子女が魔剣士科から落ちるなんて……」


 どうやら彼女は魔剣士科に配属されなかったらしい。


 魔術科も魔剣士科と並ぶエリート・コースなのだけど、彼女は不服のようだ。


 気持ちはよく分かる。アリスも今でも何とか史学科に入れないか、うじうじ悩んでるし。


 しかし、アリスとは好対照にうじうじしないのが彼女の長所なのかも知れない。


「でも、魔術科でも魔剣士科には見劣りしませんわ。いえ、伝統と格式ではこちらが上。それに成績上位者は格別の計らいで転科もできるらしいですし、あとは頑張るだけですわ」


 彼女は奮起するようにそういうと、くるり、とこちらの方に振り向き、アリスを指さす。


「そのためにはまず、アリス・クローネという宿命のライバルを倒さなければ。絶対に負けませんわ」


「ラ、ライバルなの?」


 思わず上目遣いで尋ねてしまう。


「当然ですわ。ぶっちぎりの成績で魔術科に配属された貴方が、今現在の魔術科の首席。つまりSランク。皆、貴方を打倒するために日々研鑽するのが筋というものでしょう」


「それは勘違いだと思うけどなあ……」


 しかし、ドリルちゃん、いや、ドロシーの闘志は尽きない。


「安心なさい。次の定期試験ではわたくしが華麗にトップの座に返り咲いて、貴方を次席にしてあげるから。そうしたら少しは肩の荷が下りるでしょう」


 それは助かります。


 できればそうしてください。


 そういう意味も込めてアリスはドロシーに手を差し出す。


「……これはなんですの?」


「握手です。友達になりたくて」


 ドロシーは、なんなのこの子? わたくしがライバル視していることに気がついていないの? という顔をしている。


 握手してくれるかな?


 思わずどきどきしてしまう。


 アリスがよく読むその手の小説ならば、この手の高飛車キャラの相場は決まっている。


 彼女がテンプレ・キャラならば、ここで、


「誰が貴方みたいな貧乏貴族と友達になるもんですか」


 と手をはね除けるのが物語の定石だけど、どうやら彼女はそこまで底意地は悪くないらしい。


「べ、別に友達なんて欲しくないけど、ま、まあ、握手くらいならばしてあげなくもないわ」


 そういうと気恥ずかしげに手を握り替えしてくれる。



(これがツンデレという奴か~。初めて見た)

 


 ちなみに彼女の手はマシュマロのように柔らかくて温かかった。 



その後、もちろん、リルムちゃんとも握手。


 他のクラスメイトたちとも握手をし、友達の輪を広げておく。


 魔術科の一年生は総勢30人。


 全員と友達になれたとしても友達百人できるかな計画の三分の一しか目指せない。


 計画を達成するためには、是非、他の科の子とも友達にならねば。


 そう決意するアリスであった。

「面白かった」

「続きが気になる」

「更新がんばれ!」


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