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十二話 そして受け入れられる


 ルシードとアレスがぶつかって、隊長と隊員たちが互いの本心を知ってから、リグハーツ隊はきちんと休憩を取るようになった。


 そうすると、英気が養われるのか皆の顔色も晴れやかで行動にも機敏さが加わった。


(よかった)


 あの日以降、お茶を入れて隊員が詰めている部屋に運ぶのはレティナの新しい仕事だ。


(私でも、できることがあって)


 ――隊の雰囲気は、以前よりもずっといい。


 それが周囲にも分かるのだろう。

 レティナがリグハーツ隊の見習いとして小間使いのような仕事をしていると知っているため「なにかあったのか」と聞かれるようになった。


 もっとも、ただきちんと休憩するようになっただけなので、聞かれてもレティナも困るのだが……。


 しかし、それも数日続けば飽きるのだろう。今日は誰にも捕まらなかった。

 無事部屋の前にたどり着いたレティナが扉をノックすると、ルシードが顔を出す。


「……レトか。中に入れ」

「おっ。レト君だ。じゃあ、そろそろ休憩ですね~」


 その後ろからアレスが顔のぞかせて、パッと笑顔を見せた。


「そうだな。全員集まったし、報告をあげてから一度休憩にしよう」


 ルシードが頷けば、全員がわっと歓声を上げる。


「それでは僕は、一度退出します」


 ルシード達はなにか大きな事件を追いかけていることは、アレス達がこぼして知っている。

 レティナは、信用されていない自分がまわりをうろちょろしては邪魔だろうと、いつもはだいたい報告が終わるような時間を狙ってお茶を運んでいた。


 だが、今日は少し彼らの調査時間が押していたらしい。彼らの会議はまだ終わっていなかった。


 お茶だけ配って一度下がればいいかと手にしたトレイに目を落としたレティナだったが、ルシードはしばし黙り、それから首を横に振った。


「いや……お前も中に入れ」

「……え?」


 体をずらして、部屋に入れてくれようとするルシードに、レティナは戸惑いの声を上げてしまう。


 すると、ルシードはバツが悪そうに視線をそらした。


「……俺だって人を見る目くらいはあるつもりだ。……お前が信用の置ける人間だと言うことは日頃の仕事ぶりで分かっているつもりだ」

「リグハーツ隊長……」


 レティナが感動していると、ふたりを呼ぶ隊員達の声がする。


「ほら、早く来い」


 ルシードに促され、レティナは「はい!」と頷いた。

 ――自分自身を認められた気がして、なんだかとても嬉しかった。


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