グレムリン
オッス! オラ吾郎だ!
オラは今、みんなのちょっと先の未来で、重機の修理屋をしてるロートルのオヤジだ。ホラー小説ってヤツに応募してるけど、ちっとも怖くねえから、ちびっ子たちも読んでくれよな!
じゃ!
「たく、もおぅ。俺は95だぞ。少しは年寄りを労われってんだ! ハア!ハア!」
「ゴローさん。もう少しです。あと200m程で目標に到達します。」
「バカヤロウ! 俺はなあ、会社に文句言ってんだよ。アホの滝山に!」
「今の部分は記録から削除しておきます。」
アンドロイドのKPR806は気を利かせて俺の悪口を削除した。
KPR806のAIはけっこう古い。会社としても新型を購入したいところだろうが、先立つものが無いのか、単に出し惜しみしているのか。とにかく今はアップデートでしのいでいる状態だ。
「とにかく、一服だ、一服。」
「作業効率低下20%。また肺がんになりますよ、ゴローさん。」
「うるへー! またなったら肺を丸ごととっかえりゃ済むだろうが。」
そう、俺は20年くらい前に既に死んでいる。ステージ4の肺がんで、余命宣告もされた。ただ、当時の最先端医療で、自己細胞から体の部位を作り出す技術で自分の肺を移植した。人類初という事もあってかかった費用は全てチャラ。要するにモルモットだった訳だ。もっとも次は実費だろうがね。今はある程度当たり前だけどよう、老化停止の遺伝子操作も行ってんだ。そうでもしないと95で現役ってのはなかなか厳しいからな。けどよ、停止とは言ってるけどな。どうだか分からんね。今の俺の外見は60代くらいだろう。それでも少しづつ年を取っている感じがするのさ。
「タバコは体の機能を著しく損ねます。」
「そんな事ぁ。分かってんだよ。ハチ!」
分かっていても吸ってしまう。分かっているのにまだ国は販売をやめない。今は(インフレも進んだが)1本300円のタバコだから、吸い過ぎる訳にもいかない。95年も生きてるけど、世の中けっこういかないことが多すぎるね。
ちなみに俺はこいつの事をハチとかハッチャンとか呼ぶ。愛称を付けるのは昭和世代だけだと令和生まれの滝山に嗤われたけどさ。相棒としちゃKPR806、48号機とか言いたくないじゃないか。
そういや自己紹介がまだだったな。
俺はゴロー。苗字はちょいとはにかんで言わないことにするけど、俺は重機の修理屋だ。修理屋ってのは昭和臭すぎるかな。じゃあ、メカニックドクター。そんな大それたもんじゃねえな。やっぱ修理屋が一番しっくりくるね。
今あんたが読んでる時代の少し先の世界で俺は生きてる。「そのころの日本はどうなってるか?」だって? そいつは秘密だよ。未来ってのは夢があった方がいいだろ?
まあ、それでも少子高齢化はどんどん進んだし、コロナのお陰でテレワークが仕事の主流になって行きましたよ。ただね、現場ってやつはテレワークだけじゃどうしてもできないこともあってな。現に重機もAIのお陰で無人化は進んだけれども、それでも未だに現場にゃ人がいる。法律のせいもあるだろうが、予期せぬ出来事が起こった場合に備えて人がいる。大抵は飯場(現場事務所)で時々モニターを見ながらゲームやってるけどね。今日の現場監督も暇そうにスマホいじってたっけ。
そうそう、ハッチャンの事も紹介しとかねえとな。
ハッチャンとかハチとか俺は呼んでるけど、犬じゃねえ。さっきアンドロイドって言っちまってるから分かっちゃいるだろうがね。こいつは今の俺の相棒。さすがに現場勤め77年とはいえ、筋力も落ちてるし、なにより技術の進みについていけねえ。それでも昔取った杵柄ってやつで、現場で簡単な修理ぐれえはなんとかできる。法律上、修理ロボットだけを現場にやることは出来ねえんで俺みたいなロートルのオヤジがついて行く訳だ。
なにしろ、定年が65になったと思ったら。あっという間に70。そんでもって定年なんて制度は無くなっちまった。年金制度は崩壊して、働ける人間は死ぬまで働き詰めなきゃならない。これじゃどっちがロボットか分かんねえよな。ハハハ。おっと、未来の事を喋りすぎちまったぜ。
ところで俺は、今日お得意さんの重機が故障したってんで、山の中を歩いてる。なにせ現場は人里離れた深い山ン中だ。こんなところで何をしてるかだって?
電力事情の逼迫で、今は昭和30年代くらいの発電施設の建設ラッシュって訳でな。えらい山ン中だけど、ここにも発電所を作るんだと。どんな発電所かって言うとだな、集光式太陽発電っていうものらしい。昔の太陽光発電は広い土地が必要で、日本の地形じゃ限りがあるんだろう。コンパクトに太陽光を集めて発電能力を上げているんだと。仕組みは解らねえけどな。どうせ大そうな事を言っても所詮は外燃機関だろうさ。火力発電や原発と大して変わらん・・と思う。
山の中にある現場なんだが、昔のように林道を切って、作業車がドカドカ入るってことは環境保護の観点からやめにしたらしい。ほぼ空輸ですべて現場に入る。俺たちも近くの廃村の連絡現場まで車で行って、そこからドローンバイクでここまでやってきた。現場にまっすぐ行かねえのは、お客さんの決まりだから従うしかねえ。それでも徒歩で1kmの山道は堪えるねえ。あと70は若かったらどうってことあなかったンだけどよう。
おっと、話が長くなっちまったな。仕事に戻らあ。
目の前には夏空に巨大な入道雲。日差しが痛ぇくれえ強烈だ。山の上は木が薙ぎ払われ、でこぼこの地面がきれいに整地されている。削った土砂は再利用されて土盛りに使われる。昔よりは大幅に経費が掛かるはずだが、環境保護とかエコって言葉の免罪符がコストを上回るようになった。だが、それはそれで仕事を生み、儲かる会社も出てくるって寸法だ。
俺たちが目指すのは、【ヨーダ社製PAX128-9】パワーショベルだ。発売から1年っていう新製品。お決まりのごとくエンジンは水素エンジンだ。燃料の水素は現場事務所で水を電解して燃料にするという涙ぐましい努力を行っている。化石燃料を使う重機も今はほとんど姿を消した。第一、燃料の調達が難しくなった。電池式もひところ流行ったが、やはりパワー不足は否めない上に、故障が相次いだもんで、今はエコな水素エンジンが主流になっている。まさか自動車会社が重機を作るようになるとは思わなかったが、これも時代の流れなんだろうなあ。
それはそうと、仕事にかかるとするか。(ハッチャンもにらんでるしな)
今回の仕事は原因不明のエラーコードの解析である。ほかにチョコチョコっとした細い仕事もあるが、そっちはまあゆっくりでいい。ともかく動かなくなっちまった機械をなんとか動くようにしないといけない。実はこのエラーが発生して、機械は制御を失って他の機械を損傷させた挙句、エンジンが勝手に停止。そこから遠隔で再起動させるも、また暴れては止まると言う大事だったのである。本来ならメーカーがやってきて調査に当たる案件なのだが、仕事の都合で数日遅れるらしい。そこで、とりあえず、俺たちがメインの基盤を持ってやってきたってことさ。要するにメーカーのメカニックは来たがらない場所と言っていいんだろうな。メーカーとしてはとりあえず基盤の取り換えで正常に戻れば、あとは交換した基盤を解析すれば済む。
「おい、ハッチャン。これなんだろうな?」
ひっくり返ってはいなかったが、自分で掘った溝に右のクローラを突っ込んだまま傾いてるPAX128-9のバケットのあたりに小さな石の塊が砕けて散乱している。それと一緒に古い木材で出来た屋根みたいな残骸もあった。
「古い祠の破損物と思われます。記録はありませんが、人家の残骸が見受けられます。墓場だったのかもしれません。」
「ふーん。昔は村でもあったんかなあ・・・?」
よく見ると、周りの森の間に古い家屋の後も散見できる。人が棲んでいる形跡は無いが、錆びたトタン葺きの屋根が苔と土に埋もれているところを見ると、昭和の時代くらいまでは人がいたように思える。それにしても、道と呼べないほどの小道しかないこんな山の中でよくも暮らしていたものだ。
「とにかく、俺はこいつを起こすから、ハッチャンはこいつの解析を頼むわ。」
「了解しました。」
俺はキャブドアを開けると。その中に潜り込んだ。無人機とは言うものの、人が入り込んでマニュアル操作を出来るようにしているので、ちゃんとシートや操縦レバーも付いている。それでも、緊急用だからその居住空間は狭い。
高級そうな真新しいビニールシートの埃を払って腰かけると、シートベルトと安全ロックをかける。エンジン始動前に、電源が入るか確認すると、電源は通常通り起動した。メインモニターのタッチパネルで、オートAIからマニュアルに変更する。エンジンをかけるのはちょっとだけ勇気がいる。万一マニュアルに変更されていない場合も考えられるからだ。エンジンをかけた瞬間、暴れだすことも考えられる。
「ハッチャンは離れてなよ。」
「了解しました。」
インカムから届いたハッチャンの人工音声を確認すると、俺はエンジンスイッチのボタンを押した。セルが回転するとすぐにエンジンが回った。振動も少なく静かなエンジン音がキャブにも届く。
俺は一応モニターで不具合個所をチェックするが、アタッチメントのグリス切れ以外のエラーは出ていない。オートグリス式の機械なので、補充していなければ出てくるエラーなので、気に留める必要はない。一応、事務所のモニターでのエラーログ確認の際にも同じエラーが出ていたので、補充用のグリスも持ってきている。よくあるのはホース切れによるグリスの流出なので、それも一通りは用意してきていた。
俺はジョイスティックを慎重に操作して、とりあえず溝から機械を脱出させると、平坦な場所まで移動させてエンジンを切った。ハッチャンは俺が持ってくるであろう場所にすでに移動していて、エンジンが停止するのを待っていた。
「ほんじゃ、ハッチャン。選手交代だ。」
俺はキャブドアを開けっぱなしにして地面に降りる。入れ替わりにハッチャンがキャビンに入る。
「俺はグリスを確認するから、あとは頼んだぜ。」
「了解しました。ゴローさん。」
ハッチャンは第3のアームの電動ドライバーで器用にパネルのボルトを外し、第4の腕で外したボルトを格納ボックスに入れていく。俺は昔から腕が3本欲しかった。この仕事はとにかく、2本の腕じゃ固定と作業を同時にやることが困難だったからだ。頭や口や足を使っていたころが懐かしい。ハッチャンは左右の人型の腕の他に、電動ツールや挟み工具型の形をした2本の腕を持つ。逆光のシルエットで見ると、阿修羅の仏像のようにも見える。電動ツールにはスポット溶接や、簡単な金属切断ツールも付いているから大抵の作業はこなすことが出来る。もはやこの仕事も人間様の出る幕はなくなっちまった。
「ゴローさん。パネルの分解が終わりました。外へ出します。」
「あいよ。」
俺はハッチャンのサポート。ハッチャンが外に出したパネルを傷めないように地面に降ろす。メインのコントロールボックスにハッチャンのコードを接続すれば、とりあえずは待っているだけだ。オートグリスのタンク残量を確認しようかと思ったが、ハッチャンから呼び止められた。
「ゴローさん。人面を確認しました。モニターをご覧ください。」
俺は防護グラスのモニターをオンにしようとしたが、それはやめてコントロールパッドを取り出して本体につないだ。目の前の防護グラスのモニターは小さくて、老眼にはちょいときつい。
モニターの画面を確認すると、基盤の入ったボックスの陰に、人のような顔が見えた。顔とは言っても実態があるわけではない。薄く透けた顔のように見える画像。人間は穴が三つあり、逆三角形に配置されていると顔と認識するんだそうだが、AIも顔認識機能がついていて、人間の顔を判別する。それが生きている人間でも、そうでなくてもだ。
「隠れ鬼かあ・・・。」
俺が生まれるもっと前。機械が発達し始めたころ。
機械の修理屋の間で、原因不明の故障はグレムリンと言う妖精が機械に悪戯をして故障させるという都市伝説のような物があった。なんでも昔は人間の手助けをしていたが、人間が感謝の心を忘れてしまったために、航空機や自動車に悪さするようになったと言う妖精らしい。妖怪かな?
グレムリンは昔、映画にもなった事があるので、ちょこっと検索してみてみるといい。ただし、映画のグレムリンはギズモというぬいぐるみの玩具みたいな生き物が、醜悪な化け物に変貌して機械を壊すといった感じだったが、俺たちが今、お目にかかっている隠れ鬼は全然違う。
それは幽霊とか幻とか言うべきもので、配線を齧ったりしているわけではない。肉眼では確認できないが、不思議とカメラには映るのだ。要するに昔風に言えば心霊写真みたいなものか。昔から原因不明の故障はどの機械にもあった。実際、多くの人命が失われた場所での現場では、なぜかそういう故障が頻発するケースもあったりしたんだ。
原因は定かではないし、一般的には否定されているものの、俺たち修理屋の間では隠れ鬼と呼ばれて、けっこうメジャーな存在である。一説には心霊現象には電気機器が異常を示す事象があることから、なんらかの電磁波などによる不具合が発生するんじゃないかとも言われている。ただし、こいつは友達の受け売りだがね。
ただ、今回のやつは結構はっきりしてるよ。全体の輪郭がぼやけちゃいるけど、人の顔に見えるもんな。男か女かはよくわからんが、「恨めしやあ~。」って感じがすらあ。だいたいは白い煙みたいな靄に映ることが多いんだけどね。
だけど、原因究明が難しい故障の時にはこいつに出くわすことが多いのも事実だ。・・とはいうものの、何の確証もないのさ。
で、俺たち人間は考えた。そういう時にすることは一つである。
「ハッチャン、塩撒くぞ。」
俺は作業用のポーチに押し込んであるポケットの一つから、葬儀用の清め塩を取り出すと、キャビンに撒いた。
「ゴローさん。電装品は避けてください。腐食する可能性があります。」
「そんなこと言ったってよう。仕方ねえだろ、大丈夫。大丈夫。」
キャブ以外にも車両の四隅に塩を撒く。(ちょびっとだけな。)
「どうだ、消えたか?」
モニターの中の人面は何かを口走っているよう見えたが、何も聞こえはしない。妖怪の断末魔なら嬉しいンだがね。残念ながら妖怪の声はハッチャンのマイクにも反応してないようだ。
しかし、画像の人面は薄く流れる煙のようにスゥーっと消えた。
隠れ鬼ってヤツが本当にいるかどうかわからねえが、故障の原因がそれなら、俺たちはかくれんぼの鬼みたいなもんだ。そいつを見つけて排除するのが仕事だからね。
「ミ・・ミ・・ミツ・・・カタ・・・ミツカ・・タ・・」
「ハッチャン。どうした?」
ハッチャンの声が、機械音に変わっていた。
「えーマジーな。故障じゃねえよな。」
その時、会社からの連絡が入った。
「ゴローさん。どう、調子は?」
「どう? って、これからだよ。ハッチャンのモニター見てたんだろ。」
「え、何? ああ、あれね。」
滝山の野郎、どうせサボってオンラインゲームでもしてたに違いねえ。態度がキョドってやがる。自宅からのテレワークで、モニターで追跡・指示を行うのが滝山の仕事だが、自宅という事もあって、しょっちゅうゲームしてる。部屋も汚部屋だが、会社のカメラの映る場所だけはきちんと片付けているんだけどな。前に上司との会話中、飼いネコにカメラを触られ汚部屋がバレて怒られた過去は、社員一同周知の事実。
「何だよ、見てなかったのかよ。」
会話が記録されているのを承知で、わざと言ってやる。
「だから、ちゃんと見てたよ。あんたが、勝手に休憩してたのも知ってるぞ。」
「バーカ。山ン中でも暑いんだよ。熱中症になりやすいんだぞ、俺は。もっと年寄りを労われってんだ。」
「バカって言ったな! 報告するぞ!」
「で、何の用だよ。」
「KPR806からノイズエラーが発信されたんだよ。何ともないかっ!」
おお。怒ってる、怒ってる。
「ただいまエラーログ解析中。」
ハッチャンの声が元に戻っていた。
「何ともなさそうだけど。」
さっきの事は言わなかった。昔の機種にはよくあることだったし、放置していれば、いずれ故障が表面化する事もあるが、今調べてもエラーログが残っていなければ、どうしようもない。お化けを見つけるようなものだ。
「ゴローさん。メイン・サブ・エンジンコントロール・センサー稼働状況を探りましたが、異常は見受けられません。」
やっぱりなあ。。。と思いつつも。
「ダミーエラーをぶち込んでみてくれや。」
「了解しました。」
エンジンが緊急停止したり、再びエンジンが始動したりを繰り返す。
「・・・・・・5パターンテスト実施しましたが、復帰します。問題ありません。」
「だとよ、滝山係長。どうする?」
「どうするって・・どうするかなあ?」
まったく、決断力ってのが欠如してて、よく指示する仕事をやっとるよなあ。
「とりあえず、預かった基盤を交換して、メーカーの品証に送る。あとはエラー発生原因を解消して試運転だろ。」
「あ、ああ。そうだね。よろしく頼むよ。」
滝山は猫なで声でそう言うと、通話を切った。
「ハッチャン。・・ハッチャン。」
「なんですか、ゴローさん。」
「ハッチャンは基盤を全部交換。俺はグリスの確認をする。いいな。」
「リ・了解です。ゴローさん。」
ハッチャンの様子が少し変だけど、俺は気にしないことにした。機械が変調をきたすことはよくあることだし、ハッチャンも俺と同じでだいぶ年を取ってる。帰ったら、一杯誘って・・・じゃなくて、メンテしてやりゃいいか。
やっぱりグリスタンクの中は空だった。俺はグリスを補充してから、機体の各部を見回ると、バケットシリンダーに行ってるグリスホースが抜けて、グリスがあふれ出しているのを見つけた。
「あーあ、やっぱりだ。」
ホースは金具の部分から抜けているので、金具のナットを外し、スリーブを回収してホースを切り詰める。新しいスリーブを入れてナットを締め付けると、ホースはきちんと固定された。念のため手でホースを引っ張ってみるが、抜けてくる様子はない。若干短いが、ホースを交換しなくても済みそうだった。
「ハッチャン。そっちは済んだか?」
「完了です。試運転します。」
「始業前動作で、オートグリスを選択しといてくれ。」
「了解しました。タ・・タ。」
エンジンがかかると、オートグリスのモーターが作動し、書く給脂部位にグリスが送られる。俺は取り付けたホースからの漏れがないことを確認した。
「ハッチャン。バケットとアームを動かしてみてくれ。」
「了解しま・・・・」
PAX128-9のブームが恐ろしい勢いで跳ね上げられた。
そこからの記憶はない。
ただ。
目の前にいる顔が言った。
「見ーーつけた。」
今はコロナ禍でワクチン接種をみんなしている時期なんだけど、私はまだである。そのうち打つと思うが、出来ることなら打ちたくない。都市伝説のようなデマに踊らされているわけではないが、インフルエンザでもあるように、ワクチンで死亡する例もある。要するに今は、ワクチンを打たずにコロナで死ぬかもしれないし、打って死ぬかもしれないと言う賭けを全人類が強いられている状態である。そして打ちたくない自分は、ネットのニュースでワクチンによるブレイクスルー感染の記事などを読み、幸福バイアスにかけられ、ほくそ笑んでいる。でもやっぱり打つんだろうなあ。これが遺作になるのかなあ・・・。とかね。