エピローグ
「そう、それでここをこれを使って…」
「こうですか?」
「そうそう。お前本当に器用だなー…どっかの誰かと違って」
「ありがとうございます」
遠い目をした強面の男に動じることなく、美しい顔の男がにこりと笑う。
それを見て強面の男はぶるりと背筋を震わせた。
「いや!別に悪口じゃねえぞ!普通の世間話だ!!!」
「そうですか」
「ああ!だからその冷気をしまえ!!!!」
はいとあくまで穏やかに男は言うことに従う。やれやれと強面の男、ベルーガは安堵のため息を吐いた。
「………その手先の器用さといい祝福といい、お前は本当に医者向きだよ。
ちょっと普通にしては早すぎるが、お前ももう独り立ちしてもいいかもな」
ぼそりとベルーガが言うと男の目が気持ち輝いた気がした。初めて見る男の変化にベルーガは呆気に取られた。
「本当ですか!?これでまた女神様のお役に立てますか!?!?!?」
「やっぱりそれかよ!」
少しは医者という職業に何らかの気持ちを持ってくれたのかと期待したが、やはり違うようだ。
思わず突っ込むと男ははあとよく分かっていない表情をした。
「ただいま戻りましたって、何ですか?」
薬を買いに外に出ていた平凡な顔立ちの女がひょっこりと2人の前に現れた。
すると美しい顔の男が女の元に走りより、手に持っていた薬を奪い取る。
「女神様にお持ちさせてしまうなんて…!」
そう嘆いて荷物を持ったまま器用に土下座しようとした男を、女神と言われた女は慌てて止めた。
「だから流れるように土下座しないでってば!!」
ベルーガは2人を横目に見ながらさて飲み物でも飲もうかなと席を立った。
「それに女神さまって呼ばないでって言ったでしょ。
………モナン?」
呆れたように女─リタが言う。
モナンと呼ばれた美しい男は、顔を赤らめて視線をリタから逸らした。
何かを言いたげに男を見上げてくるリタに、モナンは顔を赤くしながらも期待に答えようとする。
「り、り…」
「その調子」
「りた、さ………」
「うん、なあにモナン?」
語尾はよく聞こえなかったけれど、及第点だろう。
よく出来ましたとばかりににっこりと笑いかけるとモナンは顔を覆って後ずさった。
「おおおおおおそれおおい!!!!!!」
「またやってるよ…」
2人を遠目から眺めていたベルーガはそう言って笑った。
これで完結です。
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