表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

プロローグ



「………まあ、しょうがないよねぇ」



誰ともなしに、リタはそう呟いた。

目の前には唇を紫に染めた、血の気のない男性がうつ伏せで倒れ込んでいる。

背中側にはざっくりと大きな傷が生々しく鎮座していたが、いくらか時間が経って血を出し切ったあとなのか、今はあまり流れ出ていない。


多分切られたのはここじゃないんだろうな。


男性が倒れていたのはリタの家のすぐ前、平民街の細かい路地裏。

地面には血溜まりはなく、だからこそリタの想像は正しいはずだ。

おそらく、どこかで傷を負い止血することも無く逃げ続け、そしてここで力尽きた。


今にも消えそうな命の灯火。

それが燃え尽きるそのときに、男が何かを言った。



それは耳をすませていなければ消えてしまいそうな、小さな小さな声だったが。

リタの耳には不思議とはっきりと聞こえた。





「…………しょうがない、よね?」



リタはもう一度そう呟くと、彼の体に手をかざした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ