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第1章 転生者 1-5. 兄につける薬はない


もうすぐ、聖アンドリュース学院に入学しようという初春の或る日、私は偶然にも、あってはならない場面に出くわしてしまう。


兄のアーネストが、マリールイーズの手首を掴んで、無理やり彼女を部屋に連れ込もうとしているのを見つけてしまったのだ。


彼は、2年前に聖アンドリュース学院に入学しており、普段は全寮制の学院で生活しているから屋敷にはいない。

だが、その日はたまたま、春休みを利用して伯爵家に戻ってきていた。


幾ら久々だからといって、妹に求めるスキンシップとしては行き過ぎだろう?!


「 お兄さま!何をなさっているのですか?! 」


アーネストは、私が近づいてくるのが判った途端、慌てて妹の腕を引っ張り、部屋の中に引きずり込もうとしている。

剣技では、とっくに兄を追い抜いている私を、彼は怖れていた。


私は一気に距離を詰めると、部屋に入る直前で、マリールイーズの腕を掴む彼の手首を獲った。


「 なんだ!ソフィア!お前は兄の邪魔をするのか!? 」


何の邪魔だ、何の?!

嫌がる妹を部屋に連れ込むことのか?!

もしや、何か、いかがわしいことをしようとする積りだったのか?!


もし、私が通りかからなかったなら、マリールイーズはどうなっていた?

も、もしかして、これが初めてではないと言うんじゃないだろうな?!


・・・・・ いや、いや、それはない。

アーネストが屋敷に居る時に、マリールイーズに異常を感じたことはない。


何にしても、怒りが沸々と湧いてくる!!


「 兄が、妹をどうしようと勝手じゃないか!? 」


言っちゃったよ!この人!?

2度と変な気が起きないように、お灸をすえてやらないといけない!!!


「 私には、妹を虐待するような、頭のおかしい兄はおりません! 」


そう言って、アーネストの腕を捩じってマリールイーズを手から放させると、痛がる彼を跪かせて膝で肩を抑え込んだ。


逃れたマリールイーズは、すかさず、私の背後に隠れた。

可哀想に、すっかり怯えている。

例え、血のづかながっていない妹だとは云え、いや、血がつながっていないからこそ、弱いと舐めてかかって暴力を振るうのは許せない!


「 い、痛い!放せ、ソフィア! 」


「 お兄さま!何故、こんなことをしようとしたんです!? 」


一応、言い訳ぐらい聞いてやろうじゃないか!

そしたら、この馬鹿はとんでもないことを言い出した。


「 そ、そいつが、不遜な眼で俺を見たんだ ・・・ だから、俺の偉大さを解らせてやろと ・・・

  も、もう、いいだろ!放してくれ?! 」


俺の偉大さ?!

どうやって、偉大さを示せるというんだっ?!

そんなこと言ってるから馬鹿にされるんだろ!?


伯爵家の跡取りであることに胡坐をかいて、日がな一日メイドをからかって遊んでいるお前を誰が尊敬するものか?!


しかし、困った兄だ。

妹を虐待して、自分が強くなった気になりたかったか?!


憤った私は、自分でも気づかぬ内に、つい腕に力が入り、彼の肩の関節を外していた。


「 ぐぅ、ぐぅぎゃ~! 」


奇声をあげて悶えるアーネストだが、容赦はしない。

関節が外れた肩は、少し動かしただけで激痛が走る。

その身を以て、マリールイーズに贖え!!


ひとしきり、兄をいたぶった後、私は彼を解放してやった。

勿論、肩の関節は外したままだ。


「 お兄さま、今日はこれぐらいにして差し上げます。

  次はもっと痛い目を見ますよ!

  それでは、シェフラー医師を呼んでまいりますので、部屋で待ってて下さい? 」


直ぐに、お抱え医師のシェフラー先生がやってきてアーネストの肩を元に戻してくれたが、彼は予定を繰り上げて、早々に聖アンドリュース学院に戻っていってしまった。


両親には、事の顛末を全て話した。

だが、2人とも微妙な顔をして何も言わない。


「 どうして何も仰っらないんですか?! 」


詰め寄る私に、彼らは、「 アーネストにも困り者だが、お前も ・・・・・ 」

そう言うと、後は苦笑するばかりだ。




私が何か、変なことをしたか!?





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