表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/42

第4章 三大陸対抗武闘競技会 4-2. 団体戦始まる


抽選会の2日後、開会式が終わってから直ぐに団体戦が始まる。


抽選会のあったコロッセオ風の建物はトーナメントの最終戦と決勝リーグの為のもので、試合のあるチームは、開会式が終わり次第、会場の近くにある、それぞれの試合会場に移動することになる。


シード校である私たちは、明日、勝者と対戦する、セント・フェリペ学院とグラッツア学園の試合の他、気になる学校の偵察をすることにしていた。


試合では、殺傷能力を殺せる武器以外は使用禁止。

使えるのは、剣、槍、棒、鞭、弓矢となる。

まあ、鞭で剣に勝てるような怖ろしい選手はいないと思うのだが。


使用しなければならない防具は、手甲、胸甲、肩甲、あと、任意でヘルムと頬当て、脛甲などがある。

私は、速度重視なので、任意防具は装備しない。

チーム内でも装備するのは、ヒルダさんの頬当てぐらいじゃないだろうか?


試合は、直径90ヤルト(81m)の円形競技場の中で5名同士が対戦して、どちらかが先に大将の胸の魔石を破壊した方が勝ちだ。

両チームが、自陣のエンドから5ヤルト(4.5m)離れた所に描かれるラインの上に整列して、そこから

試合はスタートする。


最大1ゲーム30マイン(30分)の3ゲームマッチ。

魔石の破壊か30マインが経過するか、どちらか早い方でゲームが流れる。

つまり、3ゲーム90マインを戦って、魔石の破壊が1度だけの場合もあれば、3ゲームとも主将の魔石が破壊される場合もあるということ。


魔石が破壊されるとそのゲームは終わり、次のゲームに移行。

2ゲーム先取した方の勝ちで、90マインの内で、主将の魔石の破壊数が同数だった場合、サドンデスの延長戦となる。


セント・フェリペ学院とグラッツア学園の試合は、双方とも守りに徹したために魔石の破壊がなまま延長戦にもつれ込み、セント・フェリペが、なんとかその試合を制した。


突出した機動力がない限り、各選手が競技場を走り回るよりは、隊列を組んで縦深防御( 相手側の前進と引き換えに相手の犠牲を増加させる )に徹する戦法が有効のようだ。

うちのチームはその点、機動力では申し分ないと思うのだが。


その日は、シード校がいなかっただけに、他に注目する程の試合がなかったのは残念な限り。

アレキサンダーさんが言っていたガオ高等学舎も、未だ、本気を出していなかったようだし。


だから、私たちは早々に切り上げ、宿舎に戻って翌日に備えることにした。


宿舎にしているのは、リーデルラント王家御用達の高級宿泊施設。

クリスティーナがいるからそうなるのだろうが、学生の身分としては、かなりの贅沢。


ホテルに戻ると、ロビーに見知った顔が二つあった。

なんと、マリールイーズとメイドのコデットが、ナドゥに着いていたみたいだ。


「 ソフィアお姉さまぁ! 」


5ヶ月ぶりに抱き着いてくるマリールイーズ!

久々の抱き心地が、武闘大会のことばかり考えていた私の心の癒しになる。


「 マリールイーズ、良く来てくれたね。 元気にしていた? 」


「 はい、お姉さま!会いたかったです! 」


会っていなかったのは数ヶ月だけだけれど、少し背が伸びただろうか?

姉の贔屓目かも知れないけど、少し見ない間に綺麗になった。

成長期だから、それはあり得るよね?


「 ところで、何処に宿をとったの? 」


「 勿論、同じ宿舎です 」


私たちが泊っている宿泊施設は、リーデルラント王家の御用達だ。

簡単に予約できないだろう?


「 良く、予約できたね!? 」


「 それには、アルフォンソ公爵家からの御助力がありましたから 」


コデットの言葉にウィルへミナの方に眼を向けると、彼女は照れくさそうにしている。

さすがは大公家、いや、クリスティーナに頼んでくれたのかな?


「 私も、マリールイーズ様とお話したかったので、差し出がましいとは思いましたが、お手伝いさせて頂きました 」


「 ありがとう、ウィルへミナ!恩に着るよ 」


妹が見てる前で、恥ずかしい試合は出来ないね。


「 ソフィアの妹さん?!まあ、以前、一緒にデュエットをされていた方ね? 」


マルグリットもマリールイーズに気づいたようだ。

ウィルへミナもマルグリットも、アルフォンソ大公家で催された舞踏会で、私たちのデュエットを観たと言っていたから同じものだろう。


「 へえ、武術だけでなくて、芸能系もいけるのか?多芸だな?! 」


ヒルダさんとレジーナさんも寄って来て、ちょうど良い、マリールイーズのお披露目会になった。

まあ、この二人は舞踏会に行きそうにないタイプだから、デュエットに関心のあるウィルへミナやマルグリットとは違って、単に、私の妹が物珍しいだけだと思うけど。


言っては悪いが、並みの貴族の子息では、舞踏会で二人にブンブンと振り回されてしまう。

それこそ、アレキサンダーさんぐらいの体格でないと釣り合わない。


「 パルトロウ伯爵家の次女、マリールイーズと申します。 姉がいつもお世話になっています 」


彼女の挨拶に、皆の反応も悪くはない。


「 それで、妹も武術はやってるのか?なんだったら鍛えてやってもいいんだぞ?! 」


ジャンヌの申し出には、やんわりとお断りを入れておく。


「 いえ、妹には武術はさせませんから 」


「「「「 姉バカだな! 」」」」」


なに!皆でハモってるんだよ?!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ