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07話 防人たちのその後

 県警に一台だけある装甲車両。

 これはさすがに頑丈にできており、一つ目のモンスターどもにも破られずに移動できる貴重な車両であった。

 これは、当分森欧高校校舎内に住まなければならない人達に配給する物資の調達に使われた。

 それがスーパーから大量の物資を獲得して戻ると、住民からは歓呼で迎えられた。

 高校防衛の総指揮を執っている田吾原署長もねぎらった。


 「やあ、ご苦労さま。本庁のエリート警視さんをこんな風に使って申し訳ありませんなぁ。綾野警視」


 物資調達の指揮を執った綾野警視は東京の警視庁所轄。この森欧町には休暇で里帰りに来たのだが、その最中にこの(ビースト)災害が発生し、東京に戻れなくなってしまった。

 そのためここの県警に世話になっていた。だがその県警も殉職、負傷が相次ぎ人数を大きく減らしたために、仕事に参加することになったのだ。


 「かまいませんよ。東京に戻れない以上、ここで住民のためにベストを尽くすのが公僕としての私の役目です。運転をしただけの私より、物資を運び出した隊員達の方が苦労をしました。やはりそちらにも獣はいて一悶着ありました。幸い死人はありませんでしたが、ケガを負った者はいます」


 「やはりタダではくれませんでしたか。我々はあの少女のおかげで奇跡的に生き残りはしましたが、この先はほんに前途多難ですわ。そういえば本庁からの返事を聞いておりませんでしたな。救助のアテはできましたか?」


 「いいえ。やはり自衛隊の派遣は困難だそうです。首都圏の防衛で精一杯だそうでしてね。それに獣は日本中に現れています。どこも自分のエリアを守ることに精一杯で、応援をよこす余裕のある所などありません。我々はこの高校を拠点とし、我々だけで何とかせねばなりません」


 「………そうですか。やはり東京の方もこちらと同じような有様ですか」


 「もっと酷い。どうやら例の獣は人口の多い場所に比例してより多く現れているようなのです。そこそこ田舎のこの街がこの有様です。首都圏がどうなっているかは想像できるでしょう」


 「想像したくありませんなぁ。銃が効かないとなると、猛獣ってな怖いもんですなぁ。悲しいのは部下達が命を捧げても市民を守りきれんかったことですわ。この現象が世界規模で起こっているとなると、世界中で今日を生き残れるのはどれだけいることか」


 「そうですね。私もいよいよとなれば、ここにいる生徒諸君の肉壁になる覚悟はあります。それで守り切れるものでもないでしょうが」


 「ですな。ワシらが肉壁になってもジリ貧。いつまでも持つもんでもありませんわ。しかし綾野警視もご帰省中に運のないことでしたなぁ。東京に残しているご家族の安否が気がかりでしょう」


 「いえ、オカルトめいた言い方になって恐縮ですが、これは運命のような気がします。この街に残らざるを得なかったおかげで、この(ビースト)災害をどうにかできるかもしれない手がかりに出会えました」


 「あの魔法少女のお嬢ちゃんですか。あの子のことはもう本庁に報告なさいましたか?」


 「いいえ。さすがに今の段階でそのままを報告しては、正気を疑われかねません。『テレビアニメの魔法少女が出てきて一つ目モンスターを退治してくれた』などとはね。まずは報告できる理論的な情報を引き出してからです。そちらは彼女から何か有益な情報は聞き出せましたか?」


 「それが………申し訳ないことですがの。当初彼女は学園の生徒かと思い、教師、生徒らを集めて事情聴取をしたんですがな。ところが彼女は学園の者ではない。誰も彼女が何者か知らない…………いや、女の子アニメのキャラクターだとは言ってましたがな。で、その間に彼女はここを去ってしまったようなんですわ」


 「去った? どこに?」


 「生徒から聞いたところによると、森欧小学校の方に行ってしまったそうなんですわ。なんでも生徒の一人の『森欧小学校にいる弟妹を助けたい』という願いを聞いたそうでしてな。もうすぐ夜ですし、もどるまで待ちますか」


 重要な案件など発生したことのない田舎の迂闊さだ、と綾野警視は歯がみした。生徒を刺激したくなかったのだろうが、、迂遠なことはせず彼女に人を送って迎えに行けばすんだものを。


 「いえ、小学校の件が終わったあとに、こちらに戻ってくるとは限りません。ここで足取りが消えては後々まで響きます。装甲車両でそちらに向かいましょう。森欧小学校の(ビースト)災害対策はどうなっています?」


 「あっちは住民の避難はさせてはいませんのでな。下手に戦わず守りに撤するよう指示しましたので、被害はこちらより少ないようです。ただ、こちらが片づいたら救助に行く予定だったんですが、こちらがこのザマですからな。獣に囲まれたまま夜を越してもらわねばなりませんなぁ」


 「そうですか。では、ついでにそこに物資も届けましょう。私がまた装甲車両を運転して行きます」


 「綾野警視がですか。わかりました。では部下をつけましょう。作業は彼らにまかせて車から降りんでくださいよ」


 こうして一台の装甲車両も森欧小学校に向かって出発した。





一般社会からの視点も欲しかったので、その代表として綾野警視を作ってみました。あんまり警察のこととか知らないのでガバガバになると思いますが。

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