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40話 銃弾と炎と

 「総員、展開開始! 各員所定の配置につき、命令を待て!」 


 頭につけているインカムからこの言葉が届くと、ふいに周りがさわがしくなった。

 見ると、自衛隊の支援部隊が到着していた。


 幾重にもオレと異界の女神を盾で包囲する。

 武器は小銃、ロケット弾などを構え、異界の女神を狙っている。

 そして後ろの女子高生ふたりも、救助に出てきた自衛官に確保されつつある。

 

 さて茶番は終わり。戦闘開始だ。

 ところで、さっきオレの中にヒョッコリ出てきたアリアの本物はもうどこかへ行ってしまった。

 仕方がない。

 とりあえず異世界言語でアリアをマネして会話してみようか。



 『祖神さま。拝謁はひどく遠くあるよう感じられます。今は敵であるため跪きはいたしません』


 時代劇だね、まるで。

 そういったアニメやゲームもよく見るから、セリフは思いつくが。


 『悲しいことよな、巫女よ。そなたにだけは我の慈愛をわかってほしかったが』


 大量殺人の神様の愛なんて理解できるか!

 旧約聖書の神様みたいなもので、現代人にはぶっ飛びすなんだよ!

 無視だ無視!


 『お覚悟を。我らの世界とこちらの世界。あなたの所業はとうてい許されることではありません。その仮面とともにあなたの悪しき望みを断ちます』


 時間かせぎの無駄話は終わり!

 自衛隊の郡長にインカムで一斉攻撃を要請しようと思ったときだ。


 『覚悟? 何のじゃ? ”それに悪しき望み”とは不本意じゃの。我は”人”を解放してやるのよ。思考する苦しみ。悪しき欲にとらわれる苦しみからな。このように』



 ――――――ヤバイ!!!



 彼女が何気なく持ち上げた腕におそるべき戦慄を感じた。


 オレはとっさに自分に魔法の障壁(マジック・シールド)を展開したが、狙いはオレではなかった。


 「うわああああああああああ!!!」

 「きゃああああああ!! 足が! 体がぁ!!」


 叫び声のした方向を見ると、この場の離脱をはかっていた女子高生ふたりと、それを抱えている自衛官ふたりの体が木へと変化しつつある。

 足は木の根に変化して地面にぬいつけられ、そこから徐々に体の上部へと木の幹に変わっていく!


 『祖神さま! あなたは!』


 『ホッホッホ。人は高き知能などを持つから身に過ぎた欲を持ち、それにより苦しみ、大いなる破壊の火を創り悲惨な戦争をおこす。人は一度、植物となり知能を捨てるべきなのじゃ。これこそ神の意思。救済である』


 冗談じゃねぇ!

 『問答無用に願います』とアリアに言われていたのに、余裕を与えてしまった。

 オレも少しあの神を甘く見ていたようだ。

 叫ぶようにインカムでこの場の指揮官に要請した。


 「狭間郡長、一斉斉射をお願いします! 彼女らを助けるために猶予はありません」


 「了解した。君はさがれ」


 「いいえ、このまま! 私は魔法の障壁で女の子と隊員を守ります。流れ弾がきても身を守れますので、気にせずにやってください!」


 「…………了解した。武運を」



 ズガガガーーーン!!

 ガガーーーーン!!

 バババババババババ!!!



 瞬間、嵐のような一斉斉射が祖神へと開始された。

 耳が痛いくらいの銃声が鳴り響き、マズルフラッシュの光明はまともに見たら目に突きささるほどだ。


 オレは木にされつつある女子高生らと自衛隊員の元へ行き、魔法の障壁(マジックシールド)を展開しながら呪い解除(ディスペル)をおこなう。


「だいじょうぶ? 運が悪かったね。いまから体を戻すけど、もどってもしばらくそのまま動かないで。いま私から離れるのは危険だから」


 「あ、あのアリアちゃん。いったい何がおこったの? どうして私たちの体が木になったの? それに………どうしてあの女の人を攻撃しているの?」


 「あれがすべての獣の災厄の元凶だからよ。くわしくは説明できないけど」


 やがて四人の体はすっかり元にもどすことができた。


 さて、祖神さまはというと、銃弾はすべて展開した魔法の障壁で阻んでおり、まるでその体にとどいていない。

 もっとも、この程度は予想の範囲内。

 敵の防御の力をはかるための、そして次の本命のための準備時間。


 「狭間郡長。銃器の斉射をやめてロケット弾、ナパーム弾、アパッチのミサイルなど高火力の一斉攻撃に切り替えてください。やはり彼女の防御力は相当に高いので、全力でやっちゃってください。それでしとめます!」


 「了解した。君も必ず生きてかえれよ」


 ライフルの斉射がやんだタイミングで四人を後方へと逃がした。

 もっともオレはその場に残り、祖神をにらみながら次の攻撃を待つ。


 さて問題の祖神はというと、まるで何事もなかったように女王の如く悠然とそこに佇んでいた。

 

 『気はすんだか? では我もこの猿どもを喰らうとしよう』


 祖神はその場でいくつもの狼、虎、熊などの一つ目獣(モンスター)を生み出していく。

 

 『祖神さま。この世界の猿どもの抵抗はいかがでした?』


 『ふむ。思ったより厄介ではあったな。これほどの礫をあの速さで投げられては、我も何もできるものではない』


 『そうですか。では私達の勝ちです』


 『なに?』


 『次なるは先ほどよりさらに火力を高めた炎の一幕。世界の原初にも似た火の饗宴』


 すっかり準備を終え一点に照準をつけた火砲の群。

 それらロケット壇、ナパーム弾、短ミサイルなどが次々に発射された。


 『そしてここで私も参加いたします。お覚悟! ”幻想の守りは消え、虚無の夢は覚め、ただ現実にその身をさらすのみ”!』


 呪文つき最大級の魔法消去(ディスペル)を放ち、祖神が展開する魔法障壁、及び魔法生物を消滅させた。


 『巫女よ。貴様ァ!』


 『祖神さま。私はあなたを殺しにまいったのです』

 



 ―――――やがて着弾。




 地面と空に紅蓮の炎柱がたった。

 


 

勝った! 雑に完結!!

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