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01話 飼っている少女

 なんか異世界ものがどうしても面白くなくなってしまい、前作の続きが書けなくなってしまいました。しばらくハーメルンで二次を書いていたのですが、これを書きたくなって、こっちにきてしまいました。

 ブックマーク、感想など、どうかよろしくお願いします。

 「おーいアリア。ごはんもってきてやったぞ。出てこいよ」


 郊外のさびれた神社でそう叫ぶ。

 するとヒョコッと小さな金髪頭が出てきた。

 オレの出す弁当箱に喜んで飛びつき、ハグハグ飯をむさぼる。

 この子の飯を食べる姿は実にいい。小動物をながめているような、ほっこりした気分になる。この姿を見たいために苦労して飯を手配し、授業前にわざわざこんな場所までやって来るのだ。


 オレの名前は間宮東司。都会とはいえないが、田舎というほどでもないこの森欧町に住む地元大学生だ。

 ある日、なぜか帰宅路でもないこの方向にきてしまい、朽ちて廃屋になったこの神社にいるこの子を見つけた。

 本来ならしかるべき所に届けねばならないだろうが、それもせず毎日飯を作って通う日々だ。


 この子はアリア。といっても名前は勝手にオレがつけた。

 外国人のホームレスで言葉が通じない。綺麗な金髪に白い肌。欧州系の十二、三歳くらいの子だ。あと、特徴として耳がちょっと長くとんがっている。


 「いいかげん警察に届けねぇとな。いつまでもリアル・アリアちゃんの影をおってこのままってわけにもいかないしな」


 「☆●◇▲♬♡ー@#&☽☀○□」


 相変わらず何言っているかわからないな。英語ならしゃべれるし、ドイツ、フランスも聞くだけならある程度だが、この子の言葉はまったくどこかわからない。スペイン、中国、韓国とも違う気がする。よっぽどマイナーな言語なのか。


 この子を警察にも届けずここで養っているのは、理由にもならない理由がある。

 この子は昔好きだった子に似ていて、離れがたくなっているのだ。といっても現実の女の子じゃない。アニメのだ。


 去年オレが高校の頃、テレビアニメで【マジマギ天使みちる】という女の子向けの魔法少女アニメ、いや魔法少女バトルアニメがやっていた。

 女の子が可愛いコスチュームを着ているのに、やっていることは魔界から着た魔物との激しい魔法バトル。

 『お前らこんな魔法異種格闘やりたくて魔法少女になったの?』と思ってしまうくらい、見た目かわいい女の子が男のオレでもひいてしまうような壮絶なバトルを毎週やっていたのだ。

 なのに小さい女の子の間では大人気だった。なぜだ?


 妹の美織里がいつもそれを見ていて、オレもなんとなく見ているうちに、いつの間にかそれに出てくる主人公の親友の魔法少女仲間【クレッセント・アリア】を好きになってしまった。

 そしてそのアリアはここでホームレスやってるこのアリアにそっくりなのだ。

 日本人設定のはずが、欧州系なこの子にそっくりって………いや、よくあることか。



 「☆♪◆♬⊿ー*♡&$#!¥@♢♣」


 食べ終わったアリアは、弁当箱を返しながらまたわけのわからん言葉で話しかけてきた。

 お礼をいっているらしい。


 「相変わらず肉は喰わねぇのな。ホームレスやってて偏食とか生きていけねぇぞ」


 弁当箱の中にはウインナーとミートボールがそのまま残っていた。彼女はどんなに腹が減っていても肉類は食わない。アレルギーか宗教か。


 「なぁ。そろそろ警察いくか? いつまでもこのままってわけにもいかないし」


 フルフル


 アリアはちっちゃな首を子犬のようにふって拒絶する。こっちの言葉はしゃべれなくても、オレの言うことはわかるらしい。

 本人が行きたくないならしょうがない。どういう経緯があって日本に来たのかわからないが、もうしばらくこのままでもいいか。


 「肉入れて悪かったな。今度から米と野菜だけにするよ。また来る。バイバイ」


 そう言って手をふると、アリアは同じように手をふってきた。


 「バイバイ」


 なんと。アリアがそう返してきた。

 いつもそう言って別れているので覚えてしまったらしい。

 ちょっとほっこりした気分を味わいながら廃屋神社をあとにした。






 「☾○⊿◇♣J♠♠♠♠☆¥#&$!!!!!!」


 何だ?

 アリアが小さくみえる距離まできたときだ。

 いきなりアリアが大声で何やら叫んできた。

 その様子はひどく慌てている。


 「おーい、どうしたアリア。なにかあったのか? いったい……………うわあぁぁぁぁ!!」


 オレが気がついたとき、それはいつの間にかそこにいた。

 真っ黒い狼のようなケダモノがすぐ側にいたのだ。それは大人の体ほどにも大きい。

 だが、あきらかにおかしいのは目が一つだけしかなく、それも顔の中央に大きくある奇形であったことだ。


 「なんっ! バケモノ!? うわぁぁぁぁぁ!」


 逃げようとする間もなくそれはオレに飛びかかり、狼の狩りのセオリー通りにオレの喉笛に牙を突き立てた。

 喉笛はかみ砕かれ、あったかい液体で全身が濡れるのを感じた。

 そして狼はオレにのしかかり、その体重でオレはあっさり倒される。

 意識が遠くなるなか、最期にアリアが心配でそこに目をやった。

 だが、アリアは逃げるどころかこっちに走ってきた。

 手には剣のような武器を持って。


 ――――あの剣は? 今まで見たこともないぞ?


 そんなことを考えつつも、意識は次第に遠くなっていった――――――




 

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