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02

「作戦としては上手く言っているわね、これで相手を本気だと理解させたわ。後はマスクウェルの悪魔のエネルギーを不良品にしてもう一度心を折れば良いわ」


ソレイユの作戦長サリアは言う。


「俺は心配だな、必要とは言えアリスシステムをばら蒔いたんだ。覚醒者が現れる可能性もある。対策はしてあるのか?」

一人の青年が言う。


「ええ、機体には対策はあるわ。機密だけどね。もちろん対策があることはバレないようにしなくちゃいけないわ。ロック」


「そうかよ、宇宙生命体の怖さは幼少期から教えられて来たがそんなら良い、宇宙生命体の前に人類に破れて殺されましたじゃ俺の25年の人生が無駄になる、なあリック?」


ロックはもう一人の青年に話し掛ける。


「ガーベルド・バーンは天才だった、ニューヒューマンの存在を知るほど。そんな彼が対策を怠るはずはないさロック」


「俺たちは世界の抑止力のために居る。未来予測まで可能なんだ、あの男以外危険性は無い。あの男だけは排除すべきだと未来予測では出ている」


「お~お、アルスのまたそれか?だが同感だね。俺も死ぬ気はねー、あの男に全滅させられる可能性があるんだろ?やられる前にやる必要があるね」


「僕から解決策をサリア作戦長に提案したと言ったはずだ、何度同じ話を蒸し返す気だアルス?未来予測は特別階級を与えられた僕には安定しているように見える、与えた変数から未来を予測するんだ。未来は無限だ。ワードを入力して検索するのが正しい見方だ。君の知る情報では正確に未来を検索出来ない。君は一般兵だ、情報は漏洩防止のため規制されている。サリア作戦長を信じろ」


「そうよ、アルス、心配も分かるけどもう解決したことよ。何度も話を蒸し返す意味は無いわ」


「そうかよ、俺は死にたくないがわざわざヒューマンノイドを作れるのに少人数で運営しているぐらいだ、4機の機体にはソレイユには自信が有るんだろうぜ。賭けには乗ってやるよ(実はアルスを覚醒者にするために未来予測を不良にしていることは黙っておかなきゃな…)」


ロックは知っていた。

アルスを覚醒者、ニューヒューマンにするために未来予測を不良にしていることを。


しかしアルスは知らない。

知れば未来予測を外すからだ。


「まずは宣言をするわ、マスクウェルの悪魔を不良にしたと、それから軍の基地を攻撃してアメリカ連邦を落とすわ」


その日、民衆は混乱に陥った、マスクウェルの悪魔が使えなくなったと言うのだ。

ソレイユからの犯行声明文も出ている。

これでは期待した未来が訪れない。


「ガーダー、ソレイユの科学力は予想以上だよ。マスクウェルの悪魔をピンポイントで使えなくしたんだ。明らかに人の領域を超えているよ」


「ウェーバー、波動関数理論は超常を扱う理論だ、元々人の領域を超えている。ソレイユがそれぐらい出来ても不思議じゃない」


ウェーバーはガーダーに説得され落ち着く。


「それにしてもどんな原理を使っているんだろ?波動関数理論のセンサーにも何で異常は出ないんだろ?ガーダーの勘で何か分からない?」


「そこまで勘は便利じゃない。恐らくは魔法の領域まで到達させているのだろう。神の物質を作るほどだ、不思議じゃない」


ウェーバーは戦慄する本気で言ってるの?と。

ガーダーは本気だ、と返す。


「そろそろ軍事基地を攻撃してくるはずだ。それまでにアリスシステムを完璧にしなくちゃ行けないウェーバー頼りだ。任せたぞ」


「間に合うかな…」


そしてソレイユからアメリカ連邦に宣戦布告をしてきた。


まず最初の基地はたった一機に落とされた。


次の基地も別のタイプだったが一機に落とされた。


それぞれG2とG4である。


そしてアルスのG1が出る。


「来たか」


「敵機補足。これより統一戦争を行う」


「全機、アリスシステムを使え!この命令は無視しても構わん、相手は不殺のソレイユだ。無理をする必要もない」


「了解!隊長だけに良い格好をさせるな!」


全機のグランドオーダーはアリスシステムを発動させて攻撃する。


「アリスシステムとは我々人類の超常の力を高める機能だ、両刃の剣だが機体を飛躍させるほどに機能を高めてくれる!さらにエネルギー貯蔵されていた残りのエネルギーも解放された、全力だ!ソレイユ!」


高速で迫るアメリカ連邦のグランドオーダー。

しかしG1は動かない、

一機がG1に接近武器を仕掛けた。


しかし傷が入らない。


「未来予測通り機体に異常なし迎撃に移る」


近づいた者から斬り倒して行くG1。


「くそ!武装も強化されているのに通用しません!スピードも対応されます!」


「遠距離で撃って集中砲火しろ!胴体を狙え!同じところをひたすら撃って傷を与えるんだ!」


アメリカ連邦のグランドオーダーは遠距離に切り替える。


G1も遠距離に切り替えた。


避けようとするがG1の方が早い。


「くそ!アリスシステムでレールガンより早く動けるのに何でそのレールガンより早く撃てるんだ!」


「落ち着け!相手の装甲にも疲労が溜まるはずだ!当て続けるんだ!」


隊長が指示を出す。


「無駄だ、装甲の疲労は瞬時に回復される」

アルスは無線を傍受しながら呟く。


「このバケモノが!これでも食らえやがれ!」


ある兵士が苦し紛れに力を込めて一発撃った。

するとG1の胴体に傷が入ったのだ。


「やった!」


しかしすぐに目の前で修復され兵士に希望を折ろうとする。


「いいぞ!その調子で傷を入れるんだ!何度もやれば通用する!証明されたぞ!」


隊長がすぐにフォローして希望を折らないようにする。


何度も撃つと傷を入れることがある。

そのことはすぐに証明され何度もソレイユに傷を入れる。


「貴様ら…!」


アルスは激昂する。

すると機体にダメージが入らなくなった。


次々と前のように低スピードではなく充分に確実にしとめていたからそれでも速かったがもうスピードで仕留めと行くアルス。


「俺も処置を受けていたからニューヒューマン気取りだったがまだニューヒューマンでは無かったかサリア作戦長に報告しなくては…」


全機体を仕留め終わり基地を破壊するアルスはその足でサリア作戦長に行く。


「サリア作戦長、ニューヒューマン計画で報告が…」


「見ていたわ、ニューヒューマンじゃ無いのは貴方だけよ。他の人にはもう処置はしてあるわ、不満が有るならG3のパイロット、グランに言いなさい。貴方だけは天然で開花させると決定されたわ。ニューヒューマンの新たなステージに到達させるために」


「分かったグランを殴ればいいのだな?新たなステージとは何か説明する気もないのだろう?」


「ええ、もうすでに未来予測は終わっているわ。未来を変更するわけには行かないの」


アルスはグランを探し問い詰める。


「新たなステージとはなんだ?」


「ガーベルド・バーンは僕たちニューヒューマンノイドに人類の次世代として開発した。だけどそれでは旧人類の存在意義が無くなる。そのためのニューヒューマン計画だ。ニューヒューマンノイドはニューヒューマンを真似しただけにしか過ぎない。つまりニューヒューマンの方がオリジナルの方が優れていると結果が出ている。アルス、お前だ、ニューヒューマンノイドはお前の可能性から生まれた。厳密には複数の人物からデータを収集したが完成形に行ったのがアルスだった。お前だけは特別だ。未来をなぞりニューヒューマンになってもらわなくちゃ困るんだアルス、お前には」


「分かった一発殴らせろ」


そう言い一発殴るアルス。


「気は済んだがアルス」


気など晴れない。ただ、


「理解はした。ただ任務をこなせば良いだけだ」


「その通りだ。フォローはする。ニューヒューマンノイドを超えるニューヒューマンになれアルス」


その後ラプラスコンピュータにこもりいくつもの模擬戦を行うアルス。


(ダメだやつだけには負けると予想が出る…。)


何度やっても負けると出るアルス。

条件を制限無しにすれば勝てるのだがそれでは作戦外となると呟くアルス。

作戦内で勝たねばニューヒューマンになる未来になぞれないはずだ。


(どうすれば作戦内でヤツに勝ちニューヒューマンになる未来になぞれる…!?)


焦るアルス。


次の作戦も決行され、G3が出た。


結果は圧勝。


敵はなすすべもなくやられていく。


「くそ、敵機に傷を入れることが出来る情報はデマじゃないのか!?傷が入らないぞ!」


「映像じゃ入っていたがどんなエースパイロットだ!びくともしねぇ!」


次々と敵機を撃墜していくG3。

もちろん死傷者数は出ていない。

この調子なのでアメリカ連邦軍側も緊張感が抜け始めている。

全世界が同じ目に合うならと。


そしてG1アルスの番が回って来た。


(こんどは油断しない。未来で覚醒した自分と戦った。あれは超常の上に居る俺だ。神の領域に居る何かしらの方法であそこまで上がった俺だ。恐らくはヤツの未来の覚醒したヤツにも出会った。未来の俺よりも危険だった…。グランは何か隠しているが対策はしていると言ってヤツの処分だけは許可を下ろさない。まだ何か未来で俺が見落としている可能性があるのか?)


アルスは油断なく倒していく。

あれから敵から攻撃を食らっても大丈夫になった。

念のため一度だけ食らい後は全力で回避している。

回避も重要な技術である。


相手は連射が出来ない。

荷電粒子砲。レールガンに弾丸の装填に準備が掛かり連射が出来ないのだ。


これがマシンガンのような弾幕な技術なら交わせないなと呟くアルス。


敵機を撃墜していくG1。


結局何事もなく敵基地を全滅できた。


そしていよいよ本格的にサリア作戦長が作戦を実行すると宣言したのだ。


「なぜ今さら隠してきた技術力を投入する?」


「アルス、それは未来予測が不安定になってきたからよ。自力でマスクウェルの悪魔を復活させるプロジェクトが成功する可能性が出てきたからなの。もちろん妨害はしているわ。ただ、時空ハッキングでは完全な妨害は危険だわ。アリスにより観測される可能性がある。その気になればステルスも可能だけどより効果は薄まるの。だから時間との勝負なのよ(本当の理由はアリスシステムの完成が目処がたったからアルスと戦わせたいだけなのだけど…)」


サリア作戦長として焦る理由は無い。

ただもうすでにアリスシステムが完成し始め危険視できる領域に入ってきた。

それでもソレイの技術力には敵わないのだが一度アルスに敗北を教える必要がある。


そのために相手の技術力を知って貰う必要がある。


(アリスシステムはすでにニューヒューマンの片鱗に到達させる領域に入ったわ。後はソレイユの科学力の一端を知ってもらい不意討ちを防いで対等にアルスと戦って貰うだけよ)


「分かった。時間との勝負なのだな?それぞれが基地を同時に襲うのか?」


「ええ、G1アルス、G2ロック、G3グラン、G4リックにはそれぞれ基地を襲い計画通り次々と基地を襲って貰うわ。頼んだわね」


「「「「了解」」」」


その後アルス達は基地を襲い、ワープして次々と次から次へと基地を襲って行った。


このことはガーダーとウェーバーにも報告が上がって来た。


「どうやら同時テロに切り替えたらしいよ、しかも報告にはワープしたとしか言いようがない映像つきだ。どれも確認された4機だけだ。時間的にもワープした証拠だとされている。ソレイユの技術力は馬鹿に出来ないね?本気で4機だけで世界征服できるかもよ?」


「相手もバカでは有るまい。4機だけで世界征服など狂気の沙汰だ。ここで新技術を投入してきたか。アリスシステムの完成を急がなくてはな。報告には傷を入れることが出来たと報告が一度だけ上がっている。この機体だけ弱いのか分からんが対抗策はアリスシステムだけだ」


「ねえ本気でアリスシステムの制限を外す気なの?対抗策はそれだけだけど危険だよ?今なら戻せるよ?」


「何、このガーダー、勘によれば良い方向に転ぶと出ている。ソレイユに負ける気は無い。超常を扱う能力を飛躍させるシステムだがようは根性論だ。根性だけなら誰にも負けん。未完成のシステムだろうがもちろんこのガーダーが勝ってやるさ」


もちろん未完成のシステムで危険だ。

だが勝てる算段がこれしかない。


「確かに勝てるシステムがこれだけしかないしね。ガーダーの勘もよく当たるから期待できるよ、次はここかも知れないし開発を急ぐよ」


次の日からガーダーは機体内で寝泊まりするようになった。


基地もみんなも真似して機体内で寝泊まりする。


いつソレイユが襲ってくるのか分からないのだ。

基地内では張り詰めた空気が漂う。


ソレイユはただ一つの基地だけを除いて襲っていた。


基地の数は多い。


ただそれも一日に一基地だけを襲うならの話である。


ワープして連続で襲えば数の問題も解消される。

軍の工場も襲い、もちろん死傷者数は0人だ。


これは非殺傷システムと言い相手を保護するシステムだ。

これが罪悪感を薄れさえ作戦の要となるシステムである。


ソレイユは無限のエネルギーを手にしているという噂通り無限のエネルギーを手にしている。


だが、


「無限のエネルギーを手にしたソレイユか…それでも上回るのがニューヒューマンだ。おっかねぇぜ」


ロックは軍を潰して回りながら独り言を呟く。


「グランに無限のエネルギーは通用しない…いよいよ宇宙生命体の恐ろしさを伝えるときは頼むぜグラン」


「俺も処置を受けたが完璧じゃねぇ、秀才は秀才止まりだ。天才に追い付くことも有るほどソレイユの技術力は完璧だがそれでも不安があるとハッキリと教えてくれた。グランには勝てないとな。それと覚醒したアルスにもだ。あの男には勝てるが不安は拭いされねぇ。人類の最後の要はグランとアルスだ。共にあてにしてるぜグランにアルス!」


ロックはそう言うと戦場を蹂躙して行った。


リックは思う。子供の頃からニューヒューマン計画の元過ごしたことを最初は一人だった。後でグランやロックと知り合ったが実験のデータ集めばかりだった。人工的にニューヒューマンを作り出す実験だ。非人道的行動ではなく安全な開発を進めていた。なんでも僕は一般的であり実験の対象に向いているらしい。全人類をニューヒューマンにするために。


非人道的実験だけは行われなかった。

何でも技術はもう完成していて再現性を確かめるだけらしい。

最後は実戦で証明するだけだそうだ。


「僕は安全な中で実験だらけで教育も受けて一般的な大学に入らなかったけど大学水準まで受けて安全な中でぬくぬくと生きて来たんだ。組織が隠してきた闇の部分まで僕たちは背負って生きていかなきゃ行けない。僕達に敗北は許されない悪いけどそこを退いて貰う!」


G3は聞く。


(犠牲になったのは未来の僕たちで有って実験は全てラプラスコンピュータで行われてきた。誰も犠牲になってない。リックは勘違いをしている。教育も普通水準に行ったからロックも汚れ仕事をしてきたのだろうと勘違いをしている。現実には誰も犠牲になってない。生きてない有機型アンドロイドを粗末にあつかったぐらいだ。そもそも犠牲になったのはガーベルド・バーンだけだ。そもそもガーベルド・バーンは子供の頃から未来からデータを送られてきて人格を未来の自分に塗り潰されてしまった。正確には統合だが未来の人格の方が大きい。犠牲になったのはガーベルド・バーンだけだ。幼少の頃から彼は未来を固定するためにハッキング技術を作り上げてきた。ガーベルド・バーンの最後に人類が絶滅した未来から送られてきた未来に固定されないように。ガーベルド・バーンは生きている。人類が生き延びた未来のガーベルド・バーンの記憶も持っているから彼だけが最後の希望だ。)


G3は機密情報を内心で思いながら前進していく。

敵など居ないように。

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