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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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96話 『痛みの中で』

すいません!更新してたと勘違いしてました!

 眼前へと迫る刃に、俺は圧倒され動くことが出来なかった。このまま刃が俺に突き刺されば、俺は死ぬ。首を狙ったその刃は刻一刻と俺の命を狩り取ろうとしていた。


 冷や汗が流れ、時間が遅くなるような感覚に陥る。しかし、これは錯覚であり、今更避けようとしても良くて致命傷。殆どの確率で死は免れられない。


「あぁ。また失敗しちまった……」


 メアとの約束をまた破ってしまった。そして、恐らく俺が死ねばシロは悲しみ、涙を流すだろう。そんな光景は絶対に見たくない。だが、俺の体はまるで石になったかのように動けないのだ。死への恐怖なのか、これこそが俺の運命なのか。全くもってわからない。しかし、俺がここでゴブリンキングに敗北しても、アーサーやシロ、メアによって負傷しているゴブリンキングは倒される筈だ。

 最早、俺は充分と言えるくらいに活躍しただろう。今ここで死んでも……


「ますたーーーー!!!」


「いやぁぁぁぁぁァァ!!!!!」


 俺が死を受け入れようとした時、突然メアの俺を呼ぶ声と、シロの叫び声が耳に響いた。


「まだだ、まだ俺は死ねないんだ!!」


 奇跡だった。石のように固まっていた俺の体はなんとか動きだし、それと同時にシロとメアによる攻撃で迫っていた刃の軌道が少しズレたのが見えた。。血のように赤く染まった短剣と、それを持つゴーレムの腕が俺の死を回避させてくれたのだ。

 しかし、死を回避することはできたが、代わりに軌道の逸れた刃は俺の腕へと突き刺さった。そして、まさか自身の剣が最後の瞬間に逸らされると思っていなかっただろうゴブリンキングは、その出来事に少し動揺したのか隙が生まれていた。

 千載一遇のチャンス。幸いにも利き腕はやられていない。そう考えた瞬間、俺は無理やりゴブリンキングの剣を抜き、槍を上段へと構えて突き出した。痛みなど気にすることもなく瞬時に行った攻撃は、ゴブリンキングも反応することが出来なかったらしく、左目は俺の槍によって簡単に貫くことが出来てしまった。


「ガァァァァァァ!! きさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 不意を突かれて目を潰されたゴブリンキングは、絶叫とも言える程の怒りの叫び声をあげながら、潰された片目を抑え、空いている手で剣を振り回していた。

 だが、目を抑えて距離感も上手く掴めていないゴブリンキングの連撃は剣筋も分かりやすく、『神速』を使っている今の俺ならば避けることは容易かった。当然、俺も腕を突き刺された痛みで叫びたくなるが、それでも尚、俺はゴブリンキングの剣の合間を縫うようにして槍を突き刺した。

 ゴブリンキングの体を突き破るために全力を持って振るう槍に対し、腕が千切れるような錯覚と、体が悲鳴を上げている感覚が俺を襲うが、俺は絶えずゴブリンキングの心臓のある部分を何度も何度も突き刺した。


「これで、俺の勝ちだっ!!!」


「ウガァァァァァ!! おのれおのれおのれおのれー!!!!」


 心臓部を何度も突き刺されたゴブリンキングは既に動かなくなり、俺を怒りと憎しみの篭った目で睨みつけていた。それでも俺は止まることはなく、最後の一撃を持ってしてようやくゴブリンキングの心臓を貫いた。その後、ゴブリンキングは体をビクンっと少し跳ねさせてから、その場へと伏し、息絶えた。

 それと同時に、俺の体も糸が切れたような動かなくなり、痛みが体を襲う中で俺の意識も朦朧とし始めた。


 そして、最後に聞こえたのは、俺の持っていた槍が限界を超えて使ったことによって折れて地面へと落ちた音だった。

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