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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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92話 『キング』

 ―――変わらず聞こえる帝国の民や戦っている人達の叫び。きっと苦しいだろう。だけど、大丈夫だ。死ねば全ては虚無となり、苦しさなど消える。だからこそ、帝国と共に消えるがいい。


 魔王と呼ばれる男は、堕ちていく帝国を空より見た後、彼方へと姿を消した。


 ―――一方、帝国の中心へと向かいながら、なんとかゴブリンやプレイヤーを退けた俺たちは、ようやくゴブリンキングのいる帝国の中心へと辿り着いた。


「おい、嘘だろ?」


「やはり帝国が堕ちたのはこいつらが原因だったか……」


 アーサーを含め、俺たち全員は帝国の中心でゴブリン達に守られながら玉座に座っているゴブリンキングを見て驚いていた。

 いや、むしろ驚かない方がおかしいだろう。なにせ、俺たちの目の前にはゴブリンキングが二体居るのだ。


 どういう経緯で二体のゴブリンキングが生まれたのかは分からないが、帝国がこうも簡単に堕ちたのは二体のゴブリンキングによるものだろう。


「アーサー。一体は任せて大丈夫か?」


「あぁ。それは大丈夫なんだが、君たちで一体を倒せるか?」


「倒せるかは分からない。けど、アーサーが戦ってる間くらいは足止めしてみせるさ」


「そうか。ならそちらは任せたぞ!」


 一足先にアーサーが走り出し、ゴブリンキングへと向かう。しかし、アーサーの走る先にはゴブリン達がアーサーを敵と認識して迎え撃とうとしていた。


 だが、アーサーにとって只のゴブリンやゴブリンキャスターなどは雑魚も同然らしく、簡単に葬ってゴブリンキングとの戦闘を始めた。


「シロ、メア。二人にはゴブリンキングの周囲に居るゴブリン達を頼む」


「うん! だけど、マキトは一人で大丈夫?」


「……死ぬ可能性もある。だから、出来るだけ二人は早めにゴブリンを倒して手助けしてくれ」


「分かった! 任せて!」


「ますたーのことはメアが守るの!」


「シロ。危なくなったらゴーレムを召喚しろ。メアを守る為でもいい。だけど、出来るだけ使い過ぎるないようにな」


 シロが俺の言葉に頷いたのを確認してから、俺はゴブリンキングの元へと全力で槍を投げた。当然の如く、ゴブリンキングは俺の投げた槍を受け止めるが、これで俺に注意を向けることは出来ただろう。


「シロ! メア! そっちは任せたからな!!」


「うん! マキトも死なないようにね!」


「ますたー! すぐに助けるから!!」


「あぁ! 二人も気を付けろよ! 」

 

 アーサーは力があるからこそ、簡単にゴブリンキングの周囲に居たゴブリン達を倒すことが出来たが、恐らくシロとメアでは長期戦になってしまうだろう。そもそも、ゴブリンキングの周りに居るゴブリン達が弱いわけがない。むしろ、二人が死なないかどうかが心配だ。


「いや、自分のことを心配するべきか……」


 戦闘が始まれば、シロやメアが心配でもそちらに注意を向けることは出来なくなる。もしも、一瞬でも注意をそ向ければすぐに殺されるだろう。それくらい、俺とゴブリンキングでは力の差が歴然だ。

 もちろん、『神速』スキルを使えば少しは戦えるかもしれない。けれど、最初から使えば体力や集中力が切れて、シロやメア、アーサーにも危険が及ぶ事になる。どれくらい時間を稼げるかは分からないが、最初は様子見をしつつ、守りに専念するべきだろう。


「我に生かされた命、今度は消されに来たか。次は必ず生かさぬ。我と対峙するというのなら、更なる力で我の攻撃を凌いでみせよ!」


「―――御託はいいから構えろよ。あの時とは違うというのを証明してやる!」


「忌々しい槍を使う羽虫が、あの時は生かしたが、今度は塵も残さず消してくれるわ!!」


 ディルムッドと共に戦った時は、最後以外剣を取り出さなかったゴブリンキングだが、今度は最初から全力で戦ってくれるようだ。

 これで俺に注意は完全に向いた。あとは、俺がどれだけ長く生き残れるかだ。

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