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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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90話 『堕ちた帝国』

 それから、俺たちは一度も休まずに帝国へと走り続けた。帝国に近づくにつれて、人々の声や、ゴブリンとの遭遇も多くなり、もはや会話をする余裕もなくなるくらいに緊張感が増していた。


 既にゴブリン達と遭遇が多くなってから、馬には逃げてもらい、自分たちの足で走り始めている。だが、ゴブリン達を退け、ようやく帝国に辿り着いた俺たちは最悪な光景を見てしまった。


「なんだよこれ……」


 帝国は火の海と化していた。至る所に無惨にも殺された人や、ゴブリンの死体。冒険者と思われる者や、子供を庇って死んだであろう人。中には焼死したことによって、顔や体が黒焦げになっている人までいた。


「くそ、やっぱり休憩なんてしなければ!!」


「いや、それは違う。恐らくだが、この火の回りから見て、私たちが休憩していた時にはもう手遅れだっただろう。ゴブリンロードたちの時間稼ぎは見事成功したということだ。そして、今私たちがやるべき事は悲観する事じゃない。救助やモンスター、プレイヤーの討伐だ」


「分かってる。分かってるさ。けど、もしかしたらって考えるとよ……」


「マキト、きっとシロたちみんながその気持ちを持ってる。だから、今は一刻も早く帝国を救わないとだよ」


「ますたー? 悲しいの? わたしがなでなでしようか?」


 こんな光景、シロやメアには見せたくない。幾ら精神的に大人でも、モンスターであるメアでも、この人が沢山死んでいる光景は酷すぎる。

 けど、今はこの被害が更に広まるのを防ぐべきだ。その為に俺が出来ることは限られている。救助もしたい、ゴブリンキングたちも殺したい、プレイヤー達も殺したい、けれど全てを同時にやるのなんて不可能だ。


 だったら、俺達がやるのは……


「アーサー、俺の意見としては全員でまずはゴブリンキングを殺すべきだと思う」


「そうだな。ゴブリンキングを殺せばゴブリン達は統率を失い、この地を去るかもしれない。今尚、プレイヤー達やゴブリンに襲われている人々を助けたい気持ちも私にはあるが、やはりマキト殿の言う通りゴブリンキングを真っ先に殺すべきだろう」


「シロとメアは大丈夫か? 怖いなら帝国の外で待ってても大丈夫だぞ」


「大丈夫! シロも早く皆のこと助けたいもん!」


「ますたーが居るから安心〜」


「そっか。なら良かった。俺も二人が居て心強いよ。けど、くれぐれも注意を怠るなよ? 敵は無数にいるからな」


「「はーい!」」


 実際、シロはあまり戦場には連れて行きたくない。今から戦う相手は十中八九強敵だろうし、シロもゴーレムの力を使わなきゃいけない場面がある可能性もある。だが、本人の気持ちを尊重するというのも大事だし、出来る限りシロとメアで行動させて二人で敵と相対してもらうべきだろう。


「それじゃ行くぞ! 火に巻き込まれないように注意しろよ!」


「マキト殿! 先頭は私に任せてくれ」


「あぁ! 任せたぜ! アーサー!」


 帝国へと入り、火に巻き込まれないよう、慎重に進んで行く。やはり、生き残っている冒険者や街の騎士たちはプレイヤーやゴブリンと戦っていた。だが、明らかに数が違いすぎて、戦況は敵側のが有利であることは間違いないだろう。


 それに加え、驚いたのがゴブリンとプレイヤーがしっかりと共闘しているという事だ。連携を取ってくる相手との戦闘は一気に難易度が上がる。帝国が火の海になっているのも、これが主な現状の筈だ。


「マキト殿! 前方にゴブリンキャスターとプレイヤー数名! ゴブリンの相手は任せたぞ!」


「シロ! メア! 聞こえたな!? 俺がゴブリンキャスターを仕留める! 二人でアーサーの援護を頼む!」


「了解!!」


「ますたーの役に立ってみせるね!」


 ゴブリンキャスターとゴブリン数体、プレイヤーは装備から見て余り強くはなさそうだ。これならアーサーとシロ、メアでも難なく倒せる。俺は俺でゴブリン達を迅速に処理しないといけない。


「少しだけスキルの練習台になってもらうからな!」


 帝国に入って最初の戦闘。炎によって動きが制限される中、出来るだけ消耗しないように俺たちは戦い始めた。

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