74話『シロの判断』
プレイヤー達と騎士団が戦争をしているかのように戦っている。魔法が飛び交い、スキルが飛び交う。プレイヤー達のが地力は高いが数は少ない。
騎士団はその逆だった。一人一人の力はそんなでもないが、複数でプレイヤー1人を対処している。連携をしているところを見るに、なんとか勝つことは出来るだろう。
だが、プレイヤー達はモンスターも使役している。俺と同じようなテイムスキルを使ってるのか、それとも違うスキルを使っているのかは分からない。
──────けれど、今俺とクロ、シロの前には、巨大な獅子と羊の顔を持ち、背中には白い羽、蛇の尾を持つ、ゲームでも何度か見た事ありそうな『キメラ』に乗ったプレイヤーが居た。
「これはちょっと……キツイかもな」
『マスター。あのモンスターは危険です。推定ですが、ヒュドラ以上の力があるかもしれません……』
『キメラ』に乗り、無言で俺たちを見下ろすプレイヤー。フードを被り、顔は見えない。
「シロだって、大きさだけなら負けないんだから!!」
クロの言葉が正しければ、ヒュドラはグウィンとルインでなんとか勝てた相手だ。それよりも強いとなれば、当然俺たちでは対処しきれないだろう。
それに、危険なのはキメラだけではない。キメラに乗るプレイヤーにも警戒しないといけないのだ。一切の情報がない為か、相手が何をしてくるのかすら全く分からない。
「アーサー達は……くっ……無理そうだな」
アーサーとグウィンは2人でプレイヤー達のリーダーであるユウガと戦っている。ユウガ自身もアーサーに剣で勝てる以上に強いらしく、アーサーは押されている。それに加え、ユウガの側近に居た奴もグウィンと魔法で勝負しているが、こちらはなんとかグウィンが勝てている状況といった所だ。
ルインに関しては、他の騎士団のメンバーのアシストをしつつ、戦場を走り回っている。
キメラと寡黙なプレイヤーは俺たちで対処するしかないのだろう。
「マキト!! あのおっきいモンスターはシロに任せて!」
「はっ? お前何言って……」
シロが一体どうやったらキメラを1人で倒せるのか分からなかったが、段々と俺とクロを覆い被さる程の影を見て、俺は納得した。
─────俺達の後ろには、シロの作りだしたボスとして現れた時と同じくらいの大きさのアイアンゴーレムが立っていた。
当然、その背中にはシロが乗っていて、笑顔でこちらへと手を振っていた。
「マキト! マキトとクロはモンスターじゃない方をお願い!」
「あ、あぁ! それじゃ、任せたぞシロ!」
キメラに乗っていたプレイヤーは危険を察知したのか、キメラに何かを合図してから地面へと飛び降りた。
そして、巨大なアイアンゴーレムに乗ったシロとキメラ、寡黙なプレイヤー対俺とクロの戦いも始まった。
仕事が忙しい……




