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7話 『初めてのテイム』

 ゾンビの頭へと棍棒はクリーンヒットし、ゾンビのHPは0となった。

 若干の血しぶきが飛んでくる。

「くそっ。臭いやべえな……」


 顔に飛んできた血を拭う。その間にも、ゾンビはエフェクトとなって消えた。

 そう、この世界では倒したモンスターや倒された人などは最終的にエフェクトとなって消えてしまうのだ。


 本来のこのゲームならモンスターの血なんて飛んでこないし、モンスターはすぐに消えてドロップアイテムだけ表示される。


 だが、この世界ではどうやらアイテムだけは同じ仕様らしい。俺の前にドロップアイテムが表示されている。

「おっ! レベルアップもしてんな!」


 ゾンビを倒すのに俺も貢献したからか、俺にも経験値が入り、俺はレベルが上がった。


 だが、俺はここで我に返って思い出した。今思えば、俺はゴブリンを助けるために飛び出した筈だ。

 という事は、まだゴブリンは生きている。そして、今俺の後ろに居るはずだ。


 俺は恐る恐る後ろを振り向く。未だに攻撃してこないという事は、運が良ければテイム出来たか、出血死とかしてるかもしれない。


「───えっ?」

 俺は後ろを振り向き驚いてしまった。

 ゴブリンが受けていた筈の傷が消えているのだ。

 まぁでも、それはレベルアップによる恩恵かもしれない。

 ただ、それよりも驚いたのはゴブリンの態度だ。どう考えても俺に跪いている。


『イノチノオンジン。アリガトウ。オレ、オマエマモル』

 俺が驚いて止まっているうちにゴブリンはカタコトで話し始めた。

 その言葉をなんとか聞き取り、ようやく俺はゴブリンをテイム出来たことを知った。


「お、おう!これからもよろしくな! 」

 ゴブリンに握手を求める。だが、ゴブリンは握手が分からないのか、少し戸惑っている。

 だから、俺はゴブリンの手を取り、握手した。少しだけゴブリンはビックリしているようだが、俺はとりあえず満足だ。


 初めてのテイム。だけど、俺はゴブリンを物として扱うつもりはない。ゴブリンが死にそうになるなら俺は迷わず飛び込むし、命は平等だ。もう仲間なのだから。


「と言ってもなぁ。ダンジョンの進み方なんて分からんし、罠も怖いからどうしよ……」

 ゴブリンに若干問いかける感じで話すが、返ってくる気は正直しない。


 やはりと言うべきか、ゴブリンから言葉は返ってこない。

 だけど、その代わりゴブリンが俺の前を歩き始めた。まるで俺を先導してくれるかのように。


「これがテイムの力か……」

 少しだけ便利だなと思いながら俺はゴブリンの後ろを歩く。

 その間に、俺は自分の攻撃手段を考えていた。

 まだステータスは見ていないが、多分俺に攻撃力はない。

 さっきのゾンビを倒せたのも、ゴブリンの棍棒の力のお陰だ。


「ちょっと止まってくれ。確認したいことがある」

 ゴブリンへと止まるように呼びかけ、その場を警戒させる。

 俺の言葉で止まるという事は、やっぱり言葉自体は理解しているようだ。


 まぁ今はそんなことよりステータスの確認をしなければならない。

 もしかしたら、この世界なら魔法が使える可能性がある。もしも使えるなら俺にとって最大の武器になる筈だ。



『ステータス』


  名前:櫻井 槙人

 レベル:3

  所持金:0円


 HP:29

 MP:36

 スタミナ:28

 STR:1

 DEX:14

 AGI:26

 INT:24

 LUCK:99


   スキル: 【低位モンスター召喚】 【モンスターテイム】


 ステータスを見る感じ、どうやら一気に2つのレベルが上がったようだ。

 だが、スキルのところに何も増えていない。という事は、何も覚えていないという事だろう。


「まぁまだ覚えれねえよなぁ……」

 そんなことを呟くと同時に俺はこのゲームのシステムを一部思い出した。


 そう、このゲームは特定のレベルになると3つの中から一つスキルが選べるのだ。その3つは完全ランダムであり、運が良ければ最強の魔法を低レベルの内から入手出来るというもの。どうしてこんな重要なことを忘れていたのだろう。


 まぁ忘れていたのは仕方ない。それよりも、レベル3というのはその特定のレベルの一つという事が大事だ。

 きっと、システム通りなら俺もメニュー画面に表示されてる筈だろう。


「えっと……」

 ゴブリンがじっと見つめてくる中、俺はメニュー画面を見る。

「おっ、やっぱりあるな!」

 メニュー画面に新しく表示された《レベルアップ報酬の文字》。

 俺はそれを見て迷わず開き、自分が選択出来る三つのスキルを見て考え始めた。

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