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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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64話 『本気の実力』

地の文多めです。

 どうしてシロが俺達に似たアイアンゴーレムを創り出したのかはなんとなく理解出来る。一番身近な存在であり、共に戦うなら俺達を選んだという事だろう。

 だが、分からないのは俺?が盾を持っているという事だ。クロ?がゴーレムアクスを持っているのはまだ分かる。一時期クロはゴーレムアクスを使っていた。それをイメージして創り出したのだろう。けれど、俺が盾を持っていた事など1度もない。今は使わなくなってしまったが、昔は召喚魔法を使っていたし、必死に生き長らえようとした時もモンスターに頼った。悪く言えばモンスターを肉盾に使ったといえるのかもしれない……


「みんなやっちゃえー!!」


 俺が考えていると、お互い1歩も動かないという状況から先にシロの召喚したクロ?が動き出した。やはりというべきか、今のシロは『召喚士』のようなもので、先程のようにレイピアで攻撃をしていない。ここから先はクロ?に前線を任せるのだと思う。


「くっ……この程度のゴーレム。私の敵では……なに!?」


 シロがどんなに魔力を込めて作ったのか分からないが、クロ?のゴーレムアクスは魔力の纏った風の刃を飛ばせていた。更には、クイーンの攻撃を防ぎづらそうな斧で見事に受け流し、地道に攻撃を加えようとしている。もはやゴーレムと思えない程に知恵がある。実際にシロ以外の人がゴーレムを作ってもあんな風になるのだろうか。


 こんな風にゴーレムが強いのなら戦力としてもはや充分としか言えないだろう。


「あのゴーレム。常に魔力が送られているのか」


 キングがクロ?を見ながら独り言のように呟く。しかし、俺はそれを聞き逃さずに反応してしまった。


「キング。どういう事だ?」


「聞いていたか。まぁいい。ゴーレムの召喚者を見てみろ。守られて1歩も動いていないだろ? それに、足元には常に魔法陣が浮かんでいる。魔法陣に魔力を送り、それを戦っているゴーレムに送っている。だからあのゴーレムはまるで人間のような知恵があり、動きが出来るんだ」


 キングは俺に丁寧に説明してくれたと同時に、最後にはボソッと『ゴーレムに魔力を送る者など見たことがないぞ……』と呟いた。


 確かに、俺自身もシロがここまで器用な事が出来るとは思っていなかった。ダンジョンコアという存在だからモンスターに魔力を送り込むのも出来るのだろうか。いわばシロだけが出来るであろう特権だ。


「危ない! 守って!!」


 前線で戦っていたクロ? の攻撃をなんとか掻い潜り、クイーンはシロへと接近していた。


「こんなに手強いとは思っていませんでしたよ」

「まだ負けてないし!」


 シロを的確に狙ったクイーンの斬撃を俺?が大きな盾を軽々持ち上げて防ぎ切る。確実にとどめをさすつもりだったのか、それともシロの込めた魔力が足りなかったのか、俺?は斬撃を受けた衝撃で仰け反ってしまっている。


「こっちはこの程度か。終わりだな」

「シロはマキトに褒めてもらう為に負けないもん!! 」


 シロが全力を込めて俺?へと魔力を込め、無理やり体勢を立て直させていた。だが、体勢が立て直ったとほぼ同時にクイーンの剣はシロへと接近していた。


 ━━━━しかし、シロへとクイーンの攻撃が当たることは無かった。シロ自身がレイピアを使って防いだのだ。


 そして、シロが魔力を込めた時に変化させたのか、俺?の持っている武器が変わり、『盾』から今の俺自身の武器でもある『槍』となっていた。


「これでシロの勝ちだね!」

「まだ、まだだ……私は負けてはならないのだ!」


 上級冒険者としてのプライドがあるのか分からないが、クイーンは必死に俺?の槍捌きを防いでいた。

 って、もしかしたら俺?の槍捌きは俺よりも上かもしれないとか思ったのは内緒だ。


「こっからは私も動くよ〜!」

「……くっ……多数に無勢か……」


 クイーンの言う通り、3対1という戦闘は少し卑怯かもしれないが、これも自分の力を全力で使った作戦というやつだ。まぁ実際にシロのアイアンゴーレムがここまで強くなるとは思ってなかったけどな。


 しかし、すぐに決着が着くとは思っていたが、クイーンはなんとか3人の攻撃を防いでいる。シロの魔力補充がないから少し弱くなったのかもしれないが、それでも斧と槍とレイピアの攻撃を防ぐのは並大抵の事ではないだろう。


 しかし、現にそれをこなしているのが目の前の上級冒険者だ。このままいけばシロは勝ってしまうだろう。中級者に上がるための試験とはいえ、勝ってしまっていいのだろうか。

 そんな不安を俺は考えるが、もはや俺が止めようと思って止めれるものではない。キングやジャックが動かないとなれば、あとは終わるまで見ているしかないのだろう。

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