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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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63話 『シロの戦い』

 クロとジャックの試合が終わり、2人は俺たちの居る所へと戻ってきていた。戻ってきたクロを見るに、表情までは分からないが、少し落ち込んでいるようにも思えた。


「クロ。お前めっちゃ強いな。まさかほとんど互角の戦いするなんて思わなかったよ」

『いえ、私は負けてしまいました。しかも負けた敗因は私にあります。私が慢心して油断したのがダメだったのです』


 どうやらクロはジャックにどうして負けたのか教えられたようだ。だが、俺から見てもあの時のクロは少し焦っているように見えた。それ故に相手の一手先を読まずに突っ込んでしまったのだろう。


「まぁ気にすんな。あくまでもこれは中級冒険者に上がる試験だし、上級冒険者とあそこまで戦えたんだから充分だと思うぞ」


少しだけ俺の嫉妬の感情は出ていたかもしれない。あのままクロが勝てばクロは上級冒険者になっただろうしな。


『そうですね。今はとにかくシロ殿の試合を見ることに専念します』

「あぁ。それがいいと思うぞ。シロの本気はまだ見た事ないからな。今回でもしかしたら見れるかもしれないしな」


 今までシロに確実な前線での戦闘はさせたことがない。だからこそ、シロが一人で全力で戦うところを見たことがないのだ。


「あ、そうだ! 私はシロって言うんだけど、あなたはなんて名前なんですか?」


 クロの時とは違い、シロの声は大きめということもあって、俺たちにも聴こえやすかった。


「そうですね。私はクイーンとお呼びくだされば幸いです」


 どうやら青の鎧を着たクイーンは3人の中で唯一の女らしい。声を変えていなければの話だが。


 「分かった! それじゃそろそろ始めてもいいー?」


 どうやらシロとしてはやる気があるようで、早く戦いたいようだ。


 「はい。何処からでも大丈夫ですよ」

 「それじゃ、行っくよー!」


 念の為にだが、クロが戦っている最中に、シロにはアイアンゴーレム以外のモンスターは召喚しないように伝えておいた。いまいち聞いていたかは分からないが、モンスターを召喚してしまえば各日に不味いことくらい分かっているだろう。


 「よく分かんないけど、こうかな?」


 俺の心配はどうやら杞憂のようだったみたいで、シロは初めからレイピアを使って攻撃を始めた。使い方がいまいち分かっていないみたいだが、むしろ予測が難しいみたいでクイーンは少し慌てていた。


 「この程度なら、中級など程遠いですよ」

 「そんな事分かってるもん!!」


 クイーンも伊達に上級冒険者なだけあって、シロの攻撃を段々と躱しながら反撃を加えようとしている。

 シロは反撃が来ると分かったのか、レイピアでの攻撃をやめ、少し距離を取り始めていた。


 「あなた。幼い割には賢いようですね」

 「幼くないし! シロはもう大人だよ!!」


(いやいや、シロ、お前は充分幼いよ……)

 きっと、俺以外にも他のみんながシロの言葉を聞いてそう思っただろう。

 だが、シロは見た目こそ幼いが、頭の回転は早いらしく、クイーンの怒涛の攻撃をなんとかレイピアを使って防いでいる。と言っても、殆ど使ったことのない武器で防げるはずもなく、シロの体には少しずつ傷が出来始めていた。


 「痛い……」

 「そうでしょう? 私もこれ以上はあまり傷つけたくありません。また下級でやり直したらどうですか?」


 「━━━ううん。そろそろシロも本気出すから大丈夫!」


 シロはクイーンから更に距離を取ると、少し魔力を溜め始めた。


 「ほう。それでは本気とやらを見せてもらいましょうか」


 クイーンはここでシロに時間を与えてしまった。それこそが最もな間違いだったのだろう。シロの魔力が溜まる前に止めればまた結末は変わったかもしれない。けれど、そんな事はまだ俺達の誰もが分からなかった。


 そうして、シロが魔力を溜め終わり、詠唱を始める。地面に2つの魔法陣が描かれると、シロの詠唱が終わると同時に眩い光を放った。


 光が落ち着き、シロの前に立っていたのは、色こそ鉄のようだが、ゴーレムアクスを持ったクロのような人型のゴーレムと、何故か人を隠せるくらいの大盾を持った俺自身のようなゴーレムが立っていた。

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