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6話 『モンスター同士の戦い』

遅れてごめんなさいm(*_ _)m

 ゾンビがゆっくりとゆっくりとこちらへと迫ってきているが、恐怖に怯えるが不幸にも俺には武器がない。


 あるのはただ一つ。召喚魔法だけだ。もはやこれに賭けるしかないだろう。震える口で俺は唱える。

「スキル発動『低位モンスター召喚』」


 とりあえずゾンビに勝てそうなモンスターが来るのを祈るだけだ。

 と言っても、もしも召喚したモンスターが俺を襲ってくれば俺は終わりだろう。


 どうしてもそれだけは避けたい。

 幸いにも、魔法陣とゾンビの位置は近く、ゾンビに敵意があるのなら召喚したモンスターを狙うだろう。


 俺は一応少しだけ離れておく。まぁ念の為にだ。


 そして、ようやく魔法陣から出てきたモンスターはどこかで見たような、大抵の小説や漫画の中で最弱のモンスターとして有名なやつだった。


 背丈は小さく、手には木を粗削りしたような棍棒。

 緑色の体をもつ『ゴブリン』というやつだ。


「モンスター、コロス」


 どうやら俺は襲われないようだ。ゾンビもゾンビでゴブリンへと標的を定め、ゴブリンはそれに応えるかのようにゾンビへと棍棒を構える。

「よし。今のうちにゴブリンの情報を見とかねえと……」


 本を取り出し、新しく書かれているページを見る。


『ゴブリン』


 推定レベル:1~5


 HP:16~20

 MP:3~5

 スタミナ:10~14

 STR:1~9

 DEX:5~7

 AGI:6~10

 INT:4

 LUCK:3


   スキル: 『仲間呼び』


 情報:ゴブリンにはあらゆる種類が存在する。どれも、最初はただのゴブリンだが、才能があるゴブリンからどんどん変化していく。


 ゴブリンは基本的に村を作り生息しており、ほとんどは力も弱いことから、冒険者の討伐依頼で狩られる事も多い。


 テイム方法: 困難な状況を共に乗り越える。または、ゴブリン自身が召喚者を認める。


 テイム確率:条件クリアで99%以上


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 ゴブリンのステータスも分かった。まぁ幅はあるがそれは大した問題ではない。

 ただ、ゾンビのステータスが分からないが問題だ。それに、テイム方法も中々難しい。認めさせるとか正直無理な気がするし。


 と、そんなことを考えていたら棍棒を持ったゴブリンがゾンビへと先制攻撃を仕掛けていた。


「速すぎるだろ……」

 俺はゴブリンというのは最弱な生物だと思っていた。だが、どうやら認識を改める必要があるようだ。確かに、この世界に元々居る冒険者や兵士なら簡単に倒せるのかもしれない。

 だが、この世界に閉じ込められた俺のようなVRプレイヤーにはどうだろうか。


 無論、ゴブリンにすら勝つことは厳しいだろう。それは、目の前の光景を見れば分かる。

 確かに、ゾンビの動きは遅く、攻撃もゴブリンには当たらない。

 それに対して、ゴブリンは素早い動きと、威力のある棍棒でどんどんゾンビの体を粉砕していく。


 もはや。こんなゲームの世界に閉じ込められた一般人じゃ勝ち目もないだろう。


「ゾンビ倒されたら多分、次は俺だよなぁ……」

 溜め息をつきながらどうやってゴブリンを倒そうか考える。

 動きでは勝てないし、次のモンスターを召喚するにもスタミナがない。

 武器はないし、俺自身の攻撃力は0。

 これがもし、他のVRプレイヤーならなんとかなったかもしれないが、俺にはどうにも出来ない。


 それに、今はとにかくゴブリンとゾンビの戦いを見るのが優先かもしれない。そこから得る知識もある筈だ。


「ゴブリンの戦い方。やっぱりゲームとは違う。意志を持って戦ってるからか?」

 ゴブリンは棍棒を巧みに操り、ゾンビを動かさないように、腕や足を的確に破壊している。


 だがゾンビに痛みなく、完全に死ぬまでは動き続ける。ゴブリンはそれを知らなかったのかもしれない。


 だから、動けなくなったゾンビを狙って隙を見せたのが駄目だった。

 ゴブリンはゾンビに噛まれた。思い切り、肩を噛みちぎられ、紫色の血を飛び散らしながらその場に倒れる。


 肉を喰らったことによりゾンビのHPは回復し、逆にゴブリンは棍棒を持つことすら出来ず、痛みに倒れている。


「くっそ。これでテイム出来なかったらあの世で恨むからな!!」

 どうしても行きたくなかった。

 死にたくない。死にたくない。足が震える。

 でも、俺は目の前でゴブリンが死ぬのを見てられなかった。

 倒れているゴブリンの目が俺へと助けを求めているのだから。


 だから、俺は走った。ゴブリンが倒れている場所へと走り、少しずつ再生しているゾンビの前へと立つ。


 そして、ゴブリンの棍棒を拾い上げ、今にも噛み付いてきそうなゾンビの頭へと思い切り振り下ろした。

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