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異世界っぽいVR世界に閉じ込められたけどなんとかなりそうです。  作者: ねぎとろ


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54話 『ものは試し』

 ナイトメアバットに周囲の警戒は任せ、俺とシロはテントへと戻ってきた。

 もちろん、視覚共有を試す為に3匹のナイトメアバットのうち、1匹を近くへと連れてきている。


「お疲れ、クロ」


 一人先にテントへと戻り、今までの間ずっと警戒してくれていたクロへと労いの言葉をまず掛けてから、モンスターについて説明する事にした。


『いえ、私に疲れなどは溜まらないのでご安心ください』


「いや、そうは言ってもなぁ。そんな事言ったら俺のモンスター召喚が無駄になっちまうじゃねえか」


 そもそも、モンスターを召喚しようと思った経緯は皆を休ませる為だ。確かに、アンデットという存在故に疲れないかもしれないが、俺としては休んで欲しい。


「うんうん! クロは働き過ぎだよ! シロみたいにもっと休むべき! 」


「いや、お前はもはや働いてる時のが少ないだろ……」


『いえ、シロ様も充分働いてるかと。その明るい笑顔が見られるだけで私やマスターは頑張れるのですよ』


「───なっ! ク、クロ? お、お前は何を言ってるんだ?」


『事実ではないのですか?』


「えっ!? そうなのマキト!!」


「ち、違うわ! うるせえ! シロ!お前はもう眠いだろ? ここからは俺たちに任せて先に寝てていいぞ!!」


「えっ、ちょっ、マキト? シロはまだ眠くないよ?」


 無理やり寝かせようとする俺に対して、シロは必死で抵抗してくる。だが、当然睡魔には勝てないようで、テントへと入って暖かくして寝転ばせたら、ほんの数分で寝息をたててしまった。


「ふぅ。これでゆっくり話が出来る」


『少し遊びが過ぎましたね。申し訳ありません。マスター』


「まぁ別にこれくらいは全然気にするな。それよりも、さっきから気付いてると思うが、この俺の肩に乗っているモンスターが俺の召喚したモンスターだ」


『はい。マスター達が一切の攻撃を行わないので、薄々そうだとは思ってましたが……ですが、そのモンスターはどんな能力を持っているのですか?』


「あぁ、それについてはだな───」


 興味を持ってくれたクロへと、ナイトメアバットが3匹召喚出来た事と、感知能力に優れ、戦闘能力は殆ど無いことをまず伝えた。


『マスター。やはり戦闘能力が無いというのは今この状況においても少し厳しいかと思われます。他にも能力があれば別なのですが……』


「まぁ落ち着け。確かに今説明しただけじゃ微妙かもしれない。けど、一応もう一つ能力があるんだよ」


『もう一つの能力……ですか?』


 俺はクロへとナイトメアバットのもう一つ持っていた能力である視覚共有について説明した。


「どうだ? これなら今の状況でも使えると思わないか?」


『───いえ。それはどうでしょう。否定的になってしまいますが、確かに視覚共有というのは素晴らしいと思います。ただ、それはマスターが起きている間だけ。マスターは人間です。睡眠は最も必要でしょう。ならば、寝ている間は視覚共有は意味をなさない。そう考えれば夜の間は微妙となるでしょう』


「そうか……」


 確かにクロの話は正しいだろう。だが、例えば俺以外の睡眠が必要のない者と視覚共有をすればこの問題は解決する。だが、一つ重大なのが未だに視覚共有のやり方が分からないということだ。


「なぁ、例えばだぞ? 俺がナイトメアバットと視覚共有するんじゃなくて、クロ。お前がすればどうだ?」


『私、ですか? た、確かに私が視覚共有すれば私自身睡眠は必要ないので、夜の間でも充分に有効活用出来るはずです。ただ、どのようにすれば視覚共有が出来るのかマスターはご存知なのですか?』


「いや、俺も分からないんだ。ナイトメアバットという名前から、コウモリと推測して『血を吸わせる』とか考えたんだが、モンスター自体に人間の血というのを吸わせてみても良いのか分からない。それに、病気とかも怖いしな」


 現代の、俺の元いた世界ではコウモリに噛まれれば病気になると聞いた。もちろん、実際に噛まれた事は無いが、テレビなどで見る限りではコウモリが病気を持っているのは間違いないだろう。例え、この世界のモンスターが病気を持っていないとしても、やはり実際に試すのは正直怖い。


「それに、もし血を吸って視覚共有が出来るのなら最もやってもらいたいクロじゃ出来ない事になるしな」


『そうですね。私から血は放出されません。血の代わりになるものがあれば良いのですが、出来ることといえば骨を少し削り、骨の粉を与える事くらいです』


「だよなぁ。うーん。……分かった 俺がとりあえず血を吸わせてみるよ」


『大丈夫ですか? 無理はしないで他の方法を探すという手もありますよ?』


「いや、大丈夫だ。とりあえずクロは見ててくれ」


『……畏まりました』


 クロが見ている中、俺は3匹のナイトメアバットを呼び、1匹ずつ俺の肩へと歯を突き立てさせ、血を少し吸わせる。

 少しだけ痛い。チクッと針が刺さったような痛みだ。血自体は少量を吸わせたことから特に問題はない。病気に関しても、3匹が吸い終わったあとに確認したステータスにも書いてはいないから大丈夫だろう。


「よし。これでちょっと試してみるか」


『マスター。体調など悪くなったらすぐに言ってください』


「あぁ。心配してくれてありがとな」


 視覚共有を試す前にひとまずはナイトメアバットを俺の元から散開させ、周囲の警戒をさせる事にした。


 そして数分経った頃、俺はクロに俺の周囲を任せてから『視覚共有』と呟いた。

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