50話『王都に向かって』
いやー、何故かブクマがめちゃくちゃ伸びてる!
街の入口へと辿り着くと、予定時間より先に待っていたのか、荷物を乗せた大きな馬車が一台止まっていた。
「これが今回の依頼、かな?」
『まだ依頼時間より少し早いですが、どうでしょう……』
クロと共に話していると、いつしかシロがこの場に居ないことに気が付いた。
「馬さんだーー! かわいい!!」
「そうだろうそうだろう。これは俺が育てた自慢の馬だからな!」
シロを回収する為にシロの元へと向かうと、少し裕福そうなおじさんとシロが馬について話していた。恐らくだがこの人がこの馬車の持ち主であり、今回の依頼主だろう。
「あの〜、ほんと、うちのシロが勝手なことしてすいません……」
謝りつつシロを近くへと引き寄せて、これ以上いたずらも出来ないようにクロへと引き渡す。
おじさんは怒ってはいなさそうだが、どうだろうか。
「いやいや良いんだよ! むしろうちの馬を褒めてくれて嬉しいからね! 」
「はい。本当にすいません。てっきりシロがいたずらしたかと思ったけどそうじゃなかったんですね。良かった……」
「おう! むしろこちらとしては子供を褒められた感じで嬉しいからな! それで、君たちが俺の依頼を代わりに受けるという冒険者か? ギルドマスターから聞く限りじゃ、下級冒険者だけど腕は良いんだろ?」
やはりこの人が依頼主であることは間違いなかったようだ。ただ、恐らくだがこの人は俺達の冒険者としての腕前を少しだけまだ疑っているようだ。
まぁ確かに正直言っちゃえば俺達の冒険者としての実力なんて自分では分からない。ただ、俺達はギルドマスターやディルムッドに認められてるっていうだけだ。
「そう、ですね。一応俺達はまだ下級冒険者です。本来この依頼を受ける筈だったディルムッドさんに比べれば、俺達の実力は弱いと思います」
俺の言っていることは正しい事だ。本来この依頼を受けるはずだったディルムッドに比べれば、俺達は三人で同程度、いや、三人でも勝てないだろう。
「マキトやクロは弱くないよ!! 強いもん!!」
『そうですね。私はともかくとして、マスターは恐らくですが中級冒険者以上の実力はあると思います』
「いや、別にあんたらの実力を疑ってるわけじゃねえんだ。ただギルドマスターのおっちゃんやディルムッドが認めたっていうからちょっと気になってな。俺の言い方が悪かったな。すまねえ」
「いえ、こちらこそなんか色々すいません。まぁ実力の方に関しては後程モンスター達と遭遇した時に判断出来ると思います」
モンスターさえ出てくれば俺たちの実力は把握出来るはずだ。俺自身がモンスター召喚をして、出てきたモンスターを倒すというのも一瞬考えたが、それはさすがに召喚されるモンスターが可哀想な気がして出来ない。
運良く害悪なモンスターに出会うことを待つしかないだろう。まぁ出来るなら王都まで何も起こらない方が良いが……
「それもそうだな。それじゃ、とりあえず王都に向かって出発するか!! のんびりとあんま気張らずに行こうぜ!!」
依頼主が時間を確認し、俺達は街を出て王都にに向かって進み始めることが出来た。後は俺達が全身全霊をもって依頼主と馬車を王都まで守り抜くだけだ。
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街から出発し、数十分程度経つ頃には俺たちの雰囲気は明るいものとなっていた。シロが持ち前の明るさを利用して、というか、まぁ無邪気に依頼主に話しかけてくれるお陰で、今は楽しく王都へと向かうことが出来ている。モンスターも幸い出現していないのも運が良いだろう。
『マスター。遅くなりましたが、頼まれていたアイテムの確認をお願いしても良いですか?』
「ん、あぁ。そうだな。とりあえず今は安全そうだし確認しとくか」
シロと依頼主に話し掛け、一旦俺だけ馬車の中へと入る事にした。さすがに歩きながら全てを確認することは難しい。
クロから購入して貰ったアイテムの数々を受け取り、俺は座り込んで、出来るだけ早く済ませるように意識しつつアイテムの確認を始めることにした。
「えーっと、回復薬が……」
回復薬自体が効果の少し弱い中身が赤色の物と、効果の高い中身が青色の物がある。
今回、渡したお金の半分ほどは残っているのを見るに回復薬などの消耗品ははそこまで高くはないのだろう。
「さてと、あとは数えるだけだな」
アイテムを全部取り出して、購入してもらったアイテムの名前と数を数えていく。
(結構な量あるな……)
数分で数え終わったが、しっかり並べてみると結構な量があることが分かり、少し驚いてしまった。
回復薬.小:15
回復薬.大:5
MP回復薬:10
スタミナ回復薬:10
魔力増強薬:5
筋力増強薬:5
「マキト!! モンスター!」
『マスター! 敵襲です!!』
シロとクロの声を聞き、俺は急いでアイテムを袋にしまってから槍を持って飛び出した。
「あんたらの実力をここで見せてくれよな!」
「はい! 任せてください!!」
槍を扱ったことはない。けど、今回の敵は幸いにも何度か戦っているゴブリンが三匹と、オオカミのようなモンスターが二匹だ。
どれだけ圧勝出来るかは分からないが、俺は槍を構えてクロよりも早く走り出した。




