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5話 『出会いは突然』

 ―――『ダンジョン』


 それは、今俺が居る洞窟のような場所だ。ただ、洞窟とはあらゆる点においてまるっきり違う。


 まず、ダンジョンには最深部にダンジョンコアというダンジョンを生成している物質がある。それを破壊する事によりダンジョンは機能を停止するのだ。


 だが、そう簡単な話じゃない。まず、今の俺一人ではほぼ確実に無理だろう。ダンジョンではモンスターも普通に居る。それも、ダンジョンによっては明らかに強大なモンスターが居るのだ。

 それに加え、人を軽く殺すようなトラップや、モンスターを強制召喚する罠部屋。


 ありとあらゆる危険がある。だがその反面、もちろんダンジョンにはメリットもある。

 マジックアイテムという武器や道具に魔法が付呪されている物や、財宝、純粋に強い武器。更にはもっと特別な特別なアイテムだって手に入る事もある。


 そんなダンジョンはまぁゲーム内では人気がある。

 でも、今の俺が行きたいかと聞かれたら確実に『嫌だ』と答えるだろう。


 そりゃそうだ。今俺がいるのは多分ゲームの中。死ねば終わりだろう。復活はないのだ。パーティーや人数が多いならともかく、一人なら尚更行きたくもない。


 「はぁ……どうしっかなぁ……」


 行きたくない。行きたくない。と願いつつ、なんとかダンジョンに行きたいと思えることを考えるために、さっきまでダンジョンの情報を思い出していたが、やはり行きたいとは思えない。


 確かに、()()()()ならマジックアイテムや普通に財宝、まぁ宝箱なんかにも興味が湧くだろう。

 だが、それはあくまでもゲーム内だからだ。ゲームでは死んでもデメリットはあるものの、復活は出来る。だからダンジョンを攻略するのは楽しいのだ。


 「一回で死ぬのに行きたいわけねえだろうがよ……」

 適当に愚痴なんて吐いても聞いてくれるやつなんていない。

 今こんな状況だからこそ誰か仲間が居てほしい。まぁそんな願望は叶う筈はないのだが。


 「やべぇな。さすがにそろそろ行かねえと。腹が……くっそ……」

 ずっとこの場に居て、なにかあるかと聞かれても何もないだろう。

 出口は塞がれ、進む道は一つしかない。食べ物もなく、ただ腹は減るのみ。

 運命の女神は俺の選択肢を絞るに絞りたいご様子だ。


 腹は減り、選択肢が一つしかないのなら、俺はそれに従うしかない。餓死は避けたいし、なによりも何もしないで死ぬなんてどうしても勿体無いと感じてしまう。

 幸い、俺にはスキルがある。仲間……とまではいかないが、盾にもなるし、運良くテイム出来れば良い意味でも使えるし、最悪罠とかを調べるのにも使える。


 「よし。大丈夫。やれる。感覚を研ぎ澄ませ。俺なら攻略出来る。死ぬ気でやるんだ。どうせ死ぬならやるしかない!」


 無理やり声に出して暗示をかける。というのも、いざ進もうとすると俺の体が拒否するように震え出すのだ。

 怖い。たしかに怖い。でも、進まなきゃいけない。心では理解しているのに体が言うことを聞かないのだ。


 だから俺は暗示を掛け続ける。死ぬ気でやれば出来ると。

 だけど、それは間違いだったかもしれない。いや、そもそもこのダンジョンに入った時点で気づくべきだったんだ。不用意に声なんて出すべきじゃないと。


 ダンジョンにはモンスターがいる。コアによって生成されるのだ。

 ダンジョンごとにモンスターは異なる。例えゲーム内で弱いモンスターだとしても、現実にすれば強いかもしれない。


 更には、戦ってる時に罠を踏んで死ぬかもしれない。ダンジョンでなんて死ぬのは一瞬だ。だからこそ、最大限の注意を払うべきだった。

 だが、後悔をしてももう遅い。


 「アァ……ァァァ……」


 「油断、しすぎたな……」


 生ける屍。ゲーム内ではゾンビと呼ばれ、死した人が意思を持たずにただ生ある者を食べるために本能で動くとされている。


 そんなモンスターが俺の声を聞きつけ、俺の生命力を感じ、俺の目の前へと現れてしまったのだ。

 武器も持たず、戦い方もよく分からない俺はただゆったりとこちらへと迫ってくるゾンビに恐怖することしか出来なかった。

多分ですが……当分ヒロインとか出ないと思われます……(´;ω;`)

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