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29話 『強くなった自分』

もしかしたら次の話遅れるかも……

 ディルムッドと死の騎士がゴブリンの大軍へと先制攻撃を仕掛け、それに続いて他の冒険者達も動き出した。

 もちろん、一瞬前までモンスター召喚をしようとしていた俺とシロは一番最後にゴブリン達へと走り出した。


「下級冒険者諸君! このゴブリンの軍勢は今までよりも強い! 出来るだけチームで戦うんだ! さもなくば死ぬぞ!!」


「「了解です!!」」


 上級冒険者の声圧は強く、しっかりと冒険者達全員へと届いていた。しかも、喋りながらもしっかりとゴブリンを槍で倒しているのもさすがと言える所だ。


 だが、死の騎士も負けてはいなかった。圧倒的な防御力と盾で攻撃を防ぎながら、ほとんど一撃ゴブリン達を真っ二つにしている。


「おっし! 俺達もいっちょやるか! っと、その前に、シロには守護魔法掛けとくからな!」


「うん! シロも頑張ってアシストする!」


「ははっ。無理すんなよ!」


 シロへと守護魔法を掛け、俺は数体居るゴブリンへと走り出した。

 素手スキルがどんなものかは分からないが、ここまで来たら戦う他ないだろう。


「とりあえず殴ってみるしかねえよな!」


 ゴブリンが俺に気付く前に、ジャンプし頭を殴ってみた。

 俺の拳はゴブリンの頭にしっかりとヒットし、骨の折れるような嫌な音を奏でながらゴブリンは力尽きた。


「お、おぉ。なんていうか一気に強くなったな」


 一体のゴブリンが死に、俺の前にいるのは残り三体。もちろん、俺の存在にも気付いている。

 ちょうど俺がいるところは周りでた冒険達がゴブリンの相手をしてくれているお陰で、援軍は来ないだろう。


「よっし! それじゃ、シロは下がってみててくれな」


 ゴブリン達が俺を完全に敵と認識し、襲ってくる。

 だが、どうにも俺の相手にすらならなかった。確かに、持っている棍棒で襲いかかられたら怖いが、ステータスが変化したおかげかどのゴブリンの攻撃も遅く見えてしまうのだ。

 そんな遅い攻撃にカウンターを叩き込むのは容易い。


 棍棒の振り終わりに、一体のゴブリンを掌打し、怯んだところを右ストレートで速攻倒す。

 残りの二体は棍棒を力強く振りすぎた為か、振ったあとに二体とも体がよろけていた。


「……ゴブリンってこんな弱いんだな」


 一言呟いた後に、ゴブリン二体の顔面を殴り、最後に二体の頭を掴んでお互いにぶつけて殺した。


「これが素手スキルの力なのか……?」


 現実世界では全く喧嘩も殴り合いもしたことがないのに、殴るタイミングとかが全て分かってしまう。これもスキルのお陰の筈だ。


 それに、素手スキル自体に特殊的な技は多分ない。が、本能的に強くなるのと、素手自体が強くなるのが素手スキルの能力なのだろう。武器を持つのとどっちが強いのかは分からないが、何も持たなくていいっていうのはある意味強いのかもしれない。


「おー、待たせたなシロ。どんどん行こうぜ」


「マキトはちょっと自分の力に過信しずき! 無茶はダメだよ!!」


「わ、分かってるって! ちょっと素手スキルってのを試したかっただけだよ!」


「ふーん。ならいいけど!!死んでも知らないからね!」


 どうして怒ってるのか分からないが、シロは俺を置いてどんどん歩いてしまった。


「なぁ、シロは走ったりして疲れたか? 俺は何故か疲れねえんだよな。HPも減ってねえし、守護魔法掛けた筈なのにMPも減ってねえな」


 シロの側へと寄り、みんなが戦ってる中で悠長に俺はシロへと話しかけた。


「それは、マキトのレベルが上がってるからだと思うよ。で、でも強くなってもマキトより強いモンスターも居るからね!! ほんと、気を付けてよね! ……死んだらやだから」


「当たり前だろ! 俺がシロを残して死ねるかよ!守るって決めてんだから!」


「絶対だからね!!」


「おう!!」


 そんな話をしている中で、俺とシロを邪魔するモンスターがまた現れた。

 だが、さっきとは少し違っていた。

 ゴブリンであることに変わりはないが、どうやらパーティーを組んでいるようで、先頭に二体の盾と槍を持ったゴブリン、間に棍棒を持ったゴブリンが二体。一番後方に杖を持ったゴブリンが俺たちの前へと立ちはだかった。


「よっし。ちょっとキツそうだけど、みんな頑張ってるしな。俺も貢献しねえと」


「シロのスキルで援護するからね! 任せておいて!」


 シロを守りながら戦うのは、素手スキルになって近接戦闘になった俺には難しい。守護魔法があり、ヘイトを俺に向けることによって初めてシロを守れるのだ。

 だが、そんな守護魔法もさっきの戦闘によって、時間的に無くなってしまう。


 守護魔法が無くなるとなったら、相手が近くに来るのを待ってから、シロを見つつ戦わないといけない。シロのスキルがどんなものか分からない今は、やはり待ちに徹してカウンターで倒した方がいいだろう。


 そんな事を考えている時だった。今まで一度も無かったのに、まるで頭の中に直接話し掛けるような機械音声が聞こえてきた。


『レベル15に上がり格闘術スキルを会得しました。それによって素手スキルは格闘術スキルへと統合されます』


 俺が戦闘中だからか分からないが、今までステータスを確認しないと分からないようなことをわかりやすく俺へと説明してくれた。これは助かる。


 新しく覚えた格闘術スキルがどんなものかは分からないが、ゴブリン達は残り10メートル程度の距離をジリジリと近付いてきている。

 幸いにも近づくのが遅いからシロのスキルを発動する時間位はあるだろう。


「シロ! お前のスキルを俺に見せてくれ!」


「うん!任せて!!」


 シロを庇うように俺が前へと立ち、シロのスキル発動を待つ。

 ゴブリン達は突然シロがスキルを使おうとしているのに気付いたのか、遅く迫るのを止めて、一斉に動き出した。


「さて、新しいスキルを試させてもらうか!」


 ゴブリン達が迫ってきている中、俺はシロを守るために目を閉じた。

リアルの都合上、次の更新は月曜日の深夜12時となります。

ご了承下さいませ。

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