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26話 『街での出来事3』

頭痛いよぉ……

 死の騎士と共にシロが戻ってきたのを確認してから俺たちはまた死の騎士の案内の元冒険者ギルドへと向かった。その途中で、俺とシロは有り金の半分以上を使って服装を変えた。さすがに、ずっと同じ服だとまずいと考えたからだ。


 と言っても、服屋や案内その他諸々を死の騎士にすべて任せてしまってる現状はどうなのだろうか。

 モンスターを召喚して戦うのが元々の俺の戦い方っぽいし、テイムしたモンスターをこんな風に使うのもある意味正しいのかもしれないが、さすがに一人に負担させるのも可哀想だろう。


「そろそろ新しいモンスターも召喚しねえとなぁ……」


 他のモンスターも召喚したいと思いつつも、さすがに街中で召喚する訳にもいかない。

 そもそも、モンスターがこの世界において悪だと仮定するとして、仮に俺が街でモンスターを操ってるのがバレたらどうなるか。そんなの考えなくても分かるだろう。

 たまたま死の騎士がバレてないだけで、今はグレーゾーン。冒険者にでもなって、相当有名になれば話は別かもしれないが、今の俺じゃ一瞬で街から追放されるか、殺されるかのどちらかの筈。


「そう考えると俺の元々あるスキルってやべえな……」


「んー? モンスター召喚するのがやばいの?」


「ちょ、シロ!!」


 咄嗟にシロの口を塞ぎ黙らせる。このまま喋らせておいたらあまりにも危険すぎる気がしたからだ。


「ほらシロ。ここが冒険者ギルドだぞ」


「……んんー!!!」


「あ、ごめんごめん。口塞いだままだったな」


「ぷはっ! 凄い! デカいデカいー!!!」


 シロがぴょんぴょんと跳ねて楽しんでいる。でもその気持ちも分からなくもない。正直、俺も今見て少し大きさにビックリしたし、ギルドの大きさがここまで大きいという事は、この世界において冒険者というのは意外と重要なのかもしれない。


「……もしかしたら俺と同じプレイヤーも……」


「───マキトー!はやく行こーー! 中が気になるの!!!」


 俺と同じようにこの世界にもきっとプレイヤーは居るのだろう。多分スキルはバラバラだとは思うが、もしかしたら冒険者をやっているプレイヤーも多いかもしれない。というよりも、俺が冒険者ギルドに来た目的というのも、この世界に来た他のプレイヤーの情報を得て、協力出来ないか考えていたからだ。


 そんなこ真剣事を考えていたのに、シロに服の袖を引っ張られ、俺は転びそうになりながら冒険者ギルドの扉前へと辿り着いた。


 恐る恐る中へと入り、俺はカウンターまで一直線に進んだ。

 どうして一直線に進んだのかは単純に怖かったからだ。

 辺りには見た感じNPCばかりしかいない。NPCはどの人も小説やアニメのように皆強靭な肉体を持っていたり、如何にも魔術師っぽい服装してるが、和気あいあいと酒を飲んだりしてどこかしらみんな楽しそうだった。


 でも、その賑やかさも一瞬で静寂に静まり返った。

 それは、死の騎士が入った瞬間だ。全身フルプレートの真っ黒な騎士が入ってくれば自然と視線が集まるのも仕方ないだろう。確かに、視線は全て死の騎士へと向かっているが、一緒に居る俺も何故か見られている気がして怖くなったのだ。それ故に俺はカウンターへとすぐ向かった。


「あ、あの、ぼ、冒険者になりたいんですけも……」


「けも……? あっ! ごめんなさい! 冒険者登録ですね! かしこまりました! 三名様のパーティーとお見受けしますが、冒険者についてはどこまでお知りですか?」


 冒険者カウンター自体は三つ程しかない。俺はその真ん中へと向かい、受付の女の子へと話しかけた。

 見られてる中話すのに緊張して噛んでしまったが、受付の子が流してくれたのは正直助かった。


「マキトー。私も冒険者になれるのー?」


「お、おう。シロも……」


「───はい! 大丈夫ですよ! 冒険者は誰でもなれます! ただ、そうですね。君みたいな小さい女の子だと、一人じゃ無理かな? でも大丈夫! その屈強な騎士様が居れば安心安全! 小さい女の子でも全然冒険者登録出来ますよ!」


 俺がシロに説明しようとした瞬間だった。

 受付の女の子が身を乗り出してシロへとテンション高めで説明してくれた。

 有難いにはありがたいけど少しシロが怖がってるのでやめていただきたい。


『手っ取り早く登録を済ませたい。冒険者について説明を頼む』


 いやー。ほんと、テイムモンスター様々ですね。俺が言うまでもなく死の騎士が言ってくれましたわ。

 ただね、低めの渋い声で、しかも全身真っ黒の騎士のセリフに皆静まり返ってしまったのが問題。

 これじゃ俺が喋ったら確実に視線が俺へと向かう。それはまずい。極度の緊張で下手したら死ぬかもしれない。

 ここは死の騎士とシロに全てを任せるとしよう。そして俺は精神統一しながら冒険者について知ろう。うんそれがいい。


「は、はい! かしこまりました! それでは説明致します!」


 それから、受付の女の子の説明は大体一時間程度続いた。

 俺はずっと目を閉じて聞いてるだけだが、所々でしっかりとシロが疑問をぶつけたりしてくれたので大体は理解する事が出来た。


 冒険者について理解した所で、俺はシロに引っ張られて目を閉じたまま冒険者ギルドを出ることに成功した。後はしっかりと冒険者についての情報を纏めるだけだ。


 受付の子から聞いた冒険者について要約すると、とりあえず冒険者には『下級冒険者』『中級冒険者』『上級冒険者』『最上級冒険者』『英雄級冒険者』『伝説級冒険者』という風に、功績を上げれば上がっていくらしい。


 功績は例えばギルドからクエストを受けたり、旅の途中でもモンスターの素材を見せればある程度は功績が認められるらしいが、ギルドからのクエストをやった方がより早く上がるらしい。


 他にも、冒険者の特典で街の冒険者ギルドと提携してる宿屋が格安で使えたり、ギルドでご飯を食べれたり、あとはステータスにもランクが表示されたりと色々あるらしいが、正直詳しくは覚えていない。


「あぁ、忘れてた。これを付けなきゃいけないんだったな」


「冒険者〜! 冒険者〜! 私も今日から冒険者ー!」


「シロ! あんまり街で離れるなよ。はぐれたら危ないぞ」


 死の騎士とシロ。俺も同様に付けているが、冒険者ギルドからは冒険者に与えられる紋章が入ったプレートを渡された。まだ成り立ての下級冒険者のプレートだが、なんていうか付けてるだけで冒険者気分になれて少しだけ気分も高まってくる。


「よっし! それじゃ、明日からきびきび依頼をやってくか!」


「うんうん! 早く強くならないと!!」


『モンスターでも立派にマスターと暮らせるよう頑張ってみせます』


「うーん。そうだな。それじゃ死の騎士、お前に名前を付けてやるよ。正直もうモンスターって感じしないしな。嫌か?」


『い、いえ! ですが、良いのですか? 私如きが名前など頂いても……!』


 初めて死の騎士が動揺してるのをみたが、なんていうかすごく新鮮だ。


「いいんだよ。俺はお前に助けられてばっかだしな。名前くらいで喜んでくれるなら俺で良ければいくらでも付けてやるよ」


『ありがたきお言葉。それでは明日、私に是非名前を!!』


「あぁ! 今日一日たっぷり考えとくからな!」


「マキトー……シロ、お腹空いたぁ……」


「はぁ!? お前、さっき食ったばっかじゃねえか! それになんで突然自分のこと名前で呼んでんだよ!」


「う、うるさい! シロは今日からシロって呼ぶの! 別に良いでしょ!」


「はぁ。まぁいいけどよ。とりあえずご飯は宿屋に着くまで我慢してくれよな」


 正直これくらいの小さい女の子が考えてることなんてわからないが、まぁ自分がそう呼びたいなら呼ばせても害はないだろう。


 そんな事よりも今は今から向かう冒険者ギルドと提携してる宿屋について少し期待を膨らませることにしよう。

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