表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/116

2話 『ゲームの世界?』

3話目からは隔日更新になりますー!

 眠りから覚めた時、俺はまず寒さで目が少し冴えた。

 窓は閉めており、毛布も掛けて寝たはずなのにものすごく寒い。


 我慢できるとかできないとかいうレベルではなく、洒落にならないほどの寒さで、我慢して寝ようとしても少し難しいくらいだった。


 「……とりあえず服着ようかな……」


 未だに寒さよりも眠気が勝っている自分が恐ろしいが、そんな中でも俺は重ね着をしてまた寝ようとしていた。

 その為に、自分の服が仕舞ってあるタンスへとフラフラの足で歩いたのだ。


 しかし、床へと下ろした足がどうにも冷たかった。

 時間が経てば経つほどに体は暖まっていくが、目は冴えていく。


 「ちっ……起きるかぁ……」


 寝たかったのに寝れなかったことに対して少し苛立ちを覚えつつ、俺は目覚める。


 目覚めると同時に、寒さの原因を探るために窓を開けようと思って近付き、雪でも降ってるんじゃないかと外を見ようと考えた。しかし、いつもならある筈の窓は存在していなかった。


 「あれ? ここ……どこだ?」


 結論から言うと、窓はおろか、ベットもなくてタンスもない。

 床は何故か雪があるし、壁は石のようだった。部屋そのものがなくなってしまっていたのだ。


 「はっ? 待て待て。どういう事だ?」


 どんなに考えても自分がここにいる意味が分からなかった。

 確かにベットがない状態で寝たら寒い。床が雪なら尚寒い筈だ。

いや、そんなことはもはやどうでもいい。


 どうして俺は自宅で寝てた筈なのに洞窟に居るんだろう。

 疑問疑問疑問。頭の中には謎しかなかった。


 「あっ!携帯なら!!」


 一筋の希望が見えた気がしたが、その希望はすぐに絶望へと変わった。それもそのはず、ある訳がなかったのだ。

 寝る前に枕元に置いたということは記憶している。だが、ベッドがないのではあるわけがない。その上、部屋がないとなると、パソコンもないし、調べるものはないということになる。


 それに加え、俺の手持ちにはなにもない。着ていた服はパジャマだし、寝る時には何も持たないから今この場で何かを持っているはずがなかった。


 「うーん。……ん? なんだこれ」


 困惑しながら辺りを見渡していると、自分の画面の左下にメールのようなマークがあることに気づいた。


 「これ、どうすんだ?」


 適当に手を使ってタッチ出来るか試したりしたが、反応はない。

 だが、手を上から下にスライドした時、メニューのようなものが表示された。


 「上から装備とか持ち物……ステータス、メール、フレンド? それと、決闘……ね」


 この並び順は何処かで見た事があった。

 それも、そのゲームは自身の手を上からスライドすることによってメニューが開かれるゲームだ。


 みんなが待ち焦がれた筈のVRゲーム。


『MONSTERS・ONLINE』のプレイ動画で俺は見たのだ。


 「って事は、俺はゲームの世界に入ったのか? いわゆるデスゲームってやつか」


 小説やらアニメ、漫画でVRゲームの世界に入る話は何度も見ている。

 自分にそんな事が起きるわけないと思ったが、この様子から見るに多分デスゲームに参加してるのだろう。


 そんなことを考えながら、この洞窟の出口を見る。どうやら、猛吹雪が吹き荒れているようだった。

 そりゃ寒いわけだ。


 「んー、とりあえずメール見るか」


 一番の情報があるならメールだろう。

 確か小説とかでも運営がデスゲームやらの説明をする際にはメールかなんかでお知らせしてくれるはずだろうし。


 「―――やっぱりか」


 メールを開くと、そこには運営からの情報と書かれた文字があった。


 俺はそれをタッチし文面を見る。


 「えーっと、ご予約されたお客様はデスゲームへとご案内?」


 長文であるメールを全て読み、俺は自分の頭で纏めた。

 要は、ゲームへの予約が完了した人をこの世界に閉じ込めているようだ。


 この世界から出るには魔王を倒さないと駄目で、他にも、どうやらこの世界には元々存在する住人や、元々ゲームには存在しない冒険者ギルドや王都以外の大都市。それらの本来無いものがまるで異世界に転移したかのように存在するらしい。


 そして、もちろんデスゲームと書いてある通り、この世界での死は現実での死と書いてある。もはや、これはゲームではなく異世界転移と言われても納得するレベルだろう。


 「モンスターと戦うって無理あるだろーよ……」


 小さい声でメールへと反論するが、当然返ってくる声はない。


 どうやら、俺たちをこの世界に閉じ込めた代わりに、一人一人にスキルを与えているらしい。メールにはステータスで見れると書いてある。


 他にも、モンスターは無限には居なく、殺しすぎると消えてしまうとか。

 この世界についてあらかた書いてあるようだ。


 「ま、とにかく生き抜いて魔王を倒せば良いんだよな」


 恐怖で震えるとか、モンスターと戦うのが怖いとか、俺にはそういうのがなかった。

 むしろ、無類のゲーム好きならこんなデスゲームに閉じ込められるのなんて嬉しいまであるだろう。


 もちろん、俺もデスゲームに閉じ込められ、この体でモンスターとリアルに戦えるという事が少し楽しみだった。


 だが、外はあいにくの猛吹雪。とにかく今はこの洞窟で出来ることをするしかないようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 賞に応募するなんて勇気がありますね。 これからも頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ